No.463
2004年4月26日
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地方公務員・教員の賃金改善を強く求める
= 全国人事委員会連合会に申し入れ =
 公務労組連絡会は4月22日、全国人事委員会連合会(全人連:全国の都道府県・指定都市・特別区の人事委員会で構成)に対して、地方公務員の給与改善にかかわって申し入れました。
 申し入れでは、連年の「マイナス勧告」に加え、「三位一体の改革」による地方切り捨てがねらわれるもと、労働基本権の「代償措置」としての地方人事委員会の役割を発揮し、公務労働者の生活改善にむけて努力するよう求めました。

教員給与の水準確保、寒冷地手当の改悪反対を強調

 全人連への申し入れには、公務労組連絡会から、若井事務局長、黒田事務局次長、新堰幹事(全教副委員長)、柴田幹事(自治労連中執)が参加、全人連は松田事務局次長(東京都人事委員会事務局任用公平部長)ほかが対応しました。
 はじめに、若井事務局長が、別添の「要請書」を渡して、「公務員は5年連続で年収がダウンしたうえ、地方自治体は2兆9千億円もの交付税削減で財政事情がきわめてきびしく、昨年は1268自治体が独自の賃金カットをおこなっている。公務員賃金の社会的影響力をふまえて、人事委員会としての機能発揮を強く求める」と、要請の趣旨をのべました。
 また、新堰幹事は、「国立大学法人化により、人事院勧告に準拠してきた公立学校教員の給与決定の仕組みが変わったもとで、公教育の果たすべき役割をふまえた給与水準を確保するため、目安を示すなど全人連として努力してもらいたい」と求め、また、柴田幹事は、「民間準拠ですすめられる寒冷地手当の見直しを危惧する。生活費を補う手当であるとともに、交付税にも連動して学校の暖房費が削減されたり、生活保護費に波及するなど否定的な影響は避けられない。そうした影響もふまえて対応する必要がある」とのべ、寒冷地手当の改悪をしないよう要請しました。
 松田事務局次長は、「みなさんの要望は確かに承った。要請内容については、加盟の各団体へ報告したい。公務員給与に関わっては、これから人事院と各人事委員会が協力して、民間賃金の実態調査を開始することとなる。景気は回復の兆しが見られるが、雇用は改善していない。企業の業績は好調で、民間では、特別給は改善されてはいるが、のきなみベアゼロとなっている。一時金の民間との比較は、『冬・夏』型に変わり、そのことがどのように影響するのか注目している。教員給与については、国家公務員準拠がなくなったもとで、どのように給与表を作成するのか、情報連絡会を設けて、意見交換している。また、寒冷地手当は、基本的にそれぞれの委員会で判断することとなるが、人事院の動きに今後とも注目していきたい」とのべました。
以 上
【別添資料】

2004年4月22日

全国人事委員会連合会
会長 内田 公三 様

        公務労組連絡会      
議長 石元  巌
                    日本自治体労働組合総連合 
                      中央執行委員長 駒場 忠親
                全日本教職員組合     
中央執行委員長 石元  巌

地方公務員の「給与勧告」についての要請書

 日ごろより地方公務員の勤務条件の向上にご努力頂いていることに敬意を表します。
 人事院は、5年連続の一時金、2年連続の本俸削減を勧告し、公務員労働者の賃金は5年連続の年収減となっています。さらに、「税財政の三位一体の改革」や地方財政危機を口実に勧告を超えて独自に賃金削減を行っている自治体が1268と約40%にも達しています。
「マイナス勧告」や賃金の独自削減は、公務員労働者の生活を直撃しているだけでなく、年金の引き下げをはじめ国民の暮らしを低下させ、地域経済にも大きな否定的影響を及ぼしています。さらに寒冷地手当の削減・改悪や「地域給」の見直しなど、いっそうの地方や地域切り捨ての動きも強まっています。
 地方公務員の労働条件に関わる重要な役割を担われている貴職がこうした認識にたって、厳しい経済情勢の中で住民福祉の充実に日々努力している自治体・自治体関連職場で働く労働者の暮らしを改善するために、下記の要求事項を尊重し、人事委員会勧告にむけた作業にあたられることを要請するものです。

1.近年、各人事委員会の調査対象企業が、労使交渉で賃金・労働条件を決定している一定の規模をもつ企業が対象から大幅に削減される一方、労働組合の組織率が相対的に低い小規模企業の割合が拡大されています。これは、労働基本権の「代償機関」とされる人事委員会の機能からすれば、その「代償性」を低下させるものと考えます。
調査対象事業所は、労使交渉によって賃金等の労働条件を決定している企業を基本とし、公務労働者の生活実態や関係労働組合の要求を踏まえた調査を行うこと。
2.本年度の勧告にあたっては、地方公務員の生活改善につながる賃金水準を確保できるものとすること。また、政府・総務省の不当な干渉を排除し、地方自治を守り、中立機関としての独立性を堅持すること。
3.地域経済をいっそう疲弊させ、賃下げの悪循環を促進することとなる「マイナス勧告」を行わないこと。さらに「給与の年間調整」は、「不利益不遡及」の労働法理に反するものであり絶対に行わないこと。
4.地方に勤務する公務員給与の見直しは、「同一労働同一賃金」の原則を崩すとともに、給与の地域間格差をいっそう拡大させ、地域間の経済格差を拡大し、均等な日本経済の発展を阻害するものであり、見直し改悪は行わないこと。
5.国立大学法人化による公立学校教職員の給与等に関する勧告の変更にともなう事態に対して、公教育の果たすべき役割を踏まえ「同一労働同一賃金」の原則を堅持し、人事院と必要な連携を図り、適正な給与水準を確保すること。
6. 寒冷地手当の削減・改悪は、地方公務員の生活を悪化させるとともに地方交付税削減など地域経済を疲弊させるものであり、現行制度を堅持し、支給地域及び水準を維持すること。
7.人事委員会勧告事項にない、財政危機などを口実にした自治体独自の賃金引下げや、勧告を無視した給与制度の改悪などについては、公平・中立の第三者機関として、使用者に毅然とした対応を行うこと。
8.国民に信頼される中立・公正な行政を確保する観点から、競争原理にもとづく給与・人事管理制度実施などの勧告をおこなわないこと。
9.臨時・非常勤(教)職員の賃金を抜本的に改めること。当面、常勤職員との均等を図ること。
10.すべての公務職場における年間総実労働1,800時間を達成するための必要な措置をとるよう勧告すること。同時に、違法なサービス残業を根絶する抜本的改善を勧告するとともに、公務員労働者の生活・労働実態を無視した勤務時間割り振り、裁量労働制の導入などの制度改悪を行わないこと。
11.介護休暇の改善をおこなうこと。子どもの看護休暇制度の拡充、家族看護休暇制度の新設、子どもの幼稚園・保育園、学校の行事等への参加のための休暇制度を新設すること。
12.育児休業制度の無給規定の撤廃、代替要員の確保、男性取得の促進など、取得しやすい制度に改善すること。また臨時・非常勤(教)職員の休暇等について、常勤職員に準じた制度とすること。
13.公務における真の男女平等をはかるため、募集・採用・任用・昇格をはじめ雇用の全ステージにおける男女差別を禁止し、その実行を図かるための必要な整備を行うこと。
14.職員の健康・安全を確保するため、長時間・過密労働をなくし、過労死・自殺、疾病、
労働災害の予防など福利厚生施策を含めて万全の措置を講じること。あわせて、労働安全衛生法を厳格に遵守するよう強く指導すること。( 以 上)