No.487
2004年7月27日
「賃下げ勧告を許すな!」と意気高く奮闘
=  夏季闘争第4次中央行動に2500人が結集 =
 公務労組連絡会は27日、夏季闘争の第4次中央行動をとりくみました。
 行動には、全国から2500人の公務労働者が参加、人事院前の要求行動や座り込み、各府省への要請行動を展開し、日比谷野外音楽堂での総決起集会で締めくくりました。
 参加した仲間は、30度を超える猛暑のなか、賃下げ勧告・寒冷地手当改悪反対、賃下げの悪循環阻止、すべての労働者の賃金改善の要求をかかげ意気高く奮闘しました。

人事院を怒りで包囲した公務・民間の労働者

 午前10時からスタートした人事院前の座り込み行動では、公務労組連絡会の堀口副議長・国公労連委員長が主催者あいさつし、行動に参加した仲間を激励するとともに、今日1日の奮闘を呼びかけました。その後、全労連の伊藤常任幹事、建交労の角田中執、JMIU住友重機械支部の馬場委員長らの激励・連帯のあいさつが続きました。
 約150名が整然と座り込む人事院前の歩道では、参加者によるリレートークが繰りひろげられ、国公労連の各単組、全教、自治労連、日高教の代表が次々とマイクを握り、道理のない寒冷地手当改悪をねらう人事院への怒りや、3年連続のマイナス勧告阻止にむけた力強い決意がのべられました。
 正午に近づくころには、気温もぐんぐんと上昇し、日比谷公園のセミの鳴き声も最高潮のなか、昼休みの要求行動に参加する全国の仲間が続々と人事院前に集まってきました。長野からは、この日のために大型バス1台を借り切って上京してきました。
 2,500名の仲間が人事院前と道路をへだてた日比谷公園前の歩道をぎっしりと埋めつくすもと、公務労組連絡会と全労連・国民春闘共闘の共催により、12時すぎから人事院への要求行動が開始されました。
 主催者を代表してあいさつした国民春闘共闘の老田代表幹事は、「昨日、最低賃金の目安額据え置きが答申されたが、人事院勧告に対するたたかいも重要局面をむかえている。春闘共闘として、憲法・教育基本法改悪反対のたたかいとも結びつけて公務員賃金改善に全力をあげる」と決意を表明しました。
 また、公務労組連絡会の岸田賃金・労働条件専門委員長が公務員賃金をめぐる情勢を報告し、賃金・一時金、寒冷地手当、地域給与をめぐる人事院の対応などについてのべたうえ、「勧告日にむけて、最後の最後まで奮闘しよう」と呼びかけました。
 決意表明では、3名の単産代表が宣伝カーの上にのぼり、「人事院勧告制度は、まともに機能せず、ミンミンゼミのように『ミンカン・ミンカン』と民間準拠を繰り返している。賃上げするのが、労働基本権制約の『代償措置』たる人事院の責務だ」(国公労連・宮垣副委員長)、「1万を超える賃金改善署名を職場から集めて上京した。公務員にとどまらず、関連労働者の生活を改善するため大いに奮闘する」(自治労連愛知・梅野副委員長)、「寒冷地手当改悪をやめさせるため、往復8時間かけてやって来た。寒冷地では家や車に金がかかる。すべて必要経費だ。何としても阻止する」(富山高教組・城執行委員)など、怒りとたたかう決意が示されました。
 人事院を包囲した参加者全員によるシュプレヒコールを繰り返し、最後に公務労組連絡会石元議長の団結ガンバロウで人事院前の要求行動を締めくくりました。
 行動参加者は、その後、引き続き人事院前での座り込み行動を続けつつ、その他、総務省・財務省前の要求行動、内閣府・行革推進事務局前の要求行動へと移動しました。

