No.508
2004年11月30日
「給与構造の見直し」で人事院に要求書を提出
= 地域間の給与格差の拡大、賃下げをまねく「素案」の撤回を求める =
 公務労組連絡会は30日、第3次中央行動と連動して、人事院に対して「給与構造の基本的見直し」にかかわる要求書(別掲)を提出しました。
 要求書では、賃金引き下げをともなう給与制度の見直しに反対し、俸給表水準の引き下げにつながる「素案」の撤回を要求するとともに、「給与構造の見直し」にあたっては、労働組合との交渉・協議をつくし、納得と合意のもとですすめることを求めています。
 今後、要求書にもとづいて、人事院との交渉を強めていきます。

公務職場に実績反映強化の「見直し」はなじまない

 人事院への要求書提出・申し入れには、公務労組連絡会から若井事務局長、黒田事務局次長が参加、人事院は、青木主任職員団体調査官が対応しました。
 若井事務局長は、要求書の提出にあたって、各項目の趣旨をのべつつ、「給与構造の見直しは、2002年の『骨太の方針』から示されてきた政府の総人件費抑制政策に沿ったものだ。国の見直しがすすめば、地方公務員は、市町村ごとに格差がひろがることとなる。また、国民に奉仕する公務の職場には、実績反映を強化した給与構造の見直しがなじむのかどうかきわめて疑問だ」とのべ、あらためて、11月初めに示された「素案」を撤回するとともに、労働組合との交渉・協議を抜きにして制度見直しはおこなわないように申し入れました。
 これに対して、青木主任職員団体調査官は、「要求の趣旨についてはうけたまわった。内容については、関係の各部局に伝える」とのべました。

以 上

「給与構造の基本的見直し」に関わる要求書

 人事院は04年勧告の報告において、「給与構造の基本的見直し」にむけた検討課題を示し、11月には、この報告にそった「素案」を労働組合に提示しました。その際、来年の給与勧告をめざして見直しを具体化していくことも表明されました。
 「素案」の内容は、「俸給水準の引き下げと地域に応じた適切な給与調整の実現」として、全国共通俸給表の俸給水準を引き下げ、20%を上限とした地域手当(地域調整額)を地域ごとに支給するとしています。また、「実績評価にもとづく昇給制度」にむけて、普通昇給・特別昇給を廃止して、「査定昇給」を導入する方向も明らかにされています。
 公務労組連絡会は、こうした給与構造の「見直し」が、「本府省と地方」「企画部門と実施部門」の分断管理、格差拡大につながることとともに、これらの検討が、「骨太の方針」でも示される総人件費抑制などの政府の財政的な要請から出発していることに、強い懸念を抱かざるを得ません。また、地域の国家公務員給与が引き下がるならば、地方公務員や教員、独立行政法人職員の給与水準にも連動し、ひいては地域経済にも否定的な影響を与えることは避けられません。
 私たちは、公務員労働者が長期にわたって職務に専念できるためには、公平で安定した給与処遇が不可欠であると考えます。その立場から、政府の財政的要請により、「民間準拠」にもとづき、地域間の給与格差を拡大し、実績反映を強化する「見直し」には反対します。
 こうした観点をふまえ、「給与構造の基本的見直し」にあたっては、下記事項にしたがって誠意を持って対応をはかるよう要求するものです。

1、賃金引き下げをともなう給与制度の「見直し」は断じて行わないこと。

2、地域別官民較差にもとづく俸給表水準の引き下げ案は撤回すること。全国共通の給与水準の維持をはかり、現行以上に地域間の給与格差を拡大しないこと。

3、短期評価を直接給与決定に反映させる「査定昇給」導入、昇給カーブのフラット化などの給与制度の「見直し」や、キャリア優遇と中央・地方の格差拡大につながる手当の新設等はおこなわないこと。

4、「給与構造の基本的見直し」の検討にあたっては、労働組合との交渉・協議を尽くし、納得と合意のもとですすめるとともに、スケジュールを優先させた拙速な検討をおこなわないこと。
以 上