No.592
2006年10月16日
「ベアゼロ勧告」の実施を回答
= 06年勧告の取り扱いをめぐって総務省と最終交渉 =
 公務労組連絡会は16日、06年人事院勧告の取り扱いにかかわって、総務省との最終交渉をおこないました。
 交渉では、明日17日に第2回給与関係閣僚会議を開いて勧告どおりの実施を了承し、その後の閣議でこれを決定することを回答しました。
 公務労組連絡会は、8月の総務省への要求書提出以降、労働組合の納得も合意もなく、42年ぶりに官民比較方法が見直されたことに対して、「企業規模100人以上」との比較による給与改善を政府に求めてきましたが、結果的には、「人事院勧告の尊重」とする従来の枠を一歩も出ない最終回答となりました。

「国民の理解が必要」との立場を強調

 総務省との交渉には、公務労組連絡会から石元議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、熊谷・蟹沢の各幹事が出席、総務省は、人事・恩給局総務課の酒田総括課長補佐、相米課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、石元議長は、「8月の勧告直後から交渉を重ねてきたが、焦点は、『官民比較方法の見直し』という新たな状況のもとでの勧告の取り扱いだった。そもそも『見直し』は、政府の要請であり、人事院がそれに応えたものだ。それを政府が実施を決めるならば、政府の自作自演だ。あらためて、『企業規模100人以上』の比較による給与改善を求める」とのべたうえ、回答を求めました。
 酒田総括課長補佐は、要旨、以下のように回答しました。

【総務省回答】
 @ 今年の人事院勧告は、8月8日に人事院から提出を受けて以来、関係各府省の間で検討をすすめてきたところだ。国の財政事情など、国家公務員の給与をめぐる環境がきわめて厳しいなか、総務大臣として、給与関係閣僚会議等において、労働基本権制約の代償措置としての根幹をなす人事院勧告制度を尊重する立場で意見をのべてきた。
 A その結果、明日17日に第2回の給与関係閣僚会議が開かれる予定となり、会議では、勧告通りに決定されるものと期待している。
 なお、これが決定されれば、その後の閣議で、政府としての取り扱い方針が決定されるものと承知している。
 B 本年の給与改定、とりわけ、官民比較方法の見直しは、みなさんからも不満や憤りがあると承知している。また、職場での苦労は生半可なのもではなく、第一線で国民と相対で仕事をする大変さも理解している。しかし、公務員給与は税金から出ているものであり、納税者である国民の理解が必要であることも、理解いただきたい。
 C みなさんから指摘いただいた優秀な人材確保や職員が安んじて職務に精励することは、使用者としての責務であり、国の将来にもかかわる課題であると考える。給与面での解決はたやすくないが、みなさんからも、知恵をもらって解決策を考えていきたい。
 その点を理解をいただき、今後とも、国民の信頼に応え、公務能率と行政サービスのいっそうの向上に努めていただきたい。

誤解を取り除くために総務省は努力せよ

 これを受けて、若井事務局長は、「回答は認められない。議長が指摘したように、政府と人事院によってつくり出された勧告だ。それを実施するとの回答は、一生懸命に働いている職員をバカにするようなものだ。人材確保の点でも、公務員採用試験の応募者が減っているし、中途退職者も増えている。そのなかで、財政事情が厳しいからといって給与を抑制するのなら、使用者責任をまったく果たしていない。とりわけ、比較方法の見直しは、すべての公務員組合、ナショナルセンターが一致して反対してきた。回答でのべられた不満や憤りの根底には、政府や人事院への不信がある。そのことをきちんと受けとめよ」とのべ、勧告通りの実施とする回答に強く抗議しました。
 また、交渉参加者からも、「職員を励ますためにどうするのか、公務員バッシングのもとでの国民の誤解をどう払拭するのかを考えるのが使用者としての責任だ。政府の回答は、総人件費削減という結論が先にあるもので、認められない」「比較方法の見直しは、公務員の労働条件を根底から掘り崩すものであり、賃下げの悪循環がいっそうすすむ。また、地方の格差はさらに拡大する。国による地方自治体への介入・干渉はやめるべきだ」など厳しい声がぶつけられました。
 酒田総括課長補佐は、「誤解にももとづいて、もっと給与を下げろとの乱暴な議論もある。そうした議論には、総務省としてもきちんと主張したい」とのべるにとどまりました。
 最後に、石元議長は、「回答は、とうてい納得できるものではなかった。いま、各自治体では、政府に対する不満がひろがっている。そうした不満を真摯にうけとめるべきだ」とのべ、交渉を閉じました。
以 上