労働条件改善(総務省)、民主的行財政の確立(財務省)を強く求める

 総務省前の要求行動では、駒場副議長が主催者あいさつし、「公務員賃金闘争と結んで、最低賃金改善のたたかいに地域から奮闘しよう。また、政府が臨時国会に関連法案提出をめざしているもと、民主的な公務員制度確立のたたかいを前進させよう」と訴えました。
 情勢報告した新堰幹事・公務員制度対策委員長は、公務労組連絡会と総務省との交渉の経過を報告しつつ、「民間が下がったら民間準拠で公務員賃金が下げられ、民間が下がらなくとも、『構造改革』を口実に賃下げをすすめる政府は許せない」とのべ、政府とのたたかいの重要性を強調しました。
 決意表明では、「寒冷地手当改悪は、当局も反対しており、立場は違うが大いに奮闘しようとの声もかけられた。舞鶴市議会は、近畿地方で唯一、寒冷地手当改悪反対の決議を採択した」(舞鶴市職労・曽根委員長)、「人事院は、政府いいなりでブロック別給与導入をねらっている。ハートは熱く燃えている。さわやかな勧告を出させるため、先頭に立ってがんばる」(国公労連全建労・深見副委員長)、「郵政公社は賃金交渉で不誠実な対応に終始した。大がかりな『効率化』によって大幅な利益をあげておきながら、賃下げとは何ごとか!」(郵産労東京地本・岡田副委員長)など3名が発言しました。
 また、財務省要求行動では、公務労組連絡会の若井事務局長が主催者あいさつし、自治労連の林中執が情勢報告をおこない、政府・財務省がねらう地方交付税削減など「三位一体の改革」や「骨太の方針2004」の内容を中心に、義務教育国庫負担金の廃止の問題点などが強調されました。
 決意表明では、3名が発言し、「測候所の廃止とともに、地方気象台の統廃合までもねらわれている。気象事業の整備・拡充運動を通して、国民の命と財産を守るためたたかう」(国公労連全気象・佐藤書記長)、「特殊法人の独法化は、民営化や廃止への通り道にすぎない。独法化後も、労使の賃金決定に政府が介入している。公務労組連絡会への結集を強め、難局を乗り切るため奮闘する」(特殊法人労連水資労・中野書記長)、「義務教育国庫負担金の廃止は、教育の機会均等の原則をくずすものだ。全教のとりくんだ教育長へのアンケートでは、94%が国庫負担金の廃止に反対し、100人以上からメッセージが寄せられた」(全教・吉田中執)など、行政・教育の拡充にむけた予算策定を求める声が財務省にぶつけられました。

国民犠牲の「骨太方針」反対(内閣府)、労働基本権返せ(行革推進事務局)

 内閣府前の要求行動では、はじめに主催者あいさつで堀口副議長は、「小泉内閣は安心・安全を守るのなら弱者に光を与えるべきだ。『骨太の方針』は、さらなる国民負担、放棄を意味する。公務員労働者として、国民生活の安全と権利を守るため総決起しよう」とのべました。
 情勢報告した国公労連の山瀬副委員長は、「小泉首相は、経済財政諮問会議でブロック別賃金の導入をのべた。小泉自公政権は、郵政民営化、規制改革、三位一体改革、そしてアメリカいいなりで憲法改悪へと、改革の総仕上げをしようとしている」と厳しく指摘しました。
 決意表明では、「法務局は職場が各地に点在しており、人事院がブロック別賃金を示して以来、職場から怒りの声があがっている。同一労働・同一賃金の原則を守るため、やるべきことを全力でやりつくす決意だ」(国公労連全法務・大磯副委員長)、「夏休みでも補習やプール当番で教員は多忙だ。憲法・教育基本法の改悪がタイムテーブルにのってきたいま、地域から、父母へ、民間へと打ってでてかんばる」(埼教組・柴田副委員長)、「ボーナスや月例給など全部引き下げられた。このうえ、ブロック別賃金が導入されようとしているが、医療費、交通費、文化教養費などはどこの地方でも同じだ」(全厚生業務センター・峰支部長)」などの発言がつづきました。
 その後、参加者は行革推進事務局前へ移動し、民主的公務員制度を求める要求行動を展開しました。全労連「公務員制度改革」闘争本部委員である国公労連の小田川書記長の情勢報告ではは、2度のILO勧告にふれ、「政府はこの秋も法案提出をするという姿勢をくずしていない。スケジュールありきの進め方は許さない。現行のルールを守る改革をすすめるべきだ。1万1千をこすILO勧告遵守署名運動の到達点を土台に奮闘しよう」と呼びかけました。
 決意表明では「行革推進事務局、人事院、総務省も能力重視の給与制度をねらっている。公務にふさわしい評価制度はもとめるが、公務員の評価をいうのなら、あらためて労働基本権を返せ」(国公労連全経済特許庁支部・野村委員長)、「公務員制度改革で人事評価制度を入れようとしている。主旨からしてもきわめて重大なことだ」(自治労連・今井中執)、「独立行政法人の業務見直しや合併の話が出てきているが、職員には知らされていない。独立行政法人に移行してから4年目になるが、交付金削減による不払い残業や自殺者も出ている」(国公労連全運輸運輸研究支部・安達書記長)など職場実態がのべられました。
 最後に岩田全労連「公務員制度改革」闘争本部事務局長が閉会あいさつし、国際シンポジウムや団体署名など秋からのとりくみについて提起し、民主的公務員制度を求めるたたかいへの結集を呼びかけ、最後にシュプレヒコールで行動を閉じました。

