No.484
2004年7月22日
寒冷地改悪阻止、「地域給」反対で奮闘
青森で官民一体の集会開催、公務労組九州ブロックでは人事院交渉
 04人事院勧告にむけたたたかいが重要局面をむかえるもと、各地の地方公務産別組織では、行動・交渉がとりくまれ、地域の仲間が奮闘しています。
 寒冷地手当の大改悪がねらわれる青森県では、最低賃金改善のたたかいとも結びつけて、公務・民間が一体となった集会、自治体への要請行動がとりくまれました。また、公務労組九州ブロックでは、人事院九州地方事務局と交渉し、「地域給」の導入をねらう人事院を厳しく追及しました。

「青森県7・15総行動」を展開、決起集会に170名

 青森県公務共闘は7月15日、県労連・寒冷地手当改悪阻止青森県共闘会議と共同して、八戸市長への要請、八戸地区出身の衆参2名の国会議員への要請行動にとりくみました。
 八戸市長要請行動では、「寒冷地手当の支給対象地域から外れることは、地域への影響もあり、八戸としても反対している。議会も意見書を採択したし、市長名で6月末に人事院に要請書を提出した」と報告がありました。
 夕方6時からは、「最低賃金引き上げ、公務員賃金改善、寒冷地手当改悪反対青森集会」が開かれ、県内の公務・民間組合から170名が参加しました。集会では、青森県労連の平戸議長が、「賃金改悪の動きに歯止めをかけないと、県民生活は悪化し、年金制度の空洞化もすすむ」と、「最賃・人勧」課題でのたたかい強化を呼びかけました。
 また、青森県国公の今議長が、寒冷地手当などをめぐる情勢を報告しつつ、改悪阻止にむけてたたかう決意をのべ、「パート臨時労組」からは、最低賃金の引き上げを求めてたたかう決意表明がありました。集会後は、プラカード・横断幕を高らかに掲げながら、青森市内の中心街を元気いっぱいにデモ行進しました。
 最低賃金引き上げと人事院勧告を一体にした今回のとりくみは、政府の人件費抑制・リストラ推進に官民一体で怒りをぶつけるものとなり、有意義な行動となりました。

三菱重工は長崎でも横浜でもどこの工場も賃金は同じだ

 公務労組九州ブロックは7月20日、人事院九州事務局と交渉しました。
 交渉には、梅野議長(福岡自治労連)を先頭に、単産・各県代表など11名が参加し、人事院九州地方事務局側は、松本総務課長、松本第一課長が対応しました。
 梅野議長は、「3年連続の賃下げは断じて認められない、生活改善可能な賃上げを求める」と積極的な賃金改善の必要性を強調し、人事院から回答を求めました。
 松本総務課長は、「人事院勧告については民間準拠が基本だ。民間調査が終わったばかりであり、結果を見るまではなんとも言えない。民間賃上げ状況は昨年と同じくらい厳しいと聞いているのでみなさんの要求に沿えるものかどうか見守っている」と回答しました。
 これをうけて、交渉参加者からは、「ここ数年賃金は下がる一方で、子どもの教育費や住宅ローンが負担になってきている。大学への入学金、授業料、寮費等がかかりこの先どうなるのか不安だ。景気浮揚の観点からも単なる数字あわせではなく、積極的賃上げ勧告をおこなうべきだ」(長崎・自治労連)などの切実な意見や、「労働基本権制約の『代償機関』たる人事院が賃下げ勧告をすることそのものが問題だ。こんな人事院ならもういらないというのが、率直な声だ」(長崎・自治労連)など怒りの声があがりました。
 また、交渉では、「地域給」問題に発言が集中し、交渉団からは、「地域間の民間賃金格差を公務に反映すると言っているが、長崎に工場がある三菱重工の労働者の賃金は職務が同じならば、長崎、広島、神戸、横浜でどこも同じ賃金と聞いている。民間準拠というなら民間の同一企業内では賃金の地域間格差は公務以上にない」(長崎・自治労連)、「ブロック別給与とは具体的にはどういうものなのか?国公法の職務給原則と、地域給という考え方は矛盾しているのではないか?」(福岡・自治労連)、「過去からずっと民間調査がおこなわれ、それが公務員賃金に反映されてきているはずだ。それなのに今なぜ地域給が問題になるのか」(福岡・自治労連)など、人事院を厳しく追及しました。
 松本総務課長は、「国公法は職責給という形をとっているが、扶養手当、通勤手当など生活給部分もある。地域の民間水準反映等は、7月1日に職員団体に検討項目を提示して議論がはじまったばかりだ。これから意見交換をおっこなっていく」と回答する一方で、「ブロック別とは外から言われていることである。小泉首相に聞いてみたい」などと無責任にのべたり、「昨今、国民から地場民間賃金と公務員賃金との格差を指摘する声が上がっており、それへの対応を考える中で地域給問題が出てきている」と、「地域給」導入がまるで「国民の声」であるかのような姿勢に終始しました。

「これ以上地域経済を疲弊させるな」と積極的な判断を求める

 その他、交渉では、教員給与について、「教育職俸給表が廃止されると、地方の教員の給与の基準がなくなる。地域間格差がより大きくなるのではないかと、ますます心配だ。憲法、教育基本法によると教育の機会均等は大切なことでと思うが、地域間の格差拡大は教育を受ける機会さえ奪いかねない」(佐賀高教組)と必要な対応を求めたことに対して、松本総務課長は、「教育職(二)と(三)は廃止の方向だが、地方教員の基準の問題については、現在、検討中だ」と回答しました。
 最後に梅野議長は、「地方都市に行くとシャッター商店街が非常に多い。これ以上地方経済が疲弊するような政策はとるべきではない。単なる民間準拠ではない積極的な賃上げの判断を求める。私たちの要求を十分理解して、私たちの立場にたって、きちんと正確に本院に上げてほしい」と求め、交渉を閉じました。
以 上