No.498
2004年9月28日
公務労働者の力で小泉「構造改革」に痛打を!
= 秋年闘争第1次中央行動に全国から950名が結集 =
 公務労組連絡会は28日、秋季年末闘争における第1次の中央行動にとりくみました。
 小泉首相は、内閣改造によって、「構造改革」の本丸に位置づける郵政民営化の推進とともに、憲法改悪にむけた体制固めをすすめています。
 こうしたもとでとりくまれた中央行動では、総務省・行革推進事務局への要求行動、総決起集会などを通して、寒冷地手当改悪や地域給与「見直し」の阻止、民主的公務員制度の確立など公務労働者みずからの課題とともに、地方切り捨ての「三位一体の改革」阻止や憲法改悪反対など国民的課題と一体にしてたたかう決意を固め合いました。
 中央行動には、全国から950名が参加しました。

寒冷地手当改悪、地域給与の「見直し」は許さない

 昼休み時間帯に開催された総務省前の要求行動では、主催者を代表して石元議長があいさつし、「小泉改造内閣が発足したが、郵政民営化で大企業・大銀行に儲けの場を提供し、憲法・教育基本法の改悪をめざしている。『改革』をすすめるほど、国民との矛盾は拡大せざるをえない。賃下げの悪循環を加速させる地域給与の見直し反対のたたかいとも結びつけ、国民とともに秋年闘争に奮闘しよう」と呼びかけました。
 つづく岸田幹事・賃金労働条件専門委員長の情勢報告では、04人勧の閣議決定にいたるたたかいの経過と問題点、独立行政法人や地方自治体での賃金確定闘争の現状、規制緩和や「市場化テスト」による公務職場破壊の攻撃など、秋年闘争全般にわたる情勢と課題が簡潔に報告されました。
 これをうけた各単産の決意表明では、「大阪労連規模で大阪市人事委員会に要求書を提出し、マイナス勧告に歯止めをかけた。職場ではケースワーカーの増員が凍結され、1人の職員が380世帯を担当している。そうしたなかでの成績主義の導入にストップをかけるため全力をあげる」(自治労連大阪市役所労組・田所執行委員)、「小泉内閣がねらう義務教育国庫負担金の一般財源化は、全国的に均等であるべき教育に格差を持ち込むもの。予算不足から『50人学級』にもなりかねない。全国の教育長からも反対の声があがっている。現行制度を維持することを政府に要請する」(全教本部・吉田中執)、「地域給与の見直しは、地域経済を冷え込ませ、労働者を分断する攻撃だ。一丸となってたたかわなければ、労働組合の存在意義が問われる。寒冷地手当改悪や定員削減強行など職場にうずまく怒りを背景に、断固たたかいぬく」(国公労連全運輸・今井書記次長)など、地域切り捨てに対する怒りの発言がつづきました。
 参加者は、総務省にむけてシュプレヒコールを繰り返した後、駒場副議長が閉会あいさつし、「賃金改善のたたかいでも、民主的公務員制度確立や公務職場の破壊を許さないたたかいでも、この秋のたたかいは決定的に重要な意味を持つ。その出発点となっ本日の行動を通しておたがいの決意を固め合い、職場や地域から奮闘することを確認しよう」と訴え、最後に団結ガンバロウを三唱して、総務省前の行動を閉じました。

公務員制度改革・郵政民営化の「本丸」を攻めあげる

 総務省前行動と並行して、全労連「公務員制度改革」闘争本部主催による行革推進事務局前の要求行動がとりくまれ、約250人が行革推進事務局のある虎ノ門「第10森ビル」前に結集しました。
 主催者を代表してあいさつした堀口闘争本部副本部長・国公労連委員長は、「政府は、関連法案提出をねらっているが、内容・手続きの両面から不十分であり、全体像が示されていない。行政の現場に大混乱をひき起こすものだ。2度にわたるILO勧告を尊重し正面から交渉・協議に応じることを求めて奮闘する」と決意をのべました。
 岩田闘争本部事務局長・全労連事務局次長の闘争報告では、「闘争本部として、交渉・協議の場の設置を求め申し入れてきたが、いっこうに進展が見られず、きわめて不当だ」とこの間の経過がのべられ、「ILO勧告遵守署名」を目標通り2万団体から集約することを強く訴えました。
 参加者の決意表明では、「ある公共職業安定所の所長から、職員に無理に差をつけるのは申し訳ない、こんな法案がでたら困る、ぜひがんばってほしいと激励された。今こそ公務労働者の力を発揮し、制度改悪と正面からたたかおう」(国公労連全労働・斉藤中執)、「小泉改造内閣では、郵政民営化を推進してきた竹中大臣を民営化担当にした。民営化のねらいは貯金資産340兆円にあり、132年間つづいたサービスを切り捨てるものだ。広範な国民と手を携えてたたかう」(郵産労・山崎委員長)、「地方人事委員会勧告では、札幌市などが賃下げ勧告を強行した。ルール破壊、自治体リストラ、アウトソーシングなどで雇用や賃金破壊がすすんでいる。住民サービス拡充と一体で憲法と地方自治を守るため奮闘する決意だ」(自治労連・川俣副委員長)など、「公務員制度改革」や郵政民営化、公務リストラに反対してたたかう決意が示されました。
 最後に、国公労連山瀬副委員長が、「行革推進事務局、郵政民営化準備室が入るこのビルは小泉構造改革の『本丸』でもある。引き続き秋から年末にむけて全力でたたかおう」と閉会あいさつし、団結ガンバロウで要求行動を終えました。

