No.533
2005年7月26日
賃下げは許さない!4500人が人事院を包囲
= 台風せまるなか「7・26第3次中央行動」を展開 =
 公務労組連絡会は26日、夏季闘争の最大規模の第3次中央行動にとりくみました。
 この時期としては予想もしなかった大型台風の直撃により、開催自体が危ぶまれるもと、全国の仲間の熱意とたたかうエネルギーは台風さえもはね返し、4,500人の人事院包囲行動を成功させるなど、「俸給構造の見直し」にくわえ「マイナス勧告」を表明する人事院、総人件費削減をねらう政府に対して、怒りのこぶしをふりあげました。
 この行動の成功を力に、8月4日には終日の人事院前座り込み行動でたたかいます。

「給与構造の見直し」「マイナス勧告」反対(人事院前)

 心配されていた雨も、12時を過ぎる頃には、いったん降り止み、人事院前の車道を隔てて、4,500人がずらりと人事院を取り囲むなか、要求行動が開始されました。
 主催あいさつで堀口副議長は、「賃下げとなる『給与構造の見直し』、『マイナス較差』の表明は、全国の公務労働者の怒りを拡大するものだ。2重の賃下げを断じて許さず、総力をあげて奮闘しよう」とのべました。
 山本幹事・賃金労働条件専門委員長が闘争報告に立ち、勧告をめぐる情勢や人事院とのたたかいについて報告し、とりわけ人事院が最近になって「マイナス較差」を表明していることや、「給与構造の見直し」は、あげればキリがないほど問題点だらけであることなどが報告され、引き続き、勧告ぎりぎりまで奮闘することが呼びかけられました。
 つづいて、3つの組合が決意表明し、「東京地評規模で7・20人事院行動にとりくみ、1700人が結集した。当局は、都労連に対して賃下げ攻撃をかけているが、公務・民間の労働者が一体となりがんばる」(東京自治労連・白神(しらが)副委員長)、「職場から1万人の人事院総裁あて署名が集まり、同じ学校なのになぜ賃金が違うのか強い怒りの声があがっている。教員評価制度では、父母もおかしいと言っている」(愛知高教組・稲垣書記長)などの発言とともに、北海道から上京した国公労連・全運輸の「地域給阻止決死隊」の21名の仲間は、「航空管制は、僻地や離島に職場があり、きびしい環境のなかでがんばっている。なぜ地域を下げるのか納得できない。北海道は断固たたかいぬく」(全運輸北海航空支部・小斉委員長)と人事院へ怒りをぶつけました。
 人事院にむけて元気よくシュプレヒコールを繰り返し、参加者は、各省庁要求行動へと出発しました。
 また、人事院前では、引き続き、国公労連の仲間が主体となって要求行動を続け、各県・ブロック国公の代表によるリレー発言などで、たたかう決意を示しました。

政府・総務省は使用者責任を果たせ!(総務省前)

 総務省前の要求行動では、主催あいさつした駒場副議長は、「マイナス勧告も伝えられるなか、使用者としての総務省の責任発揮を求める。最賃の目安額が示されるなか、地方での最低賃金改善と人勧とを堅く結びつけたたたかいが重要だ。『骨太の方針』による国民犠牲をせまる政府に対して、住民と団結してたたかおう」と呼びかけました。
 賃金・退職手当など総務省とのたたかいを中心にして情勢報告した新堰幹事・公務員制度対策委員長は、対総務省の課題をわかりやすく整理したうえで、交渉で従来どおりの回答を示す総務省の姿勢を糾弾しながら、貢献度を反映した退職手当の改悪反対、「三位一体改革」阻止など、秋に引き継ぐ運動を強調しました。
 続いて、3名の代表が決意表明し、「なぜ賃下げなのか。地域給問題では、国会議員に要請したが、地域給与の引き下げは絶対に認められない。全国の仲間と団結してがんばる」(自治労連青森県本部・高橋さん)、「賃金は生計費で決まる。民間賃金が低いからと言って公務員にも賃下げを迫るやり方は、仲間たちの思いとはかけ離れている。時間は多くはないが、1つでも2つでもはね返そう」(国公労連・全建労北陸地本・相沢書記次長)、「郵政民営化関連法案の審議が大詰めをむかえているが、なぜ民営化なのか、いまだにわからない。参議院では自民党の18人が反対すれば否決される。構造改革の息の根をとめるため、民営化法案阻止へやれることはすべてやり尽くしてたたかう」(郵産労・安達中執)などの力強い発言が続きました。

