No.490 2004年8月4日 |
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本俸・一時金は据え置き、年収減にストップ | |
= 勧告を前に公務労組連絡会が人事院と最終交渉 = | |
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育児の部分休業の拡大、短時間勤務制で子育てを支援 |
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人事院との最終交渉には、公務労組連絡会から石元議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、新堰幹事、柴田幹事、国公労連から山本中執が出席、人事院は、給与局の幸課長補佐、職員福祉局の酒井課長補佐が対応しました。 はじめに、石元議長が、「本日は、勧告前の最終交渉となる。公務労組連絡会として、連年の賃金引き下げや寒冷地手当改悪に反対してきたが、この間の交渉をふまえた誠実な回答を求める」とのべ、勧告の内容にかかわって見解をただしました。 幸課長補佐は、「人事院としては、この間、正確な民間賃金実態調査にもとづいて、官民比較を基本に、各方面の意見もふまえながら勧告作業をすすめてきた。その結果、5年連続で減少してきた年収が、6年ぶりに前年を維持することとなった」とのべ、以下のとおり回答しました。 【人事院最終回答】 1、勧告日は、8月6日となる予定である。 2、官民較差については、数十円程度の極めて微小なもので、官民較差はほぼ均衡していると見込まれる。なお、これは、寒冷地手当の見直しを含んだもので、これを含まない前の較差は、わずかなマイナスとなる見込みである。 したがって、月例給の改定は見送る予定である。 3、特別給については、官民の支給月数はおおむね均衡していると見込まれ、支給月数の変更はない見込みである。 4、寒冷地手当は、民間準拠を基本として、次のように見直すこととする。 @ 支給地域 北海道、および、北海道と同程度の気象条件が認められる本州の市町村とする。 A 支給額 民間の支給実態にあわせて、支給額を約4割引き下げる。 最高支給額は、131,900円となる。 B 支給方法 一括支給から、11月から3月までの5か月間の月額制に変更する。 C 実施時期等 本年の寒冷地手当から実施する。 実施にあたって、所要の経過措置を講ずる。 5、国立大学法人化等にともなう給与法の規定を次のように整備する。 @ 教育職(一)は、1級を削除して存置する。教育職(二)および(三)は廃止する。教育職(四)は、名称を教育職(二)とし、4級、5級を削除して存置する。 A 指定職俸給表12号俸は、当該官職がなくなるので削除する。 これと関連して、任期付研究員等の俸給月額の上限を指定職11号俸相当に変更する。 B 義務教育等教員特別手当等の教育職員関係手当については、廃止等の所要の改正を行う。 以上が勧告事項であり、以下は報告事項となる。 6、給与構造の基本的見直しについては、報告で、次の検討事項等に言及する。これらについては、来年勧告にむけて各府省・職員団体等関係者との議論をすすめ、具体化していきたい。 @ 俸給表の全国水準の引下げと地域に応じた適切な給与調整の実現 ・民間賃金の低い地域における官民給与較差を考慮して、全国共通俸給表の水準引き下げ ・民間賃金の高い地域には、地域手当(仮称)を新設 ・転勤手当(仮称)を新設 A 俸給関連の課題 ・専門スタッフ職俸給表(仮称)の新設 ・俸給構造の見直し(級の新設・統合による級構成の再編、昇給カーブのフラット化) ・昇格基準の見直し等 ・実績評価にもとづいた昇給(査定昇給)の導入等 B 手当制度関連の課題 ・勤勉手当の実績反映の拡大 ・本府省手当(仮称)の新設 ・俸給の特別調整額の定額化 7、官民比較方法の見直しについて、来年の官民比較から、比較給与種目から通勤手当を外し、俸給の特別調整額を入れる等の見直しを検討する旨報告で言及する。 あわせて、民間の人事・組織形態の変化に応じた官民比較方法の検討にも言及する。 8、公務員人事管理については、報告で、次の事項等に言及する。 ・能力・実績にもとづく人事管理の推進、再就職ルールの適正化 ・キャリアシステムの見直しの検討、セクショナリズムの是正、民間人材活用および人事交流の促進等 ・勤務時間制度の弾力化・多様化、心の健康づくり対策、再任用制度の活用等 ・試験制度改革、女性公務員の採用・登用の拡大、能力開発・研修等 なお、このうち、勤務時間制度等に関しては、多様な勤務形態に関する研究会の中間取りまとめをふまえ、育児をおこなう職員の部分休業の拡充、短時間勤務の導入、男性職員の育児参加促進策等を検討し、職業生活と家庭生活の両立支援策を推進していきたい。 