No.507
2004年11月30日
「三位一体改革」「市場化テスト」許すな!
= 秋年闘争第3次中央行動に全国から1500人が結集 =
 公務労組連絡会は30日、秋季年末闘争における第3次中央行動にとりくみました。
 政府が、11月下旬に義務教育費国庫負担金の削減などを内容とする「三位一体改革」の「全体像」を決定し、また、「市場化テスト」にむけて民間からの公募など具体的な動きを強めているもと、中央行動では、財務省や内閣府などへの要求行動を展開するとともに、総決起集会で、郵政民営化阻止など来春闘にむけた決意を固めあいました。
 行動には、全国の職場から1500名が参加し、寒風が吹くなかで奮闘しました。

地方切り捨てやめろ!国民本位の予算確立を求める

 東京は抜けるような青空がひろがる快晴にめぐまれましたが、年末をひかえて寒さもいちだんと身にしみるなか、各地の仲間が中央行動にぞくぞくと駆けつけてきましました。
 昼休みの時間帯に開催された財務省前の要求行動では、主催者を代表して駒場副議長があいさつし、「イラク戦争では、オランダ軍が撤兵を決めた。この戦争に大儀がないのは明らかだ。自衛隊のイラク派遣延長を打ち破ろう」とのべつつ、「三位一体改革」とともに、定率減税の廃止をねらう財務省に対するたたかいを強め、「国民への負担の転嫁を許さないためがんばろう」と呼びかけました。
 情勢報告では、公務労組連絡会の新堰幹事が、義務教育費国庫負担金の削減など、この間の政府の動きを報告し、「地方分権の改革というが、実際は、地方分解、地方切り捨て、住民いじめの改革だ。たたかいが反映して、政府内部にも矛盾がひろがっている」とのべ、今後のたたかいの重要性を強調しました。
 各単産からの決意表明では、3人が登壇し、「裁判にカネと時間がかかる要因には、人と予算の不足がある。国民に開かれた裁判所にするには、増員は不可欠だ。10年目をむかえた『全司法大運動』でがんがばりたい」(国公労連全司法・藤田中執)、「東京都では、三多摩の1町14市に交付金が支給されず、自治体財政は非常事態だ。一方で、大企業開発でむだ遣いする石原都政の矛盾もひろがっている。都政の流れを変えるため奮闘する」(東京自治労連・高橋さん)、「義務教育費国庫負担金の削減決定に抗議する。日本の教育予算は、世界的にみても、OECDに参加する国の中で最下位だ。少人数学級を国の政策として実現するための予算確保こそ必要だ。父母・住民と共同をひろげてたたかいたい」(全教本部・杉浦中執)など、地方切り捨ての「改革」がさまざまな分野で矛盾をひろげていることが明らかにされました。
 最後に、財務省にむけてシュプレヒコールを繰り返し、財務省前の歩道を埋め尽くした参加者は、次の行動場所の総務省へとむかいました。

公務労働者が一丸となり「給与構造見直し」に対してたたかおう

 総務省前の要求行動では、柴田幹事が、来年に法案提出がねらわれる郵政民営化や、財界による公務職場乗っ取りともいえる「市場化テスト」など、公務リストラの実態をめぐって情勢報告しました。また、人事院の「給与構造の見直し」とも同時並行的に総務省がすすめている地方公務員の給与制度「見直し」にふれ、公務労働者の一体となったたたかいを呼びかけました。
 これをうけて、3名の代表が決意表明し、「京都の過労死裁判では、過重な職務が原因であることを認める判決が出された。病気休暇が1.7倍になるなかで、教員を競争にあおり立てることに怒りを感じる。子どもの願いに応える学校をつくるため奮闘する」(全教本部・吉田書記次長)、「昨夜、給与構造見直しの地域学習会を開いた。学習会には、自治労組織の組合員も参加し、エールを交換した。こうした攻撃の根源に小泉『構造改革』があることは明らかだ」(滋賀自治労連・今村書記長)、「今朝、0℃の中を出てきた。寒冷地手当の改悪に怒りを感じる。給与構造見直しは、賃金差別攻撃であり、組合つぶしをねらうものだ。寒冷地手当のたたかいを教訓にして、地域給の引き下げを許さないたたかいでがんばりたい」(国公労連全建労東北地本・加藤委員長)など、地域からたたかう決意が次々とのべられました。

