No.428
2003年9月16日
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「賃下げ勧告」実施の閣議決定強行
= 公務労組連絡会幹事会が「抗議声明」を発表 =
  小泉内閣は、本日、午前中に開かれた第2回給与関係閣僚会議で、2003年勧告の取り扱いについて、勧告どおりの実施を確認し、その後の閣議で「完全実施」を決定しました。
 公務労組連絡会は、2年連続で月例給を引き下げ、国家公務員の年収を16.3万円も引き下げる勧告の実施に反対し、使用者・政府に強く申し入れてきたところですが、こうしたなかでの閣議決定は断じて認められません。こうしたことから、公務労組連絡会幹事会は、政府に対する「抗議声明」を発表しました。
「賃下げ勧告」実施の閣議決定に抗議する(声明)
2003年9月16日
公務労組連絡会幹事会
1、小泉内閣は本日、国家公務員の賃金を平均1.07%(4,054円)引き下げる2003年人事院勧告の実施を閣議決定した。「賃下げ勧告」の実施は、国家公務員労働者のみならず、地方公務員や教員、公務関連労働者など750万人の生活を直撃するばかりか、民間賃金や年金給付額など広範囲にわたって影響を与える。消費不況に追い打ちをかけ、労働者・国民にさらなる「痛み」をせまる不当な閣議決定に断固抗議するものである。

2、今次勧告は、春闘の民間相場ともかけ離れた官民逆較差にもとづき、2年連続で月例給を引き下げ、さらにそれを「調整措置」と称して4月から遡及実施することや、一時金の0.25月もの削減、各種手当の引き下げなどを内容とし、数々の重大な問題点を持っていた。
 このため、勧告直後より、総務省・厚生労働省・財務省など関係各省に対して、勧告を実施しないよう強く求めてきた。職場からは要求決議や打電行動が取り組まれ、地方でも、民間組合や地方・地域労連と共同した行動が各地で展開されるなど、「賃下げ勧告の実施反対」の声はひろがった。

3、こうしたなか、政府は、「人事院勧告制度の尊重」とする従来どおりの姿勢をとりつづけたが、勧告制度のもとでも、賃下げという不利益変更をおこなう以上、使用者としての慎重な検討、労働組合の納得と合意をはかっていくことこそ求められていた。そうした努力もなく、勧告を全面的に受け入れ、早々と「完全実施」を閣議決定したことは、使用者・政府の責任放棄にほかならならず、断じて許されない。
 さらに、地方自治体に対して「国基準以下」への適正化措置とともに、「地域毎の実態を踏まえた」給与水準の見直しを求めていることや、特殊法人の事業・組織形態の見直しによる「給与等の適正化」、国家公務員に準拠した独立行政法人の給与改定に言及していることなども、政府の不当な介入・干渉であり、容認できるものではない。

4、勧告前から今日まで、賃下げの悪循環、不利益遡及、労使合意抜きの不利益変更を許すなと、民間組合と協力・共同したたたかいがかつてなく力強く前進したことは特徴的である。この運動を土台にして、社会保障制度改悪など国民犠牲の悪政推進の突破口ともなっている公務員賃金の削減を許さず、引き続き奮闘するものである。
 とりわけ、公務員労働者のたたかう権利を奪ったうえで、一方的に賃下げが押し付けられているもとで、さらなる権利の縮小をはかる「公務員制度改革」を許さず、労働基本権確立など憲法とILO勧告にそった民主的公務員制度の確立をめざして、国民との共同のいっそうの拡大にむけて、たたかいを強める決意である。
以 上
資 料
公務員の給与改定に関する取扱いについて
平成15年9月16日
閣  議  決  定
1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月8日の人事院勧告どおり改定を行うものとする。
 なお、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるものとする。
2 特別職の国家公務員については、おおむね1の趣旨に沿って、その給与の改定を行うものとする。
3 1及び2の給与改定については新たな追加財政負担は要しないが、我が国の財政事情がますます深刻化していることを考慮すれば、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針は堅持する必要がある。そのため、行政事務・事業の整理、民間委託、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずるとともに、定員については、「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画」(平成11年4月27日閣議決定)、「新たな府省の編成以降の定員管理について」(平成12年7月18日閣議決定)等に基づき、各府省とも、更なる減量・効率化や定員振替に努力し、計画を上回る定員削減に積極的に取り組むことにより、真に必要な部門への適切な定員配置を図りつつ、引き続き国家公務員数の純減を行う。また、独立行政法人についても、中期目標設定、評価等に当たって役職員数も含めた一層の事務運営の効率化をはかる。さらに、特殊法人等についても厳しい定員削減を実施する。
 地方公共団体についても、国の措置に準じて措置するように要請する。また、地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制する。
4 独立行政法人の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準とするよう要請する。独立行政法人及び主務大臣は、総務大臣が定める様式により、役員の報酬及び退職手当並びに職員の給与水準を国家公務員等と比較できる形で分かりやすく公表することとする。また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の例に準じて措置されるよう対処するとともに、事業及び組織形態の見直しを通じた給与等の適正化を進めるものとする。
5 地方公共団体において地方公務員の給与改定を行うに当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、引き続きその適正化を図るため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
 また、地域における国家公務員給与の在り方については、人事院において地域における民間給与の実情等がより一層反映できる仕組みとなるよう検討を進めていくこととされたが、地方公務員給与の在り方についても、国の検討状況を踏まえつつ、地域毎の公務員給与と民間給与の比較方法をより一層精確に示すなどの方法により、地域毎の実態を踏まえた見直しを行うよう要請するものとする。(以上)