No.585 2006年8月9日 |
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「比較方法見直し」を地方に連動させるな | |
= 地方人事委員会勧告にむけて全人連へ要請 = | |
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中立・公正な第三者機関としての役割発揮を求める全人連への申し入れには、公務労組連絡会からは、石元議長、若井事務局長、新堰・黒田の両事務局次長、蟹沢・柴田・熊谷の各幹事のほか、自治労連から川西副委員長が出席、全人連は、内田会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、中澤(北海道)、石附(宮城県)、鶴巻(新潟県)、井上(横浜市)、帯野(大阪府)、丸山(広島県)の各人事委員会委員長、また、佐宗委員(愛知県)、小川課長補佐(香川県)、倉員局長(福岡県)が出席しました。はじめに、石元議長が、内田会長に要請書(別掲)を手渡したうえ、「昨日、人事院勧告が出されたが、比較対象企業の規模を引き下げて『ベアゼロ』となった。政府の『構造改革』路線に追随したものであり認められない。今後、各地方での人事委員会勧告にむけた作業がすすむなかで、職員のみならず住民の生活を守る立場からの給与改善への努力を要請する」と申し入れました。 また、若井事務局長は、申し入れの趣旨をのべつつ、「今年の人事院勧告は非常に問題が多かった。とくに、従来の配分の見直しから、総額人件費削減に踏み込んだ点で、ターニングポイントの勧告だったと言ってもよい。勧告をめぐる状況は、決して良い環境にはないが、そんなときだからこそ、中立で公正な第三者機関としての役割は重要となっている。勧告制度の原点に立ち返った対応を要請する」とのべました。 これに対して、内田会長は、以下のように回答しました。 【全人連会長回答】 ただいまのみなさんからの要請については、確かにうけたまわった。今日も、各地の人事委員会の代表が来ているところだが、全国の人事委員会には、早速、お伝えする。 昨日の人事院勧告では、本年の官民較差は、18円(0.00%)と極めて小さく、ほぼ民間給与と均衡していることから、俸給表の改定を行わないとしている。 また、特別給についても、民間の支給割合と概ね均衡していることから、支給月数の増減を行わないとしている。 人事院は、本年の勧告において、比較対象の企業規模を100人以上から50人以上に引き下げるなど、官民給与の比較方法を改めた。これは、学識経験者による「官民給与の比較方法の在り方に関する研究会」による報告や、各界有識者による「給与懇話会」からの意見をふまえ、民間企業の給与水準をより適正に公務員給与に反映させるために行ったとしている。 各地方自治体、とりわけ、各人事委員会にとっては、人事院勧告は、かならずしも直ちに、これに従うべきものではないが、今後の人事委員会の勧告作業にとって重要な参考になるものと考える。 また、教員給与についても、本年も、各人事委員会の主体的なとりくみを支援していくため、準備をすすめていく。 現在、各人事委員会では、秋の勧告にむけて、鋭意、作業をすすめているところだ。今後は、みなさんからの要請の趣旨も十分考慮しながら、それぞれの人事委員会が、各自治体の実情をふまえ、主体性をもって対処していくことになるものと考えている。 公務員給与を取り巻く環境は引き続き厳しい状況だが、本年も各人事委員会においては、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしていく所存だ。 この回答を受けて、最後に、若井事務局長は、「会長がのべられたように、中立な機関として、今後、勧告にむけた作業にあたっては、労働組合の意見も十分に聞いて対応していただきたい」とかさねて要請し、全人連への申し入れを終えました。 (別添:全人連への要請書) 地方人事委員会の勧告に関する要請書 貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善・向上に向けたご努力に敬意を表するものです。人事院は、8日、国会と内閣に対して、50人以上100人未満に引き下げた調査結果によって本俸及び一時金の据え置きなどを内容とする勧告を行いました。 一方、100人以上の従来通りの調査では本俸及び一時金ともプラスであり、賃金切り下げを前提としたきわめて不当なもので、政府・与党の公務員給与削減に沿った政治的引き下げであり、とうてい容認できるものではありません。 ここ数年の間、地方交付税等の削減による地方財政危機を口実に人事委員会勧告に上乗せして独自カットを行う自治体が過半数を超え、さらに地方議会が勧告や労使合意を無視して給与切り下げを提案するなど、給与切り下げの流れが強まり、地方公務員の生活水準は低下をしています。 さらにこの間の政府の「骨太方針」により、地方行政の営利企業化、切り捨て・減量化、地方公務員の定数及び人件費の削減が行われ、今年の「骨太方針2006」では給与削減のための具体的な数値及び10項目の事例の提示や、義務教育国庫負担金における教員給与「優遇」見直しを示すなど昨年度よりいっそう踏み込んでいます。さらに地方交付税の算定方式の変更、破綻法制の検討など地方自治体を企業体と見なす動きも急ピッチで進んでいます。加えて、「地方公務員の給与のあり方に関する研究会報告書」の否定的影響も軽視するわけにはいきません。 私たちは、地方公務員の給与・勤務条件が人事行政や職員の人材確保等とも深く関わるなど地方自治の有り様とも不可分に結びついていること、さらに地域での給与水準において「標準性」を持っており、地方の公務・公共関連労働者の給与等の水準、年金・生活保護をはじめとした社会保障の給付水準、最低賃金など「ナショナルミニマム」のあり方、それらを通じて住民の暮らしに重大な影響を及ぼし、地域経済にも大きな影響を与えるものと考えます。 これから各地の人事委員会においても本年の勧告にむけた作業にとりかかられるものと考えますが、各地の人事委員会勧告にあたっては、こうした見地から下記事項を十分に尊重いただき、その実現に向けて努力いただくことを強く要請するものです。 記 1.地方公務員・関連労働者の暮らしを守り、「全体の奉仕者」として職務に専念できるよう各地の労働組合の要求に応え、賃金・労働条件の改善・充実を図ること。2.06年人事院勧告に鑑み、本俸及び一時金のマイナス勧告を行わず、今年度については、比較企業規模100人以上をもとにするなど積極的な改善を行うこと。 3.人事委員会の勧告と関わりなく行われている「賃金カット」などの労働条件の切り下げに対しては、毅然とした対応を行うこと。 4.独自に「賃金カット」を行っている自治体は、実態賃金との比較で公民較差に基づく賃金改善を行うこと。 5.地方公務員の給与水準問題について、「骨太方針2006」に追随せず、「同一労働・同一賃金」の立場に立ち、地方公務員給与の水準を守り、地域間格差拡大を行わないこと。 6.給料表については、職務による格差の拡大、中高年層の給与の抑制をやめ、生計費原則に立った構造とすること。査定昇給及び勤勉手当の格差拡大の導入は、人事評価制度の未確立の状況を踏まえ、当該労働組合との交渉経過等を尊重し、慎重に対処すること。 7.教員の給与勧告に当たっては、「同一労働・同一賃金」と教育条件のナショナルミニマム確保の立場に立ち、財政方針等の動向にかかわらず、少なくとも現行水準を維持すること。 8.憲法とILO勧告に基づき公務員労働者の労働基本権を保障するなど民主的公務員制度確立にむけ積極的に政府に働きかけること。 |
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以 上 |