No.423
2003年8月21日
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地方公務員の暮らしを守る勧告を求める
= 公務労組連絡会が全国人事委員会連合会に申し入れ =
 公務労組連絡会は8月21日、全国人事委員会連合会(全人連)に対して地方人事委員会勧告に関わって要請行動を行いました。
 これは、総務省が19日に全国人事委員会事務局長会議、20日に全国総務部(局)長会議を開催し、人事院勧告と関わって、地方の勧告を前倒しすることや、給与条例を11月中に成立させるよう求めたことに対して行ったものです。
 要請行動には、若井事務局長、新堰幹事(全教副委員長)、松本幹事(自治労連執行委員)が参加し、全人連は、松田事務局次長(東京都人事委員会事務局任用公平部長)、宮坂書記(同任用給与課長)他が対応しました。
「地域給」問題は自主性を持って対応したい
 はじめに、若井事務局長は、「人事院が8月8日に行った勧告は2年続きの本俸削減、5年続きの一時金削減、諸手当の削減など、到底認めることができない。しかも労使合意抜きの不利益変更、不利益遡及という確立している労働関係を『官』の側から破壊するものだ。賃金引下げなどもふくめ、民間への否定的影響は大きい。また、年金等国民生活への影響があり、これらのことが地域経済、デフレ不況にも影響を与えている。こうした見地から、政府に対しては勧告を実施せず、凍結するよう求めている。地方の勧告においては、こうした影響力、地方の状況等を勘案して、具体的要請に沿って勧告すべき」と申し入れの趣旨を説明をしました。
 新堰幹事、松本幹事からそれぞれ要請内容の概要について説明しました。
 これに対して、松田事務局次長は「事務局という立場なので、みなさんの要請については、各人事委員会に対して、趣旨も踏まえ伝えたい」とのべ、その上で、「各人事委員会では地公法に基づいて公民比較をし、勧告作業を進めているところで、現在民調の集計・分析中である。国と同様に大変厳しいと聞いている。マイナス格差が出たとき、プラスであろうがマイナスであろうが4月で均衡を図るというのが基本の考え方だ。各自治体で自主的に正確な公民比較を行い、それぞれの実情に応じて勧告がなされるものと考えている。諸手当は、国と異なる部分もあり、地方団体の実情を踏まえて対処する必要がある。教員給与は、国立大学が行政法人化に伴い、どのようになるのか、各人事委員会は非常に心配している。まだ具体的には話すことはない。情報収集を行っていきたい。地方に勤務する職員の給与問題は、まだ具体的なものが出ていないが、本俸、調整手当などが考えられるが、自主性を持って対応したい」と述べました。
2003年8月21日
全国人事委員会連合会
会長  内田 公三  殿
   公務労組連絡会         
                    議 長 石元  巌
                     日本自治体労働組合総連合    
                     中央執行委員長 駒場 忠親
                  全日本教職員組合        
                    中央執行委員長 石元  巌
地方人事委員会の勧告に関する要請書
 人事院は、8月8日、国会と内閣に対し、一般職国家公務員の給与改定について、官民較差がマイナス1.07%(4,054円)生じたとして月例給を引き下げ、さらに一時金についても0.25月削減し、調整手当の異動保障、住宅手当、扶養手当を削減するなどの給与勧告等を行いましたが、私たちは、この勧告は本俸を2年連続で切り下げるとともに、一時金を5年連続で削減する大幅な「賃下げ勧告」であり到底認めることができません。
しかも、昨年に引き続いて「年間調整措置」と称して、賃下げを「4月実施」とすることは、不利益不遡及の原則に反する脱法行為であり、労働関係を否定する不当なものです。
さらに勧告は、人事院の研究会報告を受けて、給与体系の見直し、地域に勤務する公務員の給与水準・地域関連手当の見直し、さらに独法化に関わっての教員給与問題などに関する報告がなされましたが、これらの問題は地方公務員に重大な影響を及ぼすものです。
私たちはこの勧告が750万の公務・公共関連労働者の暮らしに関わるだけでなく、年金・生活保護をはじめとした社会保障の給付水準、最低賃金など「ナショナルミニマム」のあり方、それらを通じて国民の暮らしに重大な影響を及ぼし、「賃下げ・デフレの悪循環」による消費不況をさらに深刻にするものと考えます。
また、地方自治体では、人事委員会勧告と関わりなく、賃金の削減・カットなどが実施され、労働基本権が制約の「代償機能」なるものも無視されています。
私たちは、政府に対して今回の勧告については実施せず、凍結するよう求めています。これから各地の人事委員会においても本年の勧告にむけた作業にとりかかられるものと考えますが、各地の人事委員会勧告にあたっては、こうした見地から下記事項を十分に尊重いただき、その実現に向けて努力いただくことを強く要請するものです。

                記

1.人事院勧告に「準拠する」ことなく、地方公務員・関連労働者の暮らしを守り、「全体の奉仕者」として職務に専念できるよう各地の労働組合の要求に応え賃金・労働条件の改善・充実を図ること。
2.特に、不法・不当な「脱法行為」といえる「不利益の遡及適用」や、人事委員会の勧告と関わりなく行われている「賃金カット」などの労働条件の切り下げに対しては、毅然とした対応を行うこと。
3.地域に勤務する公務員の給与水準問題について、人事院の研究会報告で地方公務員問題に言及していることに対して、地方自治の本旨に触れるものとして人事院に抗議すること。また、「同一労働同一賃金」の立場に立ち、地方公務員の給与の地域間格差拡大を行わないこと。
4.住居手当・通勤手当、さらに寒冷地手当などの諸手当は、それぞれの地方の条件を考慮し、国に追随して改悪しないこと。
5.来年度以降の教員の給与勧告に当たっては、「同一労働同一賃金」と教育条件のナショナルミニマム確保の立場に立ち、国に対して標準的俸給表を求めるなど、地域間格差の拡大や水準の低下が生じないようにすること。
6.憲法とILO勧告に基づき公務員労働者の労働基本権を保障するなど民主的公務員制度確 立にむけ積極的に政府に働きかけること。
以 上