No.477
2004年6月22日
寒冷地手当改悪阻止へ怒りの中央行動
= 夏季闘争第3次中央行動に官民1000人の仲間が結集 =
 公務労組連絡会は22日、夏季闘争の第3次中央行動にとりくみました。
 今年の最低賃金の目安額を議論する中央最低賃金審議会の開催に合わせ、全労連が「第2次最賃デー」として早朝宣伝行動や厚生労働省前のハンガーストライキでたたかうもと、公務の仲間は人事院前に結集、マイナス勧告反対、寒冷地手当改悪の阻止へ怒りの行動を展開しました。
 また、この日は、総務省・財務省への要求行動、総決起集会を開催し、1,000名の参加により、夏季要求の実現とともに、参議院選挙勝利にむけた奮闘を誓い合いました。

「マイナス勧告・最賃ゼロ答申」許すなの声が霞が関に響く

 中央最低賃金審議会が開かれる厚生労働省前には、北海道をはじめ各地から仲間が集まり、午前8時から全労連・春闘共闘のハンガーストライキがスタートしました。最低賃金の平均額664円にあわせて664分間、午後7時過ぎまでのロングランの行動です。
 また、10時からは国公労連を中心に人事院前での座り込み行動がとりくまれ、第5号合同庁舎の本館(厚生労働省)と別館(人事院)の前には、マイナス勧告・最賃ゼロ答申を阻止しようと駆けつけた公務・民間のノボリ旗がずらりと並びました。
 11時からは、座り込み参加者からの力強いシュプレヒコールに送られ、北海道・秋田・新潟・北陸・近畿・広島の公務組織の代表が寒冷地手当で人事院に要請に入りました。
 宮城県国公の貸し切りバスが人事院前に到着し、各地からもぞくぞくと参加者が集合するもと、12時からは中央行動のメインとなる厚生労働省前・人事院前の官民共同の要求行動が開始されました。人事院前に停めた全教の宣伝カーと厚生労働省前の全労連宣伝カーの音響設備は、2本のケーブルでつながれ一体となって賃下げをねらう厚労省・人事院を文字どおり取り囲みました。
 行動では、はじめに全労連の熊谷議長が主催者あいさつし、「7月の目安額答申にむけて、中央最低賃金審議会の議論がヤマ場をむかえている。生活保護費より低い最低賃金の引き上げを厚生労働省に強く求める。また、人事院のマイナス勧告は賃金の低位平準化をすすめるものだ。官民が団結してがんばろう」と呼びかけました。
 最賃をめぐる課題を中心に全労連の寺間労働総合局長が情勢報告し、そのなかで、最賃生活体験参加者の感想や、最低賃金の問題点がのべられ、「まともに生活できない現行の最低賃金は違法だ。不当な目安額の引き下げを許さず、全国一律最低賃金制度の確立をめざそう。ハンガーストライキで最後までたたかいぬこう」と決意を込めて訴えました。
 その後、厚生労働省前・人事院前のそれぞれの宣伝カーの上で4名が決意表明し、「寒冷地手当改悪では、人事院は、北海道の特異な気象条件を持ち出して本州を切り捨てようとしている。そうした人事院のやり方は見苦しいもので、聞くにたえない」(国公労連全労働本部・丹野さん)、「自治体独自の賃金カットは全国の自治体の4割に達している。『骨太の方針2004』にみられるように、小泉内閣は、公務員賃金さえも構造改革の対象にしようとしている。公務・民間、正規・パートが力を合わせてがんばろう」(自治労連・川俣副委員長)などの発言のほか、民間から生協労連の桑田委員長、地域から神奈川県労連の水谷事務局長がそれぞれたたかう決意をのべました。
 2つの宣伝カーが一体となったシュプレヒコール唱和の後、最後に、公務労組連絡会を代表して堀口副議長が閉会あいさつし、30度を超える炎天下でハンガーストライキでたたかう仲間に激励と連帯の言葉を贈りながら、「厚生労働省は、労働者の暮らしを改善するため努力するよう強く要求する。日本の労働者の底力を示し、寒冷地手当改悪を突破口にしてさらなる国民生活の改悪をねらう小泉内閣の攻撃をくい止めよう。人間らしく生きていくためのルール確立にむけ奮闘しよう」と力強くのべ、団結ガンバロウを三唱して行動をしめくくりました。

人事院は雪国に来て雪かきを体験して見ろ!

