No.440
2004年1月27日
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寒冷地手当 今夏勧告の「見直し」を表明
= 「民間準拠」を基本に支給対象地域と支給額の見直しへ =
 人事院は、03勧告の報告で寒冷地手当の見直しについて言及し、民間の支給状況の実態調査を実施してきました。こうしたなか、現在、手当が支給されているすべての道府県を対象とした民間実態調査もふまえ、人事院は、寒冷地手当「見直し」にむけた「基本方針」を明らかにしました。
 その内容は、「寒冷地手当制度の抜本的見直しを行うことが不可避である」として、今年の勧告にむけて、民間準拠を基本とした支給地域と支給額の見直しを行うとしています。連年の月例給引き下げに加えた手当の「見直し」は、公務員労働者にとどまらず、地域経済にも影響をあたえる点できわめて重大です。
 人事院が、今夏勧告での「見直し」を表明したことから、04春闘での中央・地方でのたたかいの急速な発展が重要となっています。
支給事業所の割合は、北海道以外はのきなみ2割台以下
 人事院の「見直し」の基本方針は、「寒冷地手当については、昨秋以来、関係団体等とも意見交換しながら民間の実態調査に務めてきたところであるが、同手当をめぐる状況は非常にきびしく、本年夏の勧告において、寒冷地手当制度の抜本的な見直しを行うことが不可避である」として、以下の3点を明らかにしています。
(1)今回の見直しでは、民間準拠を基本として、支給対象地域および支給額の見直しを行うこととする。
(2)見直しは、本年夏の勧告において行うこととする。
(3)見直しにあたっては、関係団体等とよく意見交換しながら作業をすすめることとする。
 人事院は、昨年実施した寒冷地手当の民間実態調査の詳しい結果をふくめて、上記以外の「見直し」内容を現時点では明らかにしていませんが、同種の手当を支給している民間の事業所の割合を道府県別にみると、北海道では約81%ですが、青森県で約25%、その他の府県では20%以下となっていることを「参考」にあげています。
 北海道をのぞき、東北や信越など寒冷豪雪地域においても、支給割合がのきなみ2割台以下という民間実態調査にもとづいて、今後、「見直し」作業がすすめられれば、現行の支給地域の「切り捨て」をふくめた手当改悪も予測され、事態はきわめて重大です。
寒冷地手当の改悪を許さないとりくみ強化を
 寒冷地手当の「見直し」は、国・地方の公務労働者の生活悪化を招くばかりか、寒冷地手当が地方交付税交付金の算定基礎になっていることなどから、過疎地が多い寒冷地域における地域経済の疲弊にもつながっていきます。
 こうしたことから、公務労組連絡会として、@寒冷地手当「見直し」の社会的な影響力を十分に認識すること、A政治的な声に左右されず、中立機関として人事院みずからの意思にもとづいた検討をはかること、B労働基本権制約の「代償措置」として存在し、本来、公務員労働者の利益を擁護すべき人事院が手当を切り下げる「見直し」はすべきではないこと、Cこうした観点もふまえ、労働組合の十分な納得と合意のもとですすめることなどの点を主張し、04春闘要求の実現とも一体で、人事院への追及を強めていきます。
 一方、すでに、2月25日に札幌で、26日には仙台で、それぞれ寒冷地手当改悪を許さない「全国集会」の開催が計画されており、たたかいの出発点と位置づけて、これらの集会を全国からの多くの仲間の参加で成功させることが重要となっています。
 また、民間労組をはじめ、地方自治体や地域住民との共同をひろげていく必要もあります。各当該地域での「共闘組織」の結成、自治体・地方議会への要請・請願などを通して、小泉「構造改革」のもとで、税財政の「三位一体の改革」がすすみ、地域の切り捨てがねらわれている状況とも一体で、手当削減のねらいを地域に訴えていくこと、さらに、同じく03勧告の報告で示された「地域給」の見直しにも連動していく点で、当該地域にとどまらず全国で統一的に運動をすすめることが重要です。
 今夏勧告での「見直し」という「基本方針」が示され、寒冷地手当問題が新たな局面をむかえたなか、04春闘の諸行動とも結合して地域からの急速な運動の盛り上げが求められています。
以 上