No.593
2006年10月27日
「もうひとつの日本」へ共同行動
= 公務労組連絡会の秋年闘争第2次中央行動に2,000人 =
 公務労組連絡会は27日、秋季年末闘争の第2次中央行動にとりくみました。
 比較対象企業規模の引き下げによって「ベアゼロ」となった給与法「改正」法案が国会提出され、また、教育基本法改悪法案や「国民投票法案」の審議がはじまったもとで、公務労働者の生活改善とともに、悪法阻止、「もうひとつの日本」の実現にむけて、2,000人の公務労働者が奮闘しました。
 この日は、医労連などが主催して医療拡充の大集会が開かれ、また、建交労や自交総連のトラック・タクシーデモ、国会前の座り込み行動がとりくまれるなど、のべ1万人近くの官民の仲間が、終日にわたって霞が関を騒然とさせました。

格差と貧困の拡大、公務破壊を許さないためがんばろう

 第2次中央行動のスタートとして、午前11時からは、日比谷野外音楽堂で「もうひとつの日本」をめざす10・27中央集会を、全労連との共催で開きました。
 主催者を代表してあいさつした全労連の坂内議長は、「格差拡大によってワーキングプアという貧困層を生み出してきたことを、安倍新内閣も否定できない。偽装請負問題では、安倍首相は、大企業に厳しく対処すると答弁せざるを得ず、教育基本法改悪反対の運動が国民世論を動かしつつある。これらを確信に、悪政を阻止しよう」と呼びかけました。
 連帯あいさつに駆けつけた「子どもと教科書21全国ネット」の俵義文事務局長は、「教育基本法の改悪は、子どもや学校だけの問題ではない。国家のためになるように国民の精神を変えていくのが目的だ。運動をさらに一回り、二回り大きくするには、労働組合の役割は大切だ。将来に悔いを残さないたたかいを」と、決意を込めて訴えました。
 若井事務局長の情勢報告・行動提起では、教育基本法・国民投票法案をはじめ、テロ特措法や防衛庁を「防衛省」に格上げさせる法案など、日本を「戦争をする国」に変える危険な動きがいっせいに強められているなかで、さまざまな行動を一つ一つを積み上げて悪法阻止へ最後まで奮闘しようと提起しました。
 公務・民間の3名の代表の決意表明では、「公務破壊の攻撃は、プール事故など子どもの命まで奪っている。2,500人が参加した自治研究集会では、住民との連帯もひろがった。来春闘に運動をつなげたい」(自治労連・大黒書記長)、「自交総連は『もうひとつのタクシー』をスローガンに掲げ、最賃以下という運転手の労働条件を改善させてきた。JMIUの偽装請負解消のたたかいは、社会問題に発展するなど、運動がすすむなかで、秋のたたかいの前進で暮らしと命を守る春闘をめざす」(全労連民間部会・根本生協労連書記長)、「本日午後から5千人規模の大集会を開く。看護職場の過酷さに、3年以内に3割の看護士が辞める。大阪では25歳の看護士が過労死している。悲惨な出来事が二度とないように、看護士の大増員運動に奮闘する決意だ」(全医労・石井中執)など、決意あふれる発言がつづきました。
 最後に、公務労組連絡会の石元議長が閉会あいさつし、参加者全員で団結ガンバロウをして、総務省・財務省・人事院の3か所の要求行動へと出発しました。

「ベアゼロ」の給与法「改正」法案提出に断固抗議

 総務省前の要求行動では、主催者あいさつした駒場副議長は、「意図的な『ベアゼロ勧告』の実施を決定し、給与法案提出を強行した総務省に断固抗議する。労働者派遣法から20年が経つもと、非正規労働者は1,600万人に迫っている。雇用の流動化と賃金のダンピングを解消するためたたかおう」と訴えました。
 黒田事務局次長の情勢報告では、国・地方の公務員賃金、労働基本権の回復、集配業務の廃止がねらわれる郵政民営化をめぐる課題にしぼって報告があり、引き続く職場や地域での奮闘を呼びかけました。
 その後、3名の単産代表が決意表明し、「県労連と共同で自治体キャラバンにとりくんできた。地域の公立病院の統廃合がねらわれるなかで、安心して住み続けることのできる自治体づくりをめざしてがんばりたい」(自治労連愛媛県本部・池田委員長)、「県の財政赤字を理由にして、高校の統廃合がねらわれ17校が廃校となる。格差社会は、労働者全体を低賃金にするのが目的であり、これをはね返すために官民の連帯を強めたい」(全教千葉・赤須書記長)、「集配業務廃止に反対して、檜原村では、住民の8割から署名が集まった。配達の遅れなどサービス低下も目立ってきている。郵便業務の営利化、サービス低下を許さずにたたかいぬく」(郵産労・安達中執)など、各地域でのとりくみが報告されました。
 最後に、国公労連・酒井中執のリードで総務省へシュプレヒコールをぶつけました。

