No.587 2006年8月10日 |
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労働基本権制約のもとでの一方的見直しは不当 | |
= 勧告の取り扱いにかかわって、厚生労働省に申し入れ = | |
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申し入れには、公務労組連絡会から石元議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、熊谷・蟹沢・山アの各幹事が出席しました。 厚生労働省では、太田政策統括官(労働担当)に面会した後、伊澤労使関係担当参事官に申し入れました。 若井事務局長は、要求書(別添)の趣旨をのべ、「比較方法の変更で、一人あたり年収で9万円の減額となる。勧告そのものは据え置きとはいえ、人事院みずからが総額人件費の削減に踏み込んだ点で、昨年までとは質が違う勧告だ。地方公務員ではさらに引き下げがねらわれる。また、人事院は、政府方針に追随する一方、労働組合との合意もなく見直しを強行するなど、手続き面でも乱暴だ。政府が、このままの実施を決めれば将来に禍根を残すこととなる。そうした点もふまえて慎重な検討を要請する」と申し入れました。 これに対して、伊澤参事官は、「みなさんの今年の勧告に対する考え方はうかがった。勧告は、人事院においてさまざまな角度から検討され、その結果として出されたものだと考えている。したがって、これを尊重することが政府としての基本的な立場だ。いずれにしても、これから給与関係閣僚会議での検討に着手することとなるので、その際には、みなさんからいただいた意見も念頭に置いて、話し合いながら検討をすすめる」とのべました。 若井事務局長は、「公務員の労働基本権が制約されているもとで、一方的な比較方法の変更は理屈に合わない。その立場で、給与関係閣僚会議の一員として厚生労働大臣の検討を要請する」とのべ、石元議長は、最後に、「勧告のままの実施となれば、地方への甚大な影響が出ることは火を見るよりも明らかだ。十分な検討を求める」と重ねて要請し、申し入れを終えました。 (別添:厚生労働省への要求書) 厚生労働大臣 川崎 二郎 殿 公務員賃金等に関する要求書 人事院は8日、国会と内閣に対して、50人以上100人未満に引き下げた調査結果によって本俸及び一時金の据え置きなどを内容とする給与勧告を行ないました。一方、従来通りの100人以上の調査結果では本俸及び一時金ともプラスとしており、賃金切り下げを前提とした極めて不当な勧告であり、とうてい容認できるものではありません。 労働基本権を剥奪されているもとで、公務員が国民全体の奉仕者として安んじて職務に精励できる条件を整備すべき人事院が、政府の意向に沿うことは基本的役割を放棄するに等しいものです。 勧告は、公務労組連絡会などの反対を押し切って100人未満の企業にまで拡大した結果であり、さらに公務労働者の生活改善ともに、公務員賃金の社会的影響力もふまえて、最低賃金の引き上げ、賃上げによる地域経済の活性化を求めてきた公務労組連絡会の要求に照らせば、きわめて不当かつ不満なものです。 この間の理不尽な公務員バッシングの否定的影響は公務員の志望者数にも現れ、公務員の質の低下が懸念されるまでになっています。 今後、給与関係閣僚会議などを通して、政府として人事院勧告の取り扱いが議論される段階をむかえて、あらためて、人事院勧告制度が730万公務関連労働者をはじめ多くの民間労働者の賃金、とりわけ地方に勤務する民間労働者の賃金にも影響を与えることを重視し、国民生活改善・地域経済の活性化という積極的な立場での検討が、政府には求められています。 こうした観点から、公務労組連絡会として、下記要求をとりまとめました。貴職の誠意ある対応を強く求めるものです。 記 1、公務労働者・公務関連労働者をはじめ多くの労働者・国民の生活に影響する公務員賃金の改善を行うこと。06年については、比較企業規模100人以上とする官民比較方法をもとに改定すること。2、勧告の取り扱いをはじめ公務員労働者の賃金・労働条件は、労使対等の交渉にもとづき決定すること。 3、地方自治体、特殊法人及び独立行政法人の賃金決定に不当な介入・干渉をおこなわないこと。 4、労働基本権回復などILO勧告に沿った民主的公務員制度確立に向け、積極的な対応を図ること。 |
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以 上 |