No.427
2003年9月12日
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「賃下げ勧告」16日の閣議決定を表明
= 人事院勧告の取り扱いをめぐって総務省と交渉 =
 公務労組連絡会は12日、人事院勧告の取り扱いをめぐって総務省と交渉しました。
 交渉では、公務労働者にとどまらず、民間賃金への影響、年金切り下げなど国民生活への否定的な波及などを示し、国会の附帯決議もふまえて、政府・総務省をきびしく追及しました。
 しかし、総務省は、使用者としての責任ある回答を求める公務労組連絡会の主張には何ら応えず、16日に「完全実施」を閣議決定する方針であることを表明しました。
使用者・政府は職員への説明責任がある
 総務省との交渉には、公務労組連絡会からは、石元議長を先頭に、若井事務局長、北村・黒田両事務局次長、松本幹事、先水幹事が出席し、総務省側は、人事・恩給局総務課の伊藤総括課長補佐、山石課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、石元議長が、「昨日の中央行動は、全国から1000人が集まったばかりか、民間組合からも多数の参加があった。民間をふくめて、それだけ『賃下げ勧告』への怒りが高まっており、それを実施するなという声も高まっている。9日の交渉でも、そのことを求めたが、あらためて政府としての見解をうかがいたい」とし、回答を求めました。
 総務省側からは、要旨、以下の回答が示されました。
【総務省回答】
 @ 今年の人事院勧告は、8月8日に提出を受けて以来、各府省の間で検討をすすめてきたところだ。民間の経済情勢や国の財政事情など、公務員の給与をめぐる環境はきわめてきびしいなか、総務省としては、給与関係閣僚会議等において、労働基本権の代償措置としての根幹をなす人事院勧告制度を尊重する立場で意見をのべてきた。
 A その結果、来週16日に2回目の給与関係閣僚会議が開かれ、勧告通りの給与改定がなされるよう決定されるものと期待している。また、その後の閣議では、政府としての取り扱い方針が決定されるものと承知している。
 B 本年の給与改定は、職員のみなさんには、誠にきびしい内容となるが、ご理解をいただきたい。今後とも、国民の信頼に応え、公務能率と行政サービスのいっそうの向上に努めていただきたい。

 この回答に対して、若井事務局長は、「昨年の国会での附帯決議は、公務員賃金引き下げの民間賃金・経済に与える影響を政府として重く受けとめることや、『減額調整措置』にむけた労働組合の理解を得るための最大限の努力などをあげている。16日に閣議決定するというが、附帯決議をふまえて、政府として具体的にどのような検討をしたのか」とただしたうえで、「前回の交渉でも指摘したように、なぜ民間相場も超えたマイナス勧告となるのか。それを実施するというのなら、政府には、職員に対してきちんと説明する責任がある」とせまりました。
 伊藤総括課長補佐は、「職種や役職別に広範囲にわたって、人事院が正確な調査をした結果として出た数字だ。他の調査とは単純に比較できない。人事院が長年にわたってやってきた方法であり、政府としても、それを尊重していく必要がある」などと回答しました。
 これに対して、「それでは、前回、前々回の交渉の回答の繰り返しではないか。民間相場とかけ離れたマイナス勧告に対して、職場では強い不信感がある。調査の結果と言われても納得できない。政府として決定する以上、より詳しく納得できる回答を示せ。それが説明責任だ」ときびしく追及しましたが、伊藤総括課長補佐は、そのことには正面から答えることなく、「その点は、これまでもうかがってきた。そうした不信感があることは重く受けとめたい」などとのべるにとどまりました。
労働組合の理解を得ることなく「不利益遡及」実施へ
 さらに、経済への影響にかかわって、「勧告がそのまま実施されれば、公務員給与は全体で約7000億円の減となる。年金の給付額にも連動する。そのことが、景気をいっそう冷え込ませることになる。国会の附帯決議の精神を重く受けとめて、政府として、本当に真剣に議論したのか。そうした形跡はどこにも見あたらない。日本経済に影響するという認識はあるのか」と追及しましたが、「経済情勢全般の話であり、この場で議論できるものではない。意見は差し控えさせてもらう」などとし、回答を避けました。
 また、若井事務局長は、不利益遡及について、「これも附帯決議では、労働組合との十分な話し合いを求めている。そうした努力を政府としてしたのか」とただすと、「人事院が勧告にあたって職員団体とよく話し合ったと聞いている」と回答したので、「人事院の話をしているのではない。公務労組連絡会として、政府・総務省と『減額調整措置』にかかわる議論をしたことはない。そちらから、意見を聞かせてもらいたいと言ってきたことが一度でもあったか」とたずねると、回答不能となりました。
 若井事務局長は、「なぜ、公務員の賃下げに民間労働者が怒っているのか。それは、労使の話し合いもなしに、こうした不利益遡及、不利益変更を国が一方的に強行してきたことにある。これは民間にも波及する」ときびしく指摘しました。
 最後に、石元議長は、「きわめて不満な回答であり、断じて認められない。『賃下げ勧告』実施は、賃下げの悪循環をいっそう加速させ、国民生活を悪化させるものでしかない。そのことは、きちんと大臣に伝えてもらいたい」と求め、交渉を閉じました。
以 上