市場化では労働者の視点に立った仕事は無理(内閣府前)

 内閣府・経済財政諮問会議前要求行動で、主催者あいさつにたった堀口副議長は「小泉内閣は『骨太方針2005』で、公務の破壊をすすめながら、多くの国民に苦しみを押し付けようとしている。これと一体で増税がねらわれているが、国民に不利益をもたらすのは明らかだ。いのちと暮らしの安定をそこない、断じて許すわけにはいかない。公務員バッシング、公務の破壊を許さず奮闘しよう」と主催者あいさつしました。
 情勢報告では、柴田幹事が、公務の民間化の最大の突破口である郵政民営化法案を廃案に追い込むこと、骨太方針2005の具体化を許さず、内閣府への責任を強く求めていくこと、総人件費の抑制、市場化テストなど中止を強く求めていくことの3点を強調しました。
 各単産からの決意表明では、「京都で雇用保険の仕事をしているが、解雇をされそうだが会社が保険に入っていない。また会社は、この不況では保険料を払うのもままならないなどの相談が寄せられている。民間に仕事がいったら、労働者の視点で仕事ができるのか、国でやるべきだ」(国公労連・全労働近畿地協・九後事務局長)、「千葉県では独自の賃金削減がおこなわれているが、夏季闘争では3万筆を超える給与署名、1千人をこえる集会、県庁前座り込みや交渉を重ね譲歩させてきた。雨・風・台風・夏の暑さにも負けずがんばる」(千葉県職労・白鳥書記長)、「学校現場は多忙で、いのちを削る日々だ。現職死亡や病気休職者が増えているなかで、給与構造の見直しをするのか。子どもたちは未来の宝・豊かに育つ教育条件を確立するため全力をあげる」(埼教組・北村中執)など、職場の実態がのべられました。

総人件費削減、消費税増税は許さない(財務省前)

 財務省前要求行動では、はじめに石元巌議長があいさつに立ち、「2005骨太方針で、『小さくて効率的な政府』をいっているが、中身は郵政民営化はじめ、徹底した公務の民営化だ。公務員の総人件費削減、純減の目標をかかげて来年度予算に反映させようとしている。小泉構造改革のいきつく先は全国民からの大増税。公務員労働者だけでなく、全国民的なたたかいではねかえそう」と訴えました。
 北村事務局次長の情勢報告では、「日本経団連の奥田会長は、会社への貢献度で賃金を決め、ベースアップなし、査定による昇給によって、非正規労働者・不安定労働者からも収奪しようとしている。こうした財界の意向を反映した政策をすすめているのが財務省だ。嵐のなかをついて全国から集まった怒りを、財務省に突きつけよう」と、財務省の姿勢を糾弾しました。
 決意表明では、「人事院とはジンジインでなく、もはや『ひとごとイン』。この間に2回にわたって人事院の近畿事務局を包囲し要求を突きつけてきた。国は財政赤字だというが、それほど高い賃金を貰った覚えはない。賃下げ攻撃をはねかえそう」(国公労連・全司法大阪・前野刑事分会書記長)、「財務省所管の国民金融公庫で、当局の差別人事、人権侵害、不当労働行為とたたかっている。いま最高裁で闘争中。全国から支援を」(特殊法人労連・政金労岩清水執行委員)、「1ヶ月間、13人の仲間と最低賃金生活体験にチャレンジしてきた。飲み会もガマンし、結婚の祝い金も出せない。このままでは友人さえなくしてしまう。人間としての生活ではなく、体も心もダメになってしまうのが最賃生活。財務省の役人も一度最賃生活を体験してほしい」(自治労連大阪市労組青年部・長谷川副部長)とそれぞれの職場代表の発言が続きました。