中央行動の成功を確認し、職場・地域での奮闘を誓い合う

 参加者は、各所での行動を終え、社会文化会館で開催される総決起集会の会場に集合しました。決起集会は、全労連「公務員制度改革」闘争本部と公務労組連絡会の共催によるものです。
 主催者あいさつした全労連「公務員制度改革」闘争本部の坂内闘争本部長・全労連事務局長は、「小泉改造内閣にどれほど人が期待しているだろうか。改憲論者が勢揃いした内閣に、小泉首相の本音が現れている。鎧(よろい)の下に改憲の刃(やいば)がのぞいている」と指摘したうえで、「公務員制度改革」関連法案をめぐる動きに触れ、「労働基本権をめぐる議論もないままで、全労連・連合が関連法案提出に反対するもと、行革推進事務局の作業も難航している。民主的公務員制度の確立にむけて引き続く奮闘を呼びかける」とのべ、闘争本部の運動への結集を訴えました。
 激励に駆けつけた建交労の赤羽書記長は、「規制緩和によって、タンクローリーやタクシーの運転手の賃金が切り下げられ、一方では、国民の安全・安心が崩れされている。そして、労働基本権制約で公務員の手足をしばって、公務員制度が改悪されようとしている。国民生活を守るために公務労働者の果たす役割は大きい。公務・民間が連帯して大いにたたかおう」とあいさつしました。
 その後、若井事務局長が、秋年闘争における情勢と諸課題を報告し、行動提起しました。とりわけ、人事院が来年の勧告でねらう「地域給与の見直し」に対して、この秋から各地での学習会開催や地域共闘組織確立をめざし、出足早くたたかいに立ち上がること、また、「公務員制度改革」関連法案の国会提出がねらわれる緊迫した情勢のもとで、2万団体を目標とした「ILO勧告遵守署名」をやりあげるため全力をあげることが強調されました。
 各単産代表からの発言では、「ILO勧告に背をむけたままの関連法案提出は断じて認められない。寒冷地手当改悪や地域給与の見直しは、小泉改革によって拡大する地域の経済格差をいっそうひろげるものだ。圧倒的なファンの支持を得たプロ野球労組のたたかいにならい、『住民とともに、住民のために』の立場でたたかう」(自治労連・松本書記長代行)、「小泉改造内閣は教育基本法改悪をねらっており、たたかいは重大な段階に入った。教員評価制度の弊害はすでに明らかであり、能力・実績主義を強化する『公務員制度改革』に反対するたたかいを憲法・教育基本法改悪反対と一体でとりくむ必要がある。全教は、構成組織の過半数を上回る数のILO署名を取り切る決意だ」(全教・新堰副委員長)、「行革推進事務局と交渉してきたが、いまだに新たな公務員制度の全体像が示されていない。労働基本権の議論にも応えようとしておらず、能力等級制は勤務条件であることも認めていない。関連法案をめぐって大きなヤマ場をむかえつつあるもとで、ILO勧告に沿った公務員制度確立めざして全力をあげる」(国公労連・盛永副委員長)など、各単産のたたかう決意がのべられました。
 最後に石元議長が閉会あいさつし、「小泉改造内閣発足の翌日に、郵政民営化など国民犠牲の『構造改革』に正面から反対して公務労働者が行動に立ち上がったという点で本日の中央行動は大きな意義を持ち、政府にもインパクトを与えるとりくみとなった。行動の成功をおたがいに確かめ、職場や地域でたたかいを前進させ、10月20日の第2次中央行動につなげよう」と1日の行動をまとめ、団結ガンバロウ三唱で集会を締めくくりました。
 その後、参加者は、臨時国会への法案提出がねらわれる「公務員制度改革」関連法案や寒冷地手当改悪法案などにかかわって、衆参のすべての国会議員に要請しました。
 国会が閉会中でもあり、ほとんどが議員秘書の対応でしたが、「公務員制度改革は、労働基本権の議論が不十分だ。がんばってほしい」「東北出身であり、寒冷地手当の重要性は理解できる」「寒冷地手当をなぜ改悪するのかわからない。地域経済も影響する。議員にも伝える」などの声が与党・野党から寄せられています。

以 上