No.573
2006年6月30日
賃下げ目的の「比較方法見直し」をやめよ!
= 広島県人事委員会・中国人事院事務局と交渉(6/26) =
 広島公務労組連絡会は6月26日、広島県人事委員会に対して、人事委員会勧告にかかわる交渉をおこないました。また、これにあわせて、同日、人事院中国地方事務局との交渉を配置し、中国各県の代表が参加しました。
 これらの交渉では、「100人未満」の民間調査結果を勧告に反映させることは、公務員賃金を引き下げることを目的とした政治的・意図的な制度変更であり、断じて認められないと強く申し入れました。

県内20万人の公務労働者の生活改善をはかれ!

 午前中の広島県人事委員会への要請では、人事委員会勧告の社会的役割をふまえ、賃下げ勧告をおこなわず、自治体職場に働くすべての労働者の生活改善につながる勧告を行なうことなど、17項目にわたる「要請書」を提出し、今年の勧告について誠意ある対応を求めました。
 交渉には、広島県公務労組連絡会から4名が出席、県人事委員会は、稲田総務審査室長ほかが対応しました。
 組合側は、とりわけ100名未満の比較対象企業の調査結果を勧告に反映させれば、民間賃金はより低くなる、調査企業の範囲を拡大して公務員賃金の引き下げをおこなおうとする政治的なやり方には納得できないとのべ、調査方法の一方的な変更に強く抗議しました。
 稲田室長は、民間企業調査の現状を説明しつつ、「調査はすでに終了したが、その結果をどのように使うのかは決められていない。人事院からも、いまだに見直しの方法や中身が提示されておらず、県人事委員会として、現段階では回答しようがない」とのべました。
 また、組合側は、総務省の「研究会」などが、地方人事委員会の機能を強化して、独自に官民較差を把握し、賃金改定をすすめるべきとの方向を示しているもとで、広島県人事委員会としての対応方針を質しました。
 稲田室長は、「対象企業の分布、県内自治体の状況も含め、県人事委員会にはそのような組織も体制も整ってはいない。自治体ごとの官民較差を県人事委員会が算出すると総務省などが検討していると聞いているが、現在の県段階の民間調査でそのような対応ができるとは思えない」として、率直な考えを明らかにしました。
 最後に、県人事委員会が示す勧告が、公務関連労働者をふくめて県内20万人の公務労働者の賃金や生活に直結することを受け止めて、賃金引き下げを押しつけることのないよう強く申し入れ、交渉を終了しました。

中国各県から20名が参加して人事院中国事務局を追及

 午後からは、人事院中国地方事務局と交渉し、各県の公務労組連の代表をふくめて20名が参加しました。中国地方事務局は、総務議長が対応しました。
 交渉の冒頭、組合側は、今回の勧告の焦点が民間調査企業の範囲拡大にあることから、各県の調査企業数や、新たに加わった小規模事業所の数、調査の状況等を明らかにするよう求めました。
 しかし、人事院側は、全国の調査企業数が増えているとことは答えても、各県のサンプル数、小規模事業所の分布などについては「公表できない」とし、「県や政令市の調査結果は本院にそのまま送られる。地方事務局では詳細はわからない」などとの回答を繰り返し、交渉は入り口から紛糾しました。
 こうしたもとで、「小規模事業所を調査対象にふくめたことは、明らかに公務員賃金の引き下げを意図したものであり、『小さな政府』をねらう政府の方針に追従した政治的な対応だ」「比較方法を一方的に変更するつもりか」「中立機関の立場を投げ捨てたやり方をあらためよ」と追及が集中しました。
 人事院側は、「どのように勧告に反映させるのは決まっていない。人事院としては、情勢適応の原則にしたがって勧告を出す」としながら、「民間企業の春闘結果は改善されている。賃金を引き下げる状況にはないのではないか。公務員賃金は高すぎるという国民的な合意があるとは受けとめていない」など、不誠実な回答に終始しました。
 交渉参加者からは、「情勢適応の原則だけで労働基本権制約の『代償機関』としての責任が果たせるのか」「民間開放や公務の市場化が国民におよぼした被害を見ても、公務労働の大切さがあらためて問い直されている」「山間地など公務の責任が大きな地域での公務労働者の賃金のあり方について、人事院として理念を示せ」などの声がつづきました。
 最後に、あらためて交渉の場を設け、各県のサンプル動向・調査結果も含め明らかにせよと強く要求し、人事院中国地方事務局からは、7月末を目途に対応したいとの回答を受けて交渉を閉じました。
以 上