No.570
2006年6月23日
行革推進本部に「専門調査会」を設置
= 公務員の労働基本権のあり方などを調査・報告 =
 政府は16日、先の通常国会で成立した「行政改革推進法」にもとづいて、小泉首相を本部長とする「行政改革推進本部」の発足を閣議決定し、23日から推進本部が正式に発足しました。
 また、すでに闘争ニュース47号でも伝えてきたように、行革推進本部には、労働基本権問題に関わる「検討の場」として、「専門調査会」を設置することも決定され、「専門調査会」は、「公務員の労働基本権の在り方その他の公務員に係る制度」の調査をすすめ、学識経験20人以内のメンバーで構成されます。
 「専門調査会」の設置は、ただちに労働基本権回復につながるものではありませんが、公務員労働者の権利回復は、公務・民間の違い、ナショナルセンターの違いを越えて、日本の労働運動の一致した要求であり、その点で、政府として専門機関を設けること自体に重要な意義を持っています。
 こうしたもと、全労連は、坂内事務局長名の「談話」を発表し、労働基本権回復をはじめ民主的公務員制度の確立にむけたたたかいの前進を呼びかけました。

公務員の労働基本権の在り方等に関する専門調査会設置について(談話)

2006年6月19日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内三夫

1、6月16日、政府は、行政改革推進本部のもとに、公務員の労働基本権のあり方等に関して調査・報告する「専門調査会」を設置する政令を閣議決定した。公務員の労働基本権の回復は、公務産別組織はいうまでもなく民間単産を含めたすべての労働組合が長年にわたって求めてきた課題であり、国際的にも日本の民主化の程度を示すメルクマールとして注目されてきた。今回の専門調査会の設置は、「労働基本権付与」の決定を意味するものではないものの、国民本位の「公務員制度改革」を正式に政府の政策課題として位置づけるものであり、一定の前進と評価しうる。

2、しかし、専門調査会の設置にいたるこの間の政府の対応については、重大な問題があったといわざるをえない。公務員の労働基本権回復は、全労働者的課題であり、全労連はこれまで再三にわたって政府に対して交渉・協議を求めてきたが、これまでのところ行政改革推進事務局長以下の対応にとどまり、かつ回数も限られている。ILO「結社の自由委員会」は、「結社の自由原則に合致させるようにすることを目的として、全ての関係者との全面的で率直かつ意味のある協議が速やかに行なわれるべきことを強く勧告する」と三回にわたって日本政府に求めている。政府はこうしたILOの勧告に、早急に従うべきである。

3、公務員の労働基本権回復に向けた具体的な作業は開始されることになった。政府与党の「官から民へ」「規制緩和」など「小さな政府」論にもとづく「行政改革」の強要をはねかえし、労働基本権の確立のたたかいを前進させる必要がある。
  憲法原則に基づく国民本位の民主的な公務員制度の確立にむけ、全労連は、公務員労働者の労働基本権の確立と、日本の労働者全体の権利の前進、労働法制の改悪阻止に向け、広く国民の関心と共同をよびかけつつ、取り組みを進める決意である。

以 上


【参考資料】行政改革推進本部令(抜粋)(2006.6.16閣議決定)

(専門調査会)
第1条 行政改革推進本部(以下「本部」という。)に、専門調査会を置く。
2 専門調査会は、本部の所掌事務の遂行に資するため、国及び地方公共団体の事務及び事業の内容及び性質に応じた公務員の労働基本権の在り方その他の公務員に係る制度に関する専門の事項を調査し、本部に報告するものとする。
3 専門調査会は、委員20人以内をもって組織する。
4 専門調査会の委員は、学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
5 専門調査会の委員は、非常勤とする。
以 上