No.416
2003年8月1日
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「減額調整」そのものをやめる考えはない
= 「夏季重点要求」実現にむけ人事院に申し入れ =
 人事院勧告が来週にも予想されるなか、公務労組連絡会は1日、「夏季重点要求」の賃金課題を中心に、要求実現にむけた努力を人事院に申し入れました。
 とりわけ、7月29日の国公労連との交渉で、山野勤務条件局長が「俸給、手当双方のマイナス改定」に言及するもとで、昨年のような賃下げの遡及実施を行わないよう強く求めました。
「マイナス勧告」の遡及実施はやめよ
 申し入れには、公務労組連絡会から若井事務局長、黒田事務局次長、自治労連・田中中執、全教・小沢中執が参加し、人事院は、勤務条件局給与第一課の幸課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、若井事務局長が、「29日の交渉では、山野局長からはじめて、本俸マイナスが示唆され、きわめて重大な事態にあると認識している。仮にマイナスだとしても、4月遡及実施は断じて認められるものではない。とくに、昨年の国会の附帯決議をふまえた対応が求められており、労働組合との十分な話し合いは不可欠だ」とのべ、人事院の見解をただしました。
 幸課長補佐は、「29日の局長回答の範囲内で答えさせてもらいたい」と前置きしたうえで、「勧告の内容は、月例給は昨年より若干緩和される傾向がみられる。特別給(一時金)は、過去最大(0.3月減=99年)の月数減になるのではないかと心配している」と回答したうえで、「年間給与を均衡させるための調整措置の方法は、附帯決議をふまえて職員団体のみなさんとも相談していきたい。昨年と同じ方法がいいのか、それとも別の方法があるのか、現在、検討中だ。要望があれば出してほしい」とのべました。
 若井事務局長は、「いずれの方法をとろうとも、『減額調整』する以上、賃下げの遡及実施となる。実施時期を給与法施行後とするなどの検討もすべき」と求めました。
 幸課長補佐は、「遡及して給与を引き下げたわけではない。認識の違いだ。あくまで、年間給与を民間と均衡させるための調整措置だ。今年も、本俸を引き下げるなら、調整措置は必要であるとの立場には変わりない。やらないという選択肢はない」とし、「減額調整」の方法について検討をすすめていることを示唆しました。
「減額調整」の手段がない地方公務員
 これに対して、申し入れ参加者からは、「昨年のような『減額調整』は、住宅や車のローンなどにもひびき、職場の組合員には不安感が強い。また、社会福祉法人の保育所では、保育所運営費の算定基礎に保育士の人件費がふくまれているため、さかのぼって保育所運営費が削減され、自治体当局から突然100万円も返済を求められた例もある。そうした社会的な影響も考慮すべきだ」「長野では、2%マイナス勧告にくわえて、自治体独自で6%の賃金カットをしている。どうやって8%も『調整』するのか」など、自治体職場の実態もふまえて、賃下げの遡及はやめるよう求めました。
 若井事務局長は、「11月に給与法が施行される国家公務員は、12月の一時金で『調整』する方法があったとしても、条例施行が年明けとなる地方公務員は、来年3月の期末手当も廃止されたので、『調整』しようがない。人事院として、地方公務員に対する考えはあるのか」とただしました。
 幸課長補佐は、「地方のことは自治体が決めることだが、昨年は、月例給は、生活給であることなどをふまえて、ボーナスから調整することとした。また、12月の一時金を上回る減額をしない措置をとった」とのべました。
 最後に、若井事務局長は、「人事院も示している750万人への影響、とりわけ地方公務員への影響を念頭において検討をすすめてもらいたい。先ほども指摘したように、遡及実施の影響は、公務員給与だけにとどまらない。そうした社会的影響力をふまえた検討を強く求める」とくり返し要望しました。
 幸課長補佐は、「人事院勧告が与える影響については、当方も理解している。今後とも、みなさんの考えを聞かせてほしい」と回答しました。
以 上