No.590
2006年10月2日
国追随の「マイナス勧告」を許すな!
= 地方労連とも共同して各県公務共闘が地方人事委員会に要請 =
 「官民比較方法の見直し」による「ベアゼロ人事院勧告」に追随して、地方人事委員会では、「マイナス勧告」さえもねらわれるなか、各県の地方公務産別組織では、地方労連とも共同して、人事委員会への要請・交渉にとりくんでいます。
 公務関連労働者にとどまらず、地場の中小企業や、地域経済にも影響する人事委員会勧告を前にして、公務産別が一丸となったとりくみ強化が求められています。

秋田発 働く意欲をなくす8年連続のマイナス勧告に反対

 秋田県公務共闘は9月21日、県人事委員会と06年勧告について交渉しました。県公務共闘からは高橋議長はじめ、自治労連、県高教組、県国公から8名が参加、県人事委員会は、石山事務局長、成田参事ほか5名が対応しました。
 要請に対して、人事委員会側は、「情勢適用の原則、公務も地域の状況からは逃れられない。県の勧告も国と同様の方向と考えている」などとして、国準拠で、比較対象企業を見直して勧告することを明らかにしました。
 県公務共闘は、「なぜ、50人以上に企業規模見直しをするのか」と県としての明確な理由をのべるよう迫りましたが、「地域の実態を反映するため広く把握するために実施したもので、国が調査を実施したことも大きな要因だ」とし、国追随の姿勢が明らかになりました。
 これに対して、「06春闘や最低賃金も少ないながらも上がっているのに、据置きやマイナスは納得できない」との追及には、「組合としては、春闘での交渉結果を反映したものを求めるのは理解できるが、組織率が20%程度という状況では、逆に恣意的となる」などとのべ、労働組合の組織率の低さが賃下げを招いているかの回答をのべました。
 また、「県に対し、国からの不当な圧力や指導はないのか」とただすと、「人事委員会へは、所管官庁としての総務省からの連絡等はある」との回答にとどまりました。
 県公務共闘は、最後に、「全国では、手当を含めれば昨年頃から上がり始めている地域もある。しかし、東北・北海道だけがこれまで7年連続のマイナスだ。そのうえ今年もマイナス勧告となるならば、働く意欲の点からも大きな問題だ。そのこともよく考慮すべき」と求めると、人事委員会側は、「いろいろな背景があってこれまでの経緯となっていると考えており、7年連続だからとは考えないが、要素ではあろう。この点は要望として承りたい」と回答しました。
 最後に自治労連秋田県本部でとりくんだ「要請書」896筆を事務局長に提出し、県人事委員会が第三者機関としての機能を発揮し、県内労働者に大きな影響もつ「勧告」が喜べる内容になることを期待するとのべて交渉を終了しました。    

岩手発 いわて労連と共同して県人事委員会に要請

 岩手県公務共闘は9月26日、いわて労連と共同して、岩手県人事委員会に対して、今年の人事委員会勧告にあたっての「要請署名」を12,590筆提出し、交渉を行いました。
 交渉には、佐藤公務共闘議長(岩手自治労連委員長)、鈴木いわて労連議長はじめ、国公共闘、盛岡市職労、県医労、医労連・医大職組、農協労組、生協労組、岩手自治労連から11名が参加しました。人事委員会側は、菊池職員課長、永井主任主査、千葉主査など5名が対応しました。
 はじめに、佐藤議長が、組合員と家族の要求の結集である12,000筆余の署名を人事委員会に手渡しつつ、現時点での作業状況をただしました。
 県人事委員会側は、「『50人以上』の調査結果については、給与勧告に反映させるかどうかは検討中だ」などとし、国に追従して比較方法見直しをすすめる姿勢を示しました。
 これに対して、県公務労組連は、「国・総務省の言いなりにならず、『第三者機関』としての立場を守り、積極的勧告をすべきだ。民間労働者や地域経済への影響をどう考えるのか」とただすと、「人事委員会は独立した機関であり労働基本権制約の代償である。確かに国・総務省から文書はきているが、あくまでも『お願い』であると認識している」とのべつつも、人事委員会勧告の社会的影響については、「間接的影響はわからない」とのべました。
 こうした回答に対して、「対象企業数くらいは明らかにすべき。岩手は、全国平均よりも中小企業数が多いのではないか」「勧告に反映するかどうかもわからない50人以上の調査を行ったということは、国への追随だ」「給与制度の継続性を言うのであれば、42年間変えなかった調査企業規模を一方的に変えるのはおかしい」「医大は県職準拠としているが、さらに小さな病院では医大を目標にしている。県職員の給与は地場の民間中小にも影響する」「公務に地域格差、特に給与での格差を持ち込むことはおかしい。ますます民間も都市と地方で格差が広がる。公務本来のあるべき姿からいってもなんでも民間準拠ではなりたたない」など、交渉参加者からは、比較方法の見直しに対する怒りの声が集中しました。
 これに対して人事委員会は、「職員の給与は情勢適用の原則、職員のモチベーション、給与制度の継続性、国民・住民の意見等を考慮して判断したい。地域経済へ影響があることは理解する」と回答しました。
 その他、残業縮減、時間短縮、臨時・非常勤職員の待遇改善などを申し入れましたが、「非常勤職員は、制度上勧告の対象外であり、任命権者での対応をお願いしたい」とのべ、誠意ある回答は得られませんでした。
 最後に、県の勧告の影響をうける多くの労働者・家族、地域への影響を十分に考慮して積極的勧告をだすこと、また人事委員会委員長・事務局長に対して、勧告前に再度話し合いをもつことを要求して交渉を終えました。  

高知発 比較方法の見直しで基本給改定見送りを表明

 高知県公務労組連絡会は9月26日、高知県人事委員会への要請行動にとりくみました。行動には、県公務労組連から、宮城議長を先頭に、自治労連、県教組、県国公、郵産労の各単産の代表が参加しました。
 要請では、県人事委員会への「要請書」を手渡し、とりわけ、「官民比較方法の見直し」はやめるよう強く求めました。
 これに対して、人事委員会側は、「『50人以上100人未満』の事業所9割から回答があり、比較のできる客観的なデータが得られたことから、民間給与をより広く反映させるために、国と同じように50人以上への見直しをおこなう」と回答しました。県公務労組連は、「調査の結果をうけて、50人への見直しをどう受けとめているのか」と追及しましたが、人事委員会側は、「やむを得ない」などとのべるにとどまりました。
 さらに、公民比較については、「較差はわずかであり、基本給の改定は見送る方向で作業をしている」とし、一時金は、明確な回答は避けたものの、「見直しをおこなわない状態でも、民間を上回っている」とし、見直せば、さらに較差がひろがることを示唆しました。
 これに対して、県公務労組連は、官民比較方法の見直しをしなかった場合の較差を数字で示すように求めましたが、勧告後に報道資料として明らかにするとしただけで、従来の「100人以上」で比較した場合の数字は示しませんでした。
 県公務労組連は、人事委員会勧告にあたって、「勧告は県民生活に大きな影響を与えており、幅広い県民の声を聞くべき」と求めましたが、「県内の市町村へは大きな影響があることは認識している。消費や経済の影響も一般的にはわかる」と認めつつも、「人事委員会としては、幅広く意見を聞く考えはない」との回答にとどまりました。
以 上