No.601 2007年2月8日 |
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公務員賃金は地域経済に連動する問題 | |
= 地方公務員の給与改善を求めて全人連に要請 = | |
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高い行政水準を維持していくために給与改善を全人連への申し入れには、公務労組連絡会からは、石元議長を先頭に、若井事務局長、黒田・新堰両事務局次長、柴田・熊谷・蟹沢の各幹事、自治労連から大黒書記長、全教から東森書記長が出席しました。全人連は、内田会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、中澤(北海道)、石附(宮城県)、米田(新潟県)、鈴木(横浜市)、佐宗(愛知県)、帯野(大阪府)、佐古(広島県)、武田(香川県)、水谷(福岡県)の各人事委員会代表が出席しました。はじめに、石元議長は、内田会長に「要請書」(別掲)を手渡し、「昨年の人事委員会勧告では、比較対象企業規模を『50人以上』にひろげた結果、賃金据え置きが主流となった。地場賃金にあわせるよう求める政府の『指導』や、独自の賃金カットも自治体の約半数にのぼるなか、地方公務員の生活は悪化している。さらに、そのことが民間賃金や地域経済に影響を与えるなど悪循環をおこしている。自治体労働者の生活改善にむけた、全人連・地方人事委員会での努力を要請する」と申し入れました。 また、若井事務局長は、要請項目について説明しつつ、「自治体労働者や教員が、地域に果たしている役割にふさわしい給与改善が必要だ。高い行政水準を維持していくためにも、また、人材を確保する観点から、全人連・人事委員会としての対応をお願いする」と求めました。 これに対して、内田会長は、以下のように回答しました。 (内田全人連会長回答) ただいまのみなさんからの要請については、確かにうけたまわった。さっそく、全国の人事委員会に伝える。 あらためて申し上げるまでもなく、人事委員会の重要な使命は、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することであると認識している。 各人事委員会は、昨年の勧告において、同種・同等の者同士を比較するという原則のもと、民間従業員の給与実態をより広く把握し、職員給与に反映させるよう、比較対象とする企業規模・従業員の範囲を拡大するなど、公民比較のあり方について見直した。 現在、人事院および各人事委員会は、本年の民間給与実態調査の実施にむけ、昨年と同様、民間給与実態を的確に把握できるよう、その準備をすすめているところだ。 今後、各人事委員会において、要請内容をふくめ、各自治体の実情をふまえながら、本年の勧告にむけて検討をしていくことになるだろう。 全人連としても、必要な点について、人事院や各人事委員会と十分意見交換がおこなえるよう、努めてまいりたい。 公務員給与を取り巻く環境は引き続き厳しい状況ではあるが、本年も、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を果たしていく所存である。 以 上 【全人連への要請書】 2007年2月8日 全国人事委員会連合会会長 内田 公三 様 公務労組連絡会 地方公務員の給与の改善についての要請書 日ごろより地方公務員の勤務条件の向上にご努力いただいていることに敬意を表します。人事院は、昨年、民間給与実態調査の比較対象企業を50人以上の「小規模企業」にまで拡大して勧告を行いました。その結果、従来通りの比較方法であれば月例給1.12%、4252円、一時金0.05月のプラス勧告であったものが、月例給、一時金とも据え置きの勧告となりました。多くの地方人事委員会もこの影響を受け、据え置き勧告が主流となりました。 総務省は、昨年3月に「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」(以下「研究会」と略す)の「報告」を発表し、地方公務員の給与を地場給与水準に合わせるよう「指導」を強めています。加えて、「税財政の三位一体の改革」による交付税の削減や地方財政危機を口実に勧告に基づかない独自の賃金削減を行っている自治体が半数以上もあり、甚だしい場合は30%ものカットを行っています。 地方公務員の給与は、「研究会報告」で「それぞれの地方公共団体における人事行政運営に直接関わり、また財政運営とも密接な関連を有している。さらに当該地域における地方公務員の人材確保にも大きな影響を与えるとともに、地方公務員によって行われる公務サービスの質にも深く関わっていくものである」と述べているように、単に民間準拠のみで決定できない性格を持っています。 さらに、賃金の独自削減は、地方公務員の生活を直撃しているだけでなく、地域の消費を冷え込ませ、地域の民間労働者の給与水準、地域経済にも大きな否定的影響を及ぼしています。 地方公務員の労働条件に関わる重要な役割を担われている貴職がこうした認識にたって、厳しい地方の経済情勢の中で住民福祉の充実に日々努力している自治体・自治体関連職場で働く労働者の暮らしを改善するために、下記の要求事項を尊重し、人事委員会勧告にむけた調査にあたられることを要請するものです。 記 1、地方公務員の給与は、「研究会報告」でも述べているように単に民間の給与水準と機械的に比較して決定すべき性格でないことに鑑み、民間給与実態調査に当たっては地方自治、地方公共団体のあり方等と密接不可分に結合していることに十分留意して調査すること。とりわけ、比較対象企業規模を100人以上に戻すこと。2、教員給与については、文部科学省が実施した勤務実態調査を踏まえ、適切な給与水準を検討すること。 3、昨年の休息時間の廃止によって、多くの自治体で拘束時間が延長されました。昨年の人事院勧告の報告においても、公務の方が勤務時間が長い実態にあり、勤務時間の短縮を行うこと。 4、近年、各人事委員会の調査対象企業が、労使交渉で賃金・労働条件を決定している一定の規模をもつ企業が対象から大幅に削減される一方、労働組合の組織率が相対的に低い小規模企業の割合が拡大されています。これは、労働基本権の「代償機関」とされる人事委員会の機能からすれば、その「代償性」を低下させるものと考えます。 調査対象事業所は、労使交渉によって賃金等の労働条件を決定している企業を基本とし、公務労働者の生活実態や関係労働組合の要求を踏まえた調査を行うこと。 |
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以 上 |