 13時からは公務労組連絡会主催による人事院前要求行動に移りました。石元議長が主催者あいさつし、「寒冷地手当改悪による地域への影響は重大だ。改悪阻止は地域の住民の声であり、私たちの要求には正当性がある。地域や職場の怒りの声を人事院に届けるよう今日の行動で大いに奮闘しよう」とのべました。
 公務労組連絡会の若井事務局長の闘争報告では、11時からの人事院への要請行動の様子を報告、また、現時点で約130を超える地方議会が寒冷地手当改悪反対の決議をあげるなど、地域での運動のひろがりが紹介されました。さらに、国・地方の公務員給与の地域間格差拡大をねらう「骨太の方針2004」の不当性を明らかにし、「構造改革にストップをかけるためにも参議院選挙は負けられない。政治の大元を変える絶好のチャンスだ。夏季闘争と一体で全力でたたかおう」と呼びかけました。
 決意表明では、寒冷地から上京してきた4名の仲間が登壇し、「北海道の気象データを比較の対象にするのはまったく合理的な根拠がない。雪道で仲間が交通事故に会って命を失った。寒冷地には、気温や雪の量だけで計れない困難さがある。人事院はそのことを理解しているのか!」(北海道公務共闘・諏訪田事務局長)、「手当の廃止を前提に、人事院がデータをでっち上げたとしか思えない。地方議会請願では32市町村が決議をあげ、全自治体の過半数まであと一歩だ」(秋田公務共闘・加賀屋事務局長)、「雪下ろしで命を落とす人が毎年何人もいる。そうした豪雪地域の困難さが、人事院の検討のどの部分に反映されているのか!」(新潟公務共闘・立石代表)、「地方自治体への要請行動を通して、寒冷地手当の必要性が明らかになった。気象データは、廃止を前提にして人事院が利用したものだ。人事院は、雪国に来て、雪かきしてみろ!」(石川県国公・小川副議長)など、地元の声を代表した怒りあふれる発言がつづきました。
 行動の最後に、駒場副議長が、「寒冷地手当のたたかいでは、自治体から共感が生まれていることに確信を持ってたたかおう。やるべきことはすべてやりぬき、夏季闘争や参議院選挙に私たちの思いを込めてたたかい、悔いのない結果を出そう」と呼びかけて、人事院前の行動を閉じました。
 人事院前には、5月の行動と同じく宮城県国公お手製の雪だるまも登場、また、30度を超す猛暑のなかで防寒服、手袋、雪道用ブーツで完全武装した宮城の仲間は、通行の人たちからも注目されました。

財務省・総務省にわかれ並行して要求行動を展開

 その後、参加者は財務省・総務省の二手に分かれて要求行動をつづけました。
 財務省前では、堀口副議長が主催者あいさつし、「同一労働・同一賃金を破壊するブロック別給与の暴挙は許さない。生きる権利さえ否定する小泉自公政権の実態は、国会での年金改悪強行からも明らかだ。国民のいのちと暮らしを守り、行財政を国民本位に切り替えるため公務労働者が先頭に立って奮闘しよう」と訴えました。
 決意表明では、「破産の処理などで裁判が増加。職員は、持ち帰って調書をつくっている。裁判所の増員を財務省に求める。『全司法大運動』で国会請願採択を勝ちとり、大幅増員をめざす」(国公労連全司法東京地連・塚田さん)、「財務省は、義務教育費国庫負担金の一般財源化をねらっているが、過去にすでに破綻している。地方自治体は、制度維持を願っている。子どもを守るため奮闘する」(全教・長谷川副委員長)、「特殊法人改革で民間へ移行したが、コスト削減へ1割の定員削減を強行。そのうえ、財務省は、民間法人移行後も不当な介入を続けている。国民とともにねばり強くたたかいぬく」(特殊法人労連南副議長・全基労委員長)など、職場を破壊し、国民犠牲をせまる財務省の実態が発言を通して明らかにされました。
 総務省前の要求行動では、主催者あいさつで駒場副議長は、「総務省は、行政の立場で国民のいのちと暮らしを守る責任を果たすよう求める。政府の『骨太の方針』は断じて許されるのもではない。総務大臣は、労働基本権制約の『代償措置』としての人事院への介入をするな」とのべました。
 情勢報告で新堰幹事・公務員制度対策委員長は、「公務労組連絡会は、6月8日に要求書を提出し、総務省の使用者責任を追及していく。『公務員制度改革』では、小泉内閣は秋の臨時国会に関連法案を出そうとねらっている。5月13日に連合との政労協議がスタートしたが、一方、全労連との交渉・協議には応じようとしていない。数々の悪政を強行し、ILO勧告遵守署名の請願採択にも反対した自民・公明の各党には、参議院選挙で私たちの審判を下そう」と報告しました。
 決意表明では、「経済産業省では、先の国会で産業総合研究所の非公務員化が強行された。また、当局は、評価制度の試行を職場におしつけている。これを跳ね返してたたかっていきたい」(国公労連全経済・熊谷副委員長)、「社会福祉施設や保健所の削減が強行されている。地方交付税削減反対で自治体に陳情してきたが、立場は異なるが、国への改善を求めることは重要だと共感がひろがっている」(自治労連千葉県本部・細田書記次長)、「賃下げ回答が郵政公社から示されるもと、5月に中労委に斡旋を申請した。トヨタの2倍の収益を上げているのになぜベースアップできないのか、民営化反対とも結んで奮闘する」(郵産労・田中委員長)などの発言がつづきました。