決意あふれるパフォーマンスに集会の雰囲気は最高潮へ

 3か所で行動してきた参加者は、日比谷公園へと移動し、行動の最後となる決起集会会場の野外音楽堂に集合しました。
 八巻幹事と先水幹事の司会で開会した決起集会では、はじめに、ゲストとして会場に到着した翌日からの全労連大会に参加する8カ国の海外代表、世界労連、国際労連の代表などが紹介されました。オーストラリア、中国、インド、韓国など、どの代表も、はじめて見る日本の労働者の集会に興味深げです。
 主催者あいさつした石元議長は、海外代表に歓迎の言葉を贈りつつ、「今年の人事院勧告をめぐっても、引き続き厳しい情勢だが、情勢をきりひらくのは、仲間たちの要求の切実さと、国民の支持と共同のひろがりだ。最後まで要求を握って離さずたたかおう。中央行動を契機に勧告ギリギリまでたたかい抜き、秋へとつなごう」と奮闘を呼びかけました。
 連帯・激励のあいさつでは、最賃闘争で全国の先頭に立って奮闘している神奈川労連の菊谷議長が駆けつけ、「昨年は、労働側委員と公益委員が一致協力して、1円の地域最賃引き上げを勝ちとった。今年も、駅頭宣伝、座り込み、要請行動などでたたかう。自治体要請では、マイナス人勧を何とかしてほしいとの声も聞かれた。マイナス勧告阻止は、働く者すべての問題だ。ともにがんばろう」とエールを贈りました。
 神奈川労連をはじめ、集会には、建交労・JMIU・生協労連・全農協労連の民間労組や年金者組合、また、東京・千葉の地方労連からも参加しています。
 若井事務局長の闘争報告では、この間の公務労組連絡会のたたかいが報告され、「3年連続の本俸マイナスの危険性が否定できない状況だ。寒冷地手当のたたかいでは、地域の運動が人事院を追い込んでいる。そのことに確信を持ち、最後の最後まで奮闘しよう」と、重大な情勢のもと、「マイナス勧告」阻止にむけてたたかいの強化を訴えました。
 その後、総決起集会のメインイベントとなる各単産によるパフォーマンスをまじえた決意表明へと移りました。
 はじめに、自治労連は、「三位一体の改革は許さない」「賃下げの悪循環を断ち切れ」とかかれた2つの横断幕がならぶなか、島村副委員長が、「地方財政危機が新たな段階をむかえるもと、自治労連として、提言を出し、自治体首長と意見交換をすすめている」などととりくみを紹介しつつ、たたかう決意をのべました。
 全教からは、人事院の「寒冷地手当改悪担当官」と小泉首相の二役を演じる佐藤理河中執と、防寒着にしっかりと身を包んだ「青森県人」の小沢中執のユーモラスなやりとりで寒冷地手当改悪への怒りが身をもって表現されると、会場からは笑いと拍手がわきおこりました。
 9名の地方ブロック代表が揃いの野球のユニフォームで登壇した国公労連は、1リーグ制となぜか公務員賃金引き下げをねらうプロ野球界のドン「ナベツネ」に扮した山瀬副委員長を、9人の団結の力でこてんぱんにするシナリオです。リーダーの古田選手?役の国公近畿ブロック秋山事務局長が、「賃下げを許すな!スト権返せ、オー!」と掛け声をかけると、会場は、参加者一人一人に配られた2本の「サウンドチューブ」を叩き合わせて応えました。
 郵産労の日巻書記次長は、トイレの水さえも節約する郵政公社の徹底した「効率化」の実態を紹介しつつ、4日連続の深夜勤の実態を司法の場で問うため、42名の組合員が東京地裁に提訴したことが報告されました。
 最後に登壇した特殊法人労連・原研労の花島書記長は、「球団も、市町村も、特殊法人も、合併反対」「たがか選手と勝手に決めるな!」との横断幕をバックに、原子力研究所の合併問題について発言し、「プレーヤーや働く人たちの意見を聞かず、勝手にすすめるな」と怒りをこめて決意をのべました。
 国公労連山谷中執のリードによるシュプレヒコールのあと、最後に全労連の中山副議長が閉会あいさつし、「われわれの要求は正当であり、国民の願いと同じ方向だ。それは、憲法を守り、生かす方向であり、世界の労働者のたたかいとも結びついている。今後のお互いの奮闘をあらためて誓い合おう」とのべ、団結ガンバロウを三唱して猛暑のなかの行動を締めくくりました。

人事院に25万筆を超える賃金改善署名を提出

 人事院前では、15時まで座り込み行動が整然と続けられましたが、座り込みと連動して、人事院に対する「賃金改善署名」提出・要請行動がとりくまれました。
 要請行動では、各単産ごとに班を編制し、人事院に集約された署名を手渡すともに、寒冷地手当改悪・「マイナス勧告」反対にかかわって要請しました。この日は、総計で254,388筆の署名を提出しました。
 勧告ぎりぎりまで署名を集約し、1筆でも多くの署名を人事院に届けるため最後の最後までのとりくみを呼びかけます。
以 上