深刻な職場実態の改善と国民本位の行財政確立を

 年末にむけて国民本位の政府予算案策定が焦点となるもと、財務省前の要求行動で石元議長は、「子どものいじめと自殺が社会問題になっているが、一方では、教育予算は減らされ、教員削減がねらわれている。ますます、子どもたちに手が届かなくなる。切実な現場の実態を財務省に訴えたい」と主催者あいさつしました。
 新堰事務局次長の情勢報告では、「骨太の方針」に沿った概算要求では、社会保障費の自然増がカットされたり、生活保護基準が見直されるなどする一方で、軍事費を増加させ、米軍基地の移転費用に莫大な税金をつぎ込もうとしていることなどが報告され、民主的な予算確立を求めるたたかいが重要になっていることが強調されました。
 参加者の決意表明では、「根室では、漁業が落ち込み、地域経済は深刻だ。市の財政が厳しいうえに、地方切り捨ての政治が続いている。地域の怒りの渦を大きくして、共同をひろげたい」(自治労連・根室市労連・久保田執行委員)、「登記など法務省の職場では、職員不足で住民に満足してもらえるサービスができない。病休者も増え、残業は恒常的になっている。財務省は、要員と予算を確保せよ」(全法務・内藤副委員長)、「財務省は、奨学金を融資業務と位置づけている。何のために奨学金制度ができたのかを訴えたい。財務省所管の国民生活金融公庫の賃金昇格差別事件について、話し合いにもとづく解決を求める」(特殊法人労連・竹内事務局長)など、それぞれの立場から財務省への要求がのべられました。
 全教・佐藤中執のリードによるシュプレヒコールで要求行動を終えました。

老後の生活破壊する退職手当・年金の切り下げ反対

 退職手当・退職年金の「見直し」作業をすすめる人事院に対する要求行動では、福田副議長は、「安心して暮らせる年金制度をつくりたいというのが共通の願いだ。掛金を高きに合わせ、給付を低きにあわせるのを許すわけにはいかない。老後の生活を破壊する年金切り下げに断固反対していこう」と主催者あいさつしました。
 賃金・労働条件専門委員長の浅野幹事が情勢報告をおこない、退職手当・年金の「見直し」をめぐるこの間の経過と問題点を指摘したうえで、「人事院が、公務労働者の生活を守る立場から責任ある意見表明をおこなうよう、最後まで追及しよう」と訴えました。
 これをうけて3名が決意表明し、「公務員は退職金をもらい過ぎだと言うが、それは一握りの高級官僚のことだ。一般の公務員は退職するまで家をもてない人も大勢いる。一方的な引き下げは断じて許さない」(国公労連・全気象川野副委員長)、「10月13日に東京特別区が、月例給引き下げを勧告した。国の比較方法見直しに追随した不当な勧告実施を許さず、総人件費削減阻止と政治の流れを変えるためがんばる」(東京自治労連・矢吹副委員長)、「定時制高校には、不登校や家庭的経済困難をかかえる子などが多く入学してくる。生徒たちは、長時間過密労働・請負などの厳しい職場で働いている。現状を改善するためにも、労働者の権利確立をめざす」(長野高教組・内山副委員長)などの決意がのべられました。
 最後に自治労連の藤田中執のリードで、シュプレヒコールを人事院に響かせました。
 また、要求行動と連動して、この日11時から「退職手当・年金の切り下げ反対署名」の提出・要請行動にとりくみ、新堰事務局次長・熊谷幹事とともに、北海道公務共闘の阿部議長、東北公務関連公務労組連絡会の一戸代表幹事、公務労組九州ブロックの岩尾事務局長が参加し、地方の立場から退職手当・年金の「見直し」改悪反対を訴えました。要請行動では、これまでとりくんできた反対要求署名95,211筆を提出しました。

国会請願デモ・議員要請・座り込み行動で悪法阻止へ

 各省・人事院前での要求行動を終えた参加者は、ふたたび日比谷公園に集合し、国会請願デモに出発しました。
 与党が、教育基本法の改悪法案を来月早々にも衆議院を通過させようとねらっているもとで、請願デモでは、午前中から国会前に座り込んでいた全労連などの参加者とシュプレヒコールでエール交換し、何としても改悪法案の廃案をめざすことを誓い合いました。
 また、デモ解散後は、公務労組連絡会として、衆議院の教育基本法特別委員会、憲法調査特別委員会の約100名の国会議員を対象にした議員要請行動にとりくむとともに、全労連の座り込み行動にも合流して、悪法阻止へ奮闘しました。
以 上