教員給与の適正水準を維持するため人事院としても努力をこの回答に対して、新堰幹事は、「教育職(二)(三)表は廃止されても、教職員給与の全国的な適正水準を維持するため、参考となるものを人事院として提示するよう求めてきたが、現時点でどのような認識にあるのか。また、義務教育等教員特別手当等の廃止などが打ち出されているが、公立学校に影響することはないのか」とただしました。幸課長補佐は、「教育職俸給表は、要請もうけて検討してきたところだが、今年は俸給表の改定もなく、今のところ、今後、何をするのかという意思決定にもいたっていない段階だ。必要性が出てきたところで判断したい。また、特別手当等にかかわっては、公立に該当する教員がいるのかどうかもわからないが、各自治体などで別の判断をするものと考えている」と回答しました。 また、「地域給与の見直しでは、20%の格差をつけるとの話も出ていた。報告では、数字まで出すこととなるのか」との質問には、「分析データをふくめて数値(20%)は出させてもらう。しかし、あくまでタタキ台であり、今後の議論のなかで変わりうる可能性もある。現時点での骨子を示すだけだ」と明らかにしました。 その他、育児休業の拡充などの具体化のプロセスについて、酒井課長補佐は、「具体的な検討はこれからとなる。今後のスケジュールもまだ申し上げられない段階だ。成案を得られるものから随時推進していきたい」と回答しました。 給与制度の見直しで公務労組連絡会との十分な協議を求める若井事務局長は、回答全般にかかわって、「今年の春闘相場や、マイナスを示唆した人事院総裁の就任記者会見など、きびしさが伝えられるなかで現状を維持したのは運動と世論の反映だ。しかし、寒冷地手当は、生計費補填という性格から民間準拠へとものさしを変え、北海道の気象データで線引きしたことは認められない。また、今年度からの性急な実施も到底同意できるものではない」と指摘しました。また、給与制度の見直しについては、「労働基本権が保障されていないもとで、不利益変更をともなう見直しを踏み込んで報告することは認められない。今後、公務労組連絡会とも、十分な交渉・協議をおこない、合意形成をはかるよう求める」とのべ、誠意ある対応を迫りました。 最後に石元議長は、「回答を受けたが、連年のマイナスをくい止めたのは受けとめるが、寒冷地手当の改悪は断じて認めるわけにはいかない。また、給与制度の見直しは、労働組合との協議を抜きにした強行は許されない。公務労組連絡会と十分に協議するようあらためて強く求める」とのべ、交渉を締めくくりました。 炎天下、猛暑のなかで座り込み行動がスタート!3日間連続の人事院座り込み行動がスタートし、初日の4日は、炎天下にのべ350名が参加、朝10時から午後4時まで座り込みました。昼休みの人事院前要求行動では、駒場副議長が主催者あいさつし、「1年中で一番暑いといわれるこの時期だが、3日間連続の座り込み行動を通して、職場の仲間を代表して怒りをぶつけながら、最後までがんばろう」と参加者に呼びかけました。 連帯あいさつに駆けつけた全労連の国分副議長は、「民間型の賃金破壊が、そのまま公務にも持ち込まれようとしている。公務労組・全労連・春闘共闘は最賃と人勧を結合して中央・地方でたたかってきたが、いよいよ公務の重要局面をむかえている。みなさんの奮闘に期待する」と激励しました。 岸田幹事・賃専委員長から、人事院勧告をめぐる現局面を中心に闘争報告があり、その後、3名が決意表明し、「寒いのは変わっていないのに、手当を減らすのはおかしい。データーを無理やりもってきて対象地域を減らすというやり方もおかしい。今年から実施するというやり方はむちゃくちゃだ」(国公労連全労働福島支部・熊田書記長)、「東京都は、基本給を低く抑えて、査定給を導入しようとしている。東京都の人事委員会勧告にむけてたたかいを強め、今年こそは賃金アップを勝ちとる」(東京自治労連・桑原副委員長)、「労働条件の整備の問題で、子育て中の部分休業が6歳まで延長されるのは歓迎だ。持ち帰り残業が増えないよう、代替要員など労働条件の整備にむけて、さらにがんばりたい」(全教・八巻中執)などの怒りや決意が示されました。 勧告日は6日とされていますが、6年連続の年収マイナスをストップさせたことを確信にしつつ、一方での寒冷地手当改悪や地域給与の見直しなどを断じて許さないため、公務労組連絡会は、最後の最後まで座り込み行動を打ち抜きます。職場からの多くの仲間の参加、激励メッセージの送付を呼びかけます。 |
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以 上 |