「市場化テスト」など公務の商品化は許さない

 財務省・総務省前の行動と並行して、内閣府・行革推進事務局への要求行動がとりくまれました。
 内閣府前の行動で主催者あいさつした堀口副議長は、「小泉構造改革は、最低限の住民福祉までも切り捨てるのが実態だ。市場化テストなど、公務の商品化、切り捨ては断じて許さない。国民犠牲の公務リストラ、三位一体改革など、住民の生活擁護と私たちの要求を結合して奮闘しよう」と呼びかけました。
 行動提起で北村事務局次長は、「『三位一体改革』は、国の責任を放棄して地方に丸投げするもの。暮らし・福祉・教育の分野に打撃を与える。市場化テスト、義務教育費の削減、郵政民営化を断じて許さず、職場地域から先頭にたってたたかおう」と訴えました。
 決意表明では、「三位一体改革反対のとりくみでは、全国の700近い首長の直言をうけて冊子としてとりまとめ、全国紙には意見広告を掲載した。岡山では県内71自治体に対して要請キャラバン行動にとりくみ、小泉構造改革への批判が寄せられた」(岡山自治労連・高木書記長)、「規制緩和・官業の民間開放にあたえる影響ははかりしれない。国民の権利をまったく無視してすすめている。ハローワークの民間開放がすすめば、雇用破壊がいっそう進行する」(国公労連全労働千葉支部・栗原書記長)など、それぞれ地方職場の代表からの決意がのべられました。

郵政民営化阻止へ「100万署名」で決起しよう

 引き続く行革推進事務局前の行動は、全労連「公務員制度改革」闘争本部との共催でとりくまれ、主催者あいさつした闘争本部の岩田事務局長(全労連事務局次長)は、臨時国会への関連法案提出が事実上、見送りとなったもとで、「政府は法案提出を断念したわけではない。引き続き、労働基本権回復を求めて、来年2月には国際シンポジウムを開催するなど通常国会へ向け動きを強める。また、もうひとつの焦点である郵政民営化の阻止へ来年にむけて奮闘しよう」と呼びかけました。
 つづいて、公務労組連絡会の公務員制度対策委員でもある国公労連川村中執が、「政府は、2度にわたるILO勧告を無視して法案づくりに奔走してきた。これほど公務労働者と国民をないがしろにしてきたとこはない。郵政民営化では国民の大多数が反対しており、大義はない。構造改革の本丸の郵政民営化阻止に決起しよう」と、行動提起をおこないました。
 こうした行動提起をうけて、3名の代表が発言し、「猛暑、相次ぐ台風、新潟中越地震と災害の多い年であり、そのなかで気象労働者は、日夜奮闘してきた。市場化テスト導入の動きがあったが、気象事業の拡充をもとめて奮闘する」(国公労連全気象・藤田副委員長)、「三位一体改革は福岡県に大きな打撃を与え、県内97自治体のうち、22自治体の首長が自治労連へ直言を寄せている。このままでは赤字債権団体へ転落する。国民・住民本位の行財政を求める」(福岡自治労連・懸谷(かけたに)書記長)、「郵政民営化は議論が進んでいるように見えるが、国民の声を無視したままだ。ねらいは日本の財界が自由に活動することだ。12月から100万を目標とした署名を開始する」(郵産労・日巻書記次長)など、今後にむけたたたかう決意が表明されました。