土砂降りの雨をはねのけ総決起集会を開催

〜 怒りと笑いのパフォーマンスが会場を盛り上げる 〜

 4か所にわかれて行動していた参加者は、ふたたび日比谷野外音楽堂に集合し、「許すな!人件費削減・給与構造見直し、郵政民営化阻止7・26決起集会」を開きました。
 集会がはじまる14時すぎには、台風の影響によって雨が強く降り出し、熊谷全労連議長の主催者あいさつ、その後、激励・連帯のために駆けつけた日本共産党の吉川参議院議員、JMIU生熊委員長のあいさつがつづくころには、会場はスピーカーからの声も通らないほどの土砂降りとなりました。
 そのなかで、郵政民営化特別委員の委員もつとめる吉川春子参議院議員からは、関連法案をめぐる緊迫した国会内の情勢が報告され、「法案は否決できる状況をむかえている。国民の力で何としても廃案にしよう」と、会期末ぎりぎりまでのたたかい強化を訴えました。
 その後、公務労組連絡会の若井事務局長が、公務員給与や最賃闘争をめぐる情勢をのべながら、26日の最低賃金審議会が、プラス3円をふくむ目安額の有額引き上げ答申を4年ぶりに示したことを報告し、「最賃・人勧」一体のたたかいが確実に前進していることを強調しました。
 雨も小降りになり出すころ、いよいよ各単産の「パフォーマンス」が始まりました。
 トップバッターの国公労連は、夜行の貸し切りバスで駆けつけた近畿の仲間によるパフォーマンスです。「訴えたんジャー」など次々と人気者を登場させてきた国公労連は、「公務員はまだましやビーム」を発射する悪人に対して、5人の「護憲ライダー」がさっそうと登場し、「憲法28条(労働基本権)を守れ!」と一撃で退治すると、会場から喝采があがりました。最後に、「権利を武器にはね返そう。われら国公サポーター、護憲ライダー!」と5人で見事なポーズをつくりました。
 つづく自治労連は、時代劇「自治労連黄門」。タイトルからもわかるように、農民(国民)から年貢(税金)を巻き上げようとたくらむ悪老中「谷垣」に、これまた悪徳商人「豊田屋」が、「役人(公務員)を減して、お上の仕事(公務)は、商人(民間)にまわせ」と悪知恵をさずける話です。
 悪人たちが、年寄りを助けてほしいと願う町娘をねちねちといじめていると、最後は、助さん格さんをしたがえた「自治労連黄門」が登場してみごと成敗するという、わかりやすいストーリーの寸劇を披露してくれました。
 全教は、佐藤理河さん、植西智加子さんの両中執による即席の「かけあい漫才」を通して、職場に渦巻く怒りや、これからの生活への不満など、率直な声を聞かせてくれました。きっすいの関西人の植西中執と、北海道出身の訛った関西弁を話す佐藤中執とのやりとりに会場のあちらこちらから笑いがあがっていました。
 郵産労は、「ひとり芸人」というパフォーマンスで、文字通り、中年の変なおじさんが登場し、ひとりで「小泉」「竹中」「武部」「神崎」の4人を、往年のレオナルド熊さんを思わす毒舌でバッサリと斬り捨てる「芸」です。
 残念ながら紹介がありませんでしたが、サングラスで顔を隠した変なおじさんの正体こそ、郵産労の元中央執行委員長(現、顧問)の田中さんでした。
 雨はまだ降り続けていましたが、各単産の奮闘によって、会場がなごやかな雰囲気につつまれるなか、集会は、国公労連・清水中執のリードで、赤と緑のオリジナル「行動グッズ」をかかげ、人事院庁舎の方向にむかってシュプレヒコールを繰り返しました。
 集会の最後は、公務労組連絡会の石元議長が、「大変な天候のなかで行動を成功させたエネルギーを力にして、引き続き、職場や地域からたたかいぬこう」と閉会あいさつし、参加者は力強く団結ガンバロウをして、すべての行動を終了しました。

40万筆に迫る「給与構造の見直し」反対署名を提出

 中央行動に先立って、11時から人事院への署名提出・要請行動にとりくみました。
 要請行動には、北海道「地域給」阻止連絡会、東北「地域給」阻止対策会議、新潟、近畿、九州、全教(富山高)の代表6名が参加し、地方からの声を人事院に届けました。
 なお、この日に提出した人事院あての「給与構造の見直し」改悪反対署名は、56,300筆で総合計で、38万6千筆となりました。
以 上