No.532 2005年7月25日 |
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「マイナス」も伝えられるもと使用者責任を追及 | |
= 7・26第3次中央行動を翌日にひかえ、総務省と交渉 = | |
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「勧告が出れば適切に対応」との従来どおりの回答総務省との交渉には、公務労組連絡会から石元議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、柴田・新堰の両幹事が出席、総務省側は、人事・恩給局総務課の酒田総括課長補佐、笹森課長補佐ほかが対応しました。はじめに、石元議長が、「人事院からは『マイナス較差』もありうることが表明され、マスコミでは、すでに『マイナス勧告』を決めたかのような報道がされている。マイナスとなれば民間をふくめて大きな影響を与え、きわめて重大な事態となる。今日は、勧告前の最終的な交渉の場であり、使用者としての誠意ある回答を求めたい」とただしました。 酒田総括課長補佐は、「この間、みなさんからは、さまざまな意見をいただいてきた。みなさんの要求は、例年以上に切実なものであると受けとめる」とのべ、主に以下のような回答を示しました。 ●賃金要求にかかわって、総務省として、職員のみなさんが安んじて職務に精励できるための勤務環境の整備に努めたい。人事院勧告が出れば、労働基本権制約の代償措置として根幹をなす人事院勧告制度を尊重することが政府の基本姿勢であり、国政全般との関係を考慮したうえ、適切に対処していきたい。 ただし、公務員の給与水準は、国民に理解される内容であるべきことはご理解いただきたい。 ●退職手当については、国家公務員制度改革における指摘や人事院の「給与構造の基本的見直し」の状況などをふまえ、貢献度をより的確に反映し、人材流動化や在職期間長期化にも対応できる制度となるよう構造面での見直しを検討している。担当部局で作業をすすめており、引き続きみなさんからの意見・要望をうかがい、話し合いをすすめていきたい。 ●休暇制度拡充・労働時間短縮にむけては、総務省として、従来から超過勤務縮減や年休取得促進などにつとめてきた。2003年に見直した「国家公務員の労働時間短縮対策について」にも沿って、職業生活と家庭生活の両立にむけて、さらなる労働時間の短縮にとりくみたい。 昨年の人事院勧告では、小学校就学前までの部分休業の拡大などが報告され、今月15日には「多様な勤務形態に関する研究会」の最終報告も出されたが、総務省としては、人事院から意見の申し出があれば、適切に対処したい。 ●非常勤職員の労働条件改善では、公務の職場には多種多様な雇用・勤務形態があり、一律で管理することには困難もある。各省では、給与法に沿った適切な措置がなされているものと考える。なお、非常勤職員の育児・介護休暇については、民間での動向をふまえて人事院で検討されており、その動向を見守っていきたい。 ●男女平等の課題については、政府の「男女共同参画基本計画」や、人事院の「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」をふまえ、総合的かつ計画的なとりくみをおこなっている。短期間で解決できる課題ではないが、総務省としては、実態の把握につとめ、関係機関と連携して対策を促進していきたい。 ●職員の健康・安全、メンタルヘルスにかかわっては、各省で健康維持・増進につとめているが、とりわけ、心の健康の問題では、「国家公務員福利厚生増進基本計画」にも沿って、総務省として、メンタルヘルス対策を促進していきたい。 ●再任用制度については、民間の状況も視野に、雇用と年金の連携などにかわかって、再任用制度を基本的な方策と位置付けながら、各府省での実態の把握、フォローアップをふくめて円滑な推進をはかりたい。 ●回答は以上だが、今後とも、安定した労使関係の確立へ、みなさんとも誠意を持って話し合いをすすめ、意思疎通につとめたい。 「勧告待ち」で使用者としての責任を果たせるのかと追及これに対して若井事務局長は、「人事院が『マイナス較差もありうる』と表明され、そのうえ、『給与構造の見直し』で、中高年には7%もの引き下げが検討されている。こうした状況を総務省がどのように認識しているのか。給与引き下げで、どうやって安んじて職務に精励できる勤務環境をつくることができるのか。使用者としての具体的な方策を示してもらいたい」とのべ、総務省の見解をただしました。酒田総括課長補佐は、「厳しい状況はひしひしと感じるが、総務省としては、人事院が職員団体のみなさんと意見交換している現時点の見解を求められれば、勧告が出れば、それを見て検討するとしか申し上げられない」とのべたことから、「使用者としての努力を具体的に示すべきだ。人勧を待つのではなく、この段階で、マイナスは回避するよう人事院に申し入れるべきではないか」と追及しました。 しかし、「勧告制度がある以上、政府としては、人勧が出れば、その扱いについて判断する。勧告をそのまま右から左へと回すような扱いをしたことはない。とにかく、勧告が出てから考える」と繰り返しました。 また、柴田幹事は、「職場では、職員の働く意欲にかげりも生まれている。人勧待ちにならず、使用者として人勧前から考えるべきだ」とのべ、新堰幹事は、「全国どこでも同じように子どもを教えている教員が、その地域に大企業があるだけで賃金が変わってくるような人事院のやり方には納得できない。給与構造の見直しがねらわれるもとで、全教としては、かつてない数の署名が集まっている。それだけ不安を持っている。われわれが総務省に求めているのは、いま、この瞬間に、使用者として何をしてくれるのかだ」と、使用者責任を追及しましたが、酒田総括課長補佐は、「気持ちはよくわかるが、制度がある以上は、その制度の範囲内で対応するのが大前提だ。人事院が検討している段階で、勧告の中身についてあれこれするのは難しい。勧告を受け取ってから考える」と、「人勧待ち」の回答に終始しました。 若井事務局長は、「労働基本権が制約され、労使対等の交渉システムがないもと、人勧を見てから検討するとの態度では、あまりにも無責任だ。それならば、労働基本権を返せ。もう一度、勧告まで使用者として何ができるか真剣に考えてもらいたい」とのべ、また、最後に、石元議長が、「公務員給与引き下げへの職場や地域の不満は大きい。こうしたもと、山形県で地方公務労組連絡会が結成されるなど地域での運動も活発化している。また、明日は、最大規模の中央行動を配置している。今後は、勧告後の交渉となるが、要求の切実さを受けとめて検討をおこなうよう求める」とのべ、交渉を締めくくりました。 人事院「マイナス較差を想定せざる得ない」と表明
公務労組連絡会は、人事院の勧告作業にかかわって、現段階の状況について人事院にただしました。公務労組連絡会から、若井事務局長、黒田事務局次長が出席し、人事院は、森永参事官が対応しました。 |
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以 上 |