05春闘のたたかいを展望して各単産から力強い決意表明
〜 日比谷野外音楽堂で「公務労働者総決起集会」を開催 〜

 2か所に分かれて要求行動にとりくんできた参加者は、日比谷野外音楽堂に集合し、14時から「秋年闘争勝利11・30公務労働者総決起集会」を開催しました。
 会場には色とりどりののぼり旗がはためくもと、主催者としてあいさつした公務労組連絡会石元議長は、「交付金や義務教育費国庫負担金の削減など『三位一体改革』は、憲法で保障する国民の諸権利を破壊するものだ。重要な時期に開催された行動であり、05春闘のたたかいへと発展させるため全力をあげよう」と訴えました。
 民間労組を代表して激励に駆けつけたJMIUの三木書記長は、「『すべての仲間の賃上げを』をスローガンにしてたたかっている。ボロ儲けをつづける大企業は、雇用を生み出す力があり、社会的責任がある。新潟の震災は、助け合いの心を忘れてはならないことを教えた。連帯と助け合いこそ労働組合運動の原点だ。官民の共同をひろげるためお互いに大いに奮闘しよう」と決意をこめてあいさつしました。
 若井事務局長の情勢報告・行動提起では、市場化テストなど公務破壊の規制改革をめぐる動き、「給与構造の見直し」や「公務員制度改革」にかかわる今後のたたかいの重点がのべられ、また、そのなかで、9月からとりくんできた「ILO勧告遵守署名」を11,300団体から集約したこと、現時点で70人の国会議員が請願の紹介議員となっていることなどが報告されました。若井事務局長は、「すべての攻撃の根源には、小泉構造改革がある。これと対決しなければ要求は前進しない。『改革』の化けの皮をはがそう」とのべ、50年を迎える節目の春闘への総結集を呼びかけました。
 決意表明では、5単産の代表が登壇し、各職場の状況にもとづいた発言がありました。「民営化や市場化テストにより、公共サービスを儲けの対象にする段階にまできている。国民生活よりも企業活動を優先する『改革』と対決するため、国公労連として、公共サービス商品化反対キャンペーンにとりくむ」(国公労連・小田川書記長)、「『三位一体の改革』は、国の借金のツケを地方に回し、地方財政を圧縮する改革だ。住民サービスの切り捨てに反対して、これからのとりくみが重要だ。職場から奮闘する」(自治労連・林中執)、「教育基本法の改悪法案を出そうとしているなかで、教育基本法改悪阻止11・6集会には5,500人が集まった。地方の財政力によって教育の格差を生み出す義務教育費国庫負担金削減に反対するたたかいを広げていく」(全教・石川副委員長)、「郵政民営化は小泉構造改革の本丸だ。郵産労は30万枚のビラ宣伝、地方議会・自治体要請にとりくんできた。来春には5千名規模の大集会を計画する」(郵産労東京地本・吉沢書記長)、「独立行政法人への移行にあたって、賃金・一時金の引き下げと評価制度の導入がすすんでいる。評価制度とは、モノが言えない職員を作り出す制度だ。分断の手段にさせないため全力をあげる」(特殊法人労連・南副議長)など、決意あふれる発言がつづきました。
 自治労連の木村中執のリードによるシュプレヒコールは、日比谷野外音楽堂のすぐ右手にある人事院にむけて、全員でこぶしをあげ、「査定昇給」や地域給与の引き下げなどをねらう人事院への怒りとたたかう決意を示しました。
 最後に堀口副議長が閉会あいさつし、「国民・住民のなかへ打って出ればでるほど、たたかいは大きなうねりとなっていく。悔いを残さないたたかいをすすめるため、全国各地で奮闘しよう」とさらなる奮闘を訴え、団結ガンバロウを三唱して集会を閉じました。
 集会終了後には、参加者は、最終盤をむかえた国会に対して、イラクからの自衛隊の即時撤退、憲法・教育基本法の改悪反対などを訴えて請願デモに出発しました。
以 上