No.495
2004年9月9日
寒冷地手当・俸給構造見直しに質問が集中
= 04勧告にかかわって衆議院総務委員会で閉会中審査 =
 衆議院総務委員会は9日午前、04年人事院勧告にかかわって、閉会中審査をおこないました。
 委員会では、ほとんどの議員が寒冷地手当と地域給与「見直し」をとりあげるなど、国会での関心の高さも示されました。
 一方では、政府が明日10日にも勧告実施の閣議決定をねらうもと、公務労組連絡会は、緊急の総務委員会の傍聴行動にとりくみ、8名(郵産労2、自治労連・全教・国公労連・特殊法人労連各1、事務局2)が参加しました。

「組合とは60回も意見交換した」と人事院

 この日の委員会で質問に立ったのは、岡本芳郎(自民)、河合正智(公明)、稲見哲男(民主)、黄川田徹(民主)、塩川鉄也(共産)、横光克彦(社民)の各議員で、約2時間にわたる質疑では、給与水準や一時金などにかかわる質問はほとんどなく、寒冷地手当と給与構造の基本的見直しに質問が集中しました。
 寒冷地手当では、「寒冷地での生計費を補填するための手当として定着しているものを、なぜ今年の勧告で見直す必要があるのか。雪国では雪下ろしが大変な作業であり、とくに高齢化がすすむもとで負担は増えている。その点にも配慮したのか」(公明・河合議員)、「今年度からの改訂で混乱なく実施できるのか」(自民・岡本議員)など、与党議員も疑問を呈しました。
 これに対し、「民間調査では、除雪費などを別途支給している企業が多くあり、今回の見直しでは、その点も十分考慮した」(人事院山野給与局長)、「今年の実施となるが、経過措置があり、混乱なく実施が可能だ」(総務省戸谷人事・恩給局長)などと答弁しました。
 また、民主党の黄川田議員が、「地方財政が厳しいなかで、人件費を減らす手段として寒冷地手当見直しが出てきたのではないか。労働組合と十分に協議したのか」と追及すると、山野局長は、「昨年の勧告で寒冷地手当見直しを表明してから、この1年間で、職員団体と60回におよぶ意見交換の場を持った。話し合いを通して、厳しい内容だがやむを得ないものと職員団体には理解いただいていると考えている」などと強弁しましたが、この間、公務労組連絡会などが指摘した数々の問題点や矛盾点に何ら答えず、1月の提案からわずか約半年で、今年の勧告で強行してきたのが実態です。
 すでに260を超える地方議会で、寒冷地手当改悪反対の決議が採択され、政府・人事院に意見書があげられています。こうした地域の声に国会がどう応えるのかが問われており、臨時国会での十分な審議を求めていく必要があります。

「地域給与見直しは、官民の賃下げ競争を招く」と追及

 人事院が、04勧告で報告した「給与構造の見直し」について、民主・稲見議員は、「地域給与の見直しでは、本俸を一律に引き下げて、その原資で東京の給与を上げるならば、霞が関優遇そのものだ。特権キャリア制度をあらためるべきとの国民の声とも逆行する」と批判しました。
 また、共産党の塩川議員は、「地域給与」問題に質問を集中させ、「全国規模で展開している企業を見ると、基本給で格差をつけている企業はきわめて少ない。そのことを考えても、国家公務員の給与に地域差をつけることにどれだけの道理があるのか」とのべ、「民間準拠と言うが、全国展開している大企業と、地場の中小企業との『民民格差』が、人事院の調査結果に現れただけではないのか」と追及しました。
 佐藤総裁が、「そのことは否定しないが、今回の調査では、企業規模など地域の特性がなるべく反映しないようにブロックごとに数字を出すなど工夫した」とのべたことから、塩川議員は、「大企業と中小企業の賃金格差を、国家公務員の給与に反映させるのは納得できない。国がすべきことは、こうした賃金格差の是正にむけた努力だ。賃金格差を追認し、公務員にあてはめるのは容認できない」と、人事院の地域給与の見直しを批判しました。
 佐藤総裁は、「指摘いただいた点は理解できる面もあり、そうしたこともふくめて、今後、検討していきたい」と答弁しました。
 塩川議員は、「昨年7月の『地域給与研究会』の基本報告では、地域別の俸給表は公務の実情にそぐわないとはっきりと結論づけている。道理ある主張だ。なのに、今回の報告は、ブロック別の俸給表も検討するとしている。研究会報告を否定するものだ」とのべ、人事院の見解をただしました。
 山野給与局長は、「研究会報告報告を否定しているわけではない。確かに地域別の俸給表には問題点はあるが、たたき台として示したものだ。政府の検討では、ブロック別の俸給表が議論にのぼったこともある」などと答弁したことから、「政府の圧力に屈するものだ。『第三者機関』としての人事院の存在意義が問われる」と厳しく指摘しました。
 最後に、塩川議員は、「地域給与の見直しは、地方公務員をはじめ公務関連労働者の給与に影響を与え、地域経済にも影響する。また、官民の賃金引き下げ競争を招くことから認められない。そして、その先取りとしての寒冷地手当見直しも、多くの問題点を持っており、納得できるものではない。引き続き国会で追及していく」とのべ、質問を終えました。
以 上