自民・公明の悪政に審判を下すため奮闘を誓い合う

 行動参加者は、最後に社会文化会館ホールに集合し、「夏季要求実現・国政の民主的転換をめざす公務労働者総決起集会」を開きました。
 主催者を代表して石元議長があいさつし、早朝宣伝からはじまった参加者の1日の奮闘に敬意を表しながら、「提起された1つ1つの行動を成功させよう。地方・地域から政府を包囲しよう。国民犠牲の根源には自民・公明政権による悪政がある。参議院選挙で、政治を国民本位に変えよう」とのべました。
 連帯あいさつに駆けつけた全労連の西川副議長は、目前にひかえる参議院選挙戦の重要性をとりわけ強調し、各地で政治を変えたいと願う変化が生まれていることを具体的に例を挙げて紹介しながら、「年金改悪など国民の怒りを一つにたばねることができれば政治を変えられる。国政転換を生み出せる情勢だ。政権末期の小泉内閣を退陣に追い込むため、全力をあげてともに奮闘しよう!」と公務の仲間を激励しました。
 つづいて、ジュネーブのILO総会から17日に帰ってきたばかりの全労連・岩田事務局次長から総会や条約勧告適用委員会などの審議の概要が報告され、とくに「公務員制度改革」にかかわって、総会の場で日本政府代表が労働組合側との話し合いを約束したことに触れ、引き続き政府に交渉・協議をせまっていく必要性を強調しました。
 公務各単産代表の決意表明では、3名が発言し、「『骨太の方針』では、地域別の俸給表がねらわれているが、『会社いろいろ、人生いろいろ』と開き直った小泉首相は、『賃金いろいろ』と言いたいのか!私たちの願いがかなう政治にするため奮闘する。ともにがんばって日本を変えよう」(国公労連・宮垣副委員長)、「ビラ配布による不当逮捕は、政権の基盤が崩壊しつつある証拠だ。スローガンだけの『改革』が、暮らしを削り、命を削っている。7月11日の投票日まで、何をさておいても選挙戦を勝利に導くため自治体労働者は総決起する決意だ」(自治労連・松本書記長代行)、「憲法改悪が日程にのぼり、国のために命を投げ出す国民づくりへ教育基本法の改悪がねらわれている。参議院選挙で自民・公明に審判を下し、革新・民主勢力を大きくするため全力をあげる」(全教・東森書記長)など、来週に公示をむかえる参議院選挙での勝利にむけた決意が力強く示されました。
 これらの発言をうけて、最後に駒場副議長が行動のまとめと閉会あいさつをのべ、「今日の行動を通して、国・地方の公務員給与『適正化』阻止という新しい賃金闘争がはじまったことを実感する。とくに、この攻撃は、小泉構造改革そのものに位置づけられたことからも、政治を変えるたたかいの必要性はよりいっそう鮮明となった。そうした認識を共有できたことを確認して、政治の民主的転換へ大いに奮闘しよう」と呼びかけ、最後に団結ガンバロウを三唱してたたかう決意を固め合いました。
以 上