No.541
2005年9月27日
「賃下げ・給与構造見直し」の勧告実施へ
= 05年人事院勧告の取り扱いをめぐって総務省と最終交渉 =
 公務労組連絡会は27日、05勧告の取り扱いにかかわって、総務省との最終交渉をおこないました。
 交渉では、明日28日に第3回給与関係閣僚会議が開かれ、勧告どおり実施する方針が了承され、その後の閣議において正式決定することを回答しました。
 小泉内閣のもとで公務員総人件費削減が声高に主張されるなか、給与関係閣僚会議では、一時金改善の見送りなども議論されましたが、結果的には、政府による勧告「値切り」の事態は回避されることとなりました。
 しかし、05勧告は、不利益遡及の「賃下げ勧告」にくわえ、「給与構造の見直し」という数々の問題を持ったものであり、勧告の実施自体、認められません。最終交渉では、総務省に対して、あらためて使用者としての責任ある対応を強く求めました。

給与改定にくわえて退職手当の「見直し」も同時に閣議決定

 総務省との交渉には、公務労組連絡会から、石元議長、若井事務局長、黒田事務局次長、篠原勇幹事、植西幹事が出席、総務省側は、人事・恩給局総務課の酒田総括課長補佐、笹森課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、石元議長が、「21日に交渉し、その際、賃下げの勧告を実施しないようにあらためて求めてきた。今日は、公務労組連絡会の要求に対する、総務省としての最終的な回答をうかがいたい」とのべ、回答を求めました。
 酒田総括課長補佐は、「今年の勧告は、一時金の0.05月の改善はあったが、月例給引き下げという厳しいものとなった。また、給与構造の見直しも厳しい内容であると十分認識している」とのべ、要旨、以下のように回答しました。

【総務省回答】
 @ 今年の人事院勧告は、8月15日に提出を受けて以来、各府省の間で検討をすすめてきたところだ。国の財政事情など、国家公務員の給与をめぐる環境がきわめて厳しいなか、総務省としては、給与関係閣僚会議等において、労働基本権制約の代償措置としての根幹をなす人事院勧告制度を尊重する立場で意見をのべてきた。
 A 明日28日に第3回の給与関係閣僚会議が開かれる予定である。20日の第2回給与関係閣僚会議では、一時金の引き上げはなお慎重に検討すべきと結論が持ち越されたが、明日の会議では、勧告通り本年4月からの給与改定、および、来年度からの給与構造の抜本的な改革が決定されるものと強く期待している。
   また、同時に、国家公務員退職手当制度について、構造面での見直し方針が決定されるものと期待している。
   なお、これらが決定されれば、その後の閣議で、政府としての取り扱い方針が決定されるものと承知している。
 B 本年の給与改定および給与構造の改革等は、誠に厳しい内容となるが、ご理解をいただきたい。今後とも、国民の信頼に応え、公務能率と行政サービスのいっそうの向上に努めていただきたい。

「きわめて不満な回答であり認められない」とかさねて主張

 回答を受けて、若井事務局長は、「8月15日に公務労組連絡会として要求を提出し、交渉を重ね、『賃下げ勧告』と『給与構造の見直し』は実施しないよう繰り返し主張してきたところだ。その要求に照らし合わせれば、今日の回答はきわめて不満なものであり、認められない」とのべ、その上で、「『給与構造の見直し』では、全体の俸給が下がるが、指定職が若干なりともプラスとなる。また、退職手当の見直しでも同様だ。キャリア優遇という国民批判の声に逆行するものだ」と問題点をあらためて指摘しました。
 また、若井事務局長は、「財政事情の厳しさを口にするが、国や地方自治体の借金は、大型公共事業など税金のムダ遣いが主因だ。職員には何の責任もない。ただ厳しさを強調する主張は、納得しがたい。使用者としての責任ある態度を職員に示せ」と指摘しました。
 最後に、石元議長が、「きわめて不満な回答である。今後、公務員給与は、国会の場で審議されることとなるが、公務労組連絡会として、公務員賃金のあり方をひろく国民世論に訴えていく」とのべ、最終交渉を締めくくりました。
以 上