No.514
2005年2月14日
教員給与の水準確保を求めて全人連へ申し入れ
= 「参考給料表の作成、実施体制づくり」などへの支援を表明 =
 公務労組連絡会は14日、全教・自治労連とともに、教員の給与制度にかかわって、都道府県・政令市などの人事委員会で構成する全国人事委員会連合会(全人連)に申し入れました。
 この申し入れは、国家公務員の教育職俸給表(二)(三)が廃止され、公立学校教職員給与の国準拠制が廃止されたもとで、全国共通の教員給与の水準確保を求めて、あらためて全人連へ要請したものです。
 申し入れに答えて、全人連の内田公三会長は、「参考給料表の作成や実施体制づくりをふくめた具体的検討」を表明しました。


「ILO・ユネスコ勧告」もふまえ給与水準維持を求める

 全人連への申し入れには、公務労組連絡会からは、若井事務局長、北村・黒田両事務局次長、新堰・八巻・篠原(勇)の各幹事、全教から東森書記長、小澤執行委員、金子都教組執行委員、自治労連から川俣副委員長が出席、全人連は、内田会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、大立目(宮城県)、堀内(山梨県)、井上(横浜市)、帯野(大阪府)、丸山(広島県)、川田(徳島県)、平田(福岡県)の各人事委員会委員長、また、愛知県の千田委員、北海道の真鍋事務局長ほかが出席しました。
 はじめに、若井事務局長が、「日頃から公務労組連絡会の要請に対して、尽力いただいていることに感謝する。昨年の勧告から教育職(二)(三)表の勧告がなくなったが、『三位一体の改革』や地方自治体の財政状況を見ると、今後、憂慮する事態も想定される。そうしたもとで、本日提出する要請書をふまえて全人連としての対応を要請したい」とのべました。
 また、全教の東森書記長が、要請の趣旨にかかわって、「公立学校教員給与の国準拠制が廃止されるもとで、この間、公教育におけるナショナルミニマムの確保と、「同一労働・同一賃金」の原則にもとづき、教員給与の水準確保を要請してきた。各自治体とも、財政状況など引き続ききびしい状況と認識しているが、教員が安んじて教育活動に専念できるよう、全人連からの人事院への働きかけをふくめて対応をお願いする」と求めました。
 これに対して、内田会長は、以下のように回答しました。

(全人連会長回答)
 ただいまいただいたみなさんからの要請の趣旨については、確かにうけたまわった。さっそく、全国の人事委員会に伝える。
 現時点での全人連のとりくみと、検討状況について一言申し上げたい。
 昨年は、国立大学の法人化を受け、全人連として人事院に参考給料表の提示の働きかけを行ったが、結果として、改定そのものが見送られたため、参考給料表も提示に至らなかった。
 本年も、各人事委員会から参考給料表作成についての要望があり、全人連として、各人事委員会とも十分意見交換をおこない、より具体的な方向性や方法を検討していきたいと考えている。
 最終的には、各自治体が小中高の教員給与を自主的に決定していくこととなるので、全人連としては、そうした各委員会の自主的とりくみを支援できるよう、参考給料表の作成や、その実施体制づくりをふくめた具体的検討を行っていく考えだ。

 この回答を受けて、最後に、新堰幹事(全教副委員長)は、「ILO・ユネスコの『教員の地位に関する勧告』でも、『教員の地位に影響する様々な要因のなかでも、給与はとくに重要視しなければならない』とのべている。教育への関心が高まり、教員への期待も大きい。その点もふまえて、適正な給与水準の維持にむけた努力を要請する」とかさねて要望をのべ、申し入れを終えました。

以 上


(参考資料)

2005年2月14日

全国人事委員会連合会
会長 内田 公三 殿

公務労組連絡会      
議長 石元  巌
全日本教職員組合     
中央執行委員長 石元  巌
日本自治体労働組合総連合 
中央執行委員長 駒場 忠親

教員の給与制度の改変に伴う要請書

 日頃から、教職員の賃金・労働条件の改善に向けてご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、ご案内の通り、国立大学の法人化に伴い今年度から公立学校教員給与の国準拠制が廃止となり、人事院が勧告する教育職俸給表(二)(三)表に拠るのではなく、各地方人事委員会が独自に教員給料表を作成し勧告することになりました。
 これに際し私たちは、公教育におけるナショナルミニマム確保と『同一労働同一賃金』の原則に基づき、貴職をはじめ関係方面に対し次の要請を行ってきました。
@ 公立学校教員給与の国準拠制が廃止されたもとでも、これまでの各都道府県における確認・経緯を尊重し、現行の教員賃金水準を少なくとも維持すること。
A 国・関係団体の責任で、各都道府県人事委員会が参考にできる、全国共通の標準的な教員給料表・諸手当を策定すること。
B 人事院に対しては、今後も、中央の人事行政機関として、『人事行政の公正の確保及び職員の利益保護』の立場で、必要な役割の発揮を求めること。 
 このような中で全国人事委員会連合会(全人連)から人事院に対し、「参考として公立学校義務教育等に関する給料表を示していただきたい」との要望書を提出していただき、人事院も前向きな検討を行いましたが、今年度は俸給表の改定が行われなかったため、具体化されませんでした。
 人事院は、「今後、改定の必要があれば検討する」(2004年8月4日)と回答しています。
 周知の通り、自治体の財政難、人事院や総務省による「賃金制度の見直し」、「三位一体改革」による義務教育費国庫負担金の削減、財務省からの人材確保法廃止の圧力など教職員賃金をめぐる状況はたいへん厳しいものがあります。このようなもとでは、教員の給与水準が引き下げられることや都道府県・教職員間の給与格差が拡大することなどが懸念されます。
 つきましては、教職員が安んじて教育活動に専念できるようにするために、下記の通り、重ねて要請いたします。

1、公立学校教員給与の国準拠制が廃止されたもとでも、これまでの各都道府県における確認・経緯を尊重し、現行の教員賃金水準を少なくとも維持すること。

2、人事院に対し、各都道府県人事委員会が参考にできる、全国共通の標準的な教員給料表・諸手当を策定するよう要請すること。
以 上