No.402
2003年7月9日
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人勧・最賃で初の共同行動が実現
=公務・民間合わせて1500人が結集=
 公務労組連絡会は9日、全労連などと共同して、公務員賃金改善、最低賃金引き上げ、民主的公務員制度確立などの課題をかかげ、夏季闘争第2次中央行動にとりくみました。
 全労連の「最賃デー」行動とも結合し、民間の仲間が厚生労働省前でロングランの座り込み・ハンガーストでたたかうなか、昼休みの人事院前行動をはじめ、総務省・行革推進事務局への要求行動、総決起集会、国会請願デモ、国会議員要請で奮闘しました。
 この日の行動には、全国から公務・民間あわせて1500人が結集しました。
人事院・厚生労働省を取り囲んで要求行動
 梅雨の最中の行動とあって天候が心配されましたが、雨も降らず、終日、曇り空のもとでの中央行動となりました。
 全労連「最賃デー」の行動として、早朝は、駅頭や霞が関官庁街などで宣伝行動がいっせいにとりくまれ、また、厚生労働省前では、神奈川労連を中心に30名が「怒りのハンガースト」を決行するなか、こうした行動と一体となって昼休みに人事院前の要求行動が開始されました。
 主催者あいさつした公務労組連絡会の石元議長は、「人勧・最賃のたたかい、民主的な公務員制度確立、さらには、平和課題をめぐってイラク特措法案のたたかいがヤマ場をむかえている。こうした重要局面での中央行動で奮闘し、不況打開、国民生活改善を勝ちとろう」と参加者に訴えました。
 民間労組を代表して、全労連全国一般の大木委員長(全労連副議長)があいさつし、「まともな賃金支払え!という切実な要求のもと、公務・民間が力を合わせて賃金の底上げを求める今日の行動は、画期的なとりくみだ」とし、「現行の最低賃金は、生命の維持さえ困難な金額だ。まともな人勧、まともな最賃は、多くの国民の願いであり、国民・労働者がともに力を合わせてがんばっていこう」と激励しました。
 人事院勧告を中心に闘争報告した若井公務労組連絡会事務局長は、人事院・総務省との交渉経過を報告しつつ、「民間準拠」にあくまで固執する人事院の姿勢をあらためさせるために、「賃金改善署名」の目標達成が重要となっていることを強調し、「世論と大義はわれわれにある。職場や地域から署名を集めきろう」と呼びかけました。
 決意表明では、公務から民間へマイクをバトンタッチし、「当局は、超過勤務予算の縮減をすすめ、いっそうの労働強化をせまっている。全国2600人の非常勤職員のなかには、最低賃金を下回る職員もいる。公務員賃金改善を求め、大臣にも申し入れる」(国公労連全建労・葛西さん)、「賃金が人勧準拠の公立病院では、労使協議をふみにじり、一方的に賃金が切り下げられている。人間らしく生き、働くルールの確立を求めてたたかう」(日本医労連・前川さん)、「人勧も出ていないのに、賃金カットが6月議会で強行された。1000名規模の交渉、4万人の署名にとりくんできたが、夏から秋へとこれからも断固たたかいぬく」(自治労連千葉県職労・宇内さん)、「大手スーパーの24時間営業は世界的にも前代未聞だ。その7・8割をパート労働者がささえている。最賃の引き下げは、パート時給カットに直結する。人勧・最賃のマイナスを許さないため、公務の仲間とも手を組んでがんばる」(生協労連・桑田さん)など、怒りと決意にあふれた発言がつづきました。
 最後に、人事院・厚生労働省の庁舎にむけて、参加者全員がシュプレヒコールをぶつけ、たたかう決意を力強く示しました。
使用者としての責任を果たせ〜総務省前行動
 その後、公務労組連絡会の参加者は、総務省前と行革推進事務局の二手にわかれて、要求行動をつづけました。
 総務省前行動で主催者あいさつした駒場副議長は、直前におこなわれた総務省交渉の模様も紹介しながら、「マイナス勧告による賃下げの悪循環を断ち切るため、人事院とともに、使用者である政府・総務省を包囲しよう。また、公務員制度でも、行革推進事務局が関連法案提出をねらうきわめて重大な局面をむかえている。ILO勧告にもとづき、政府には、意味のある交渉・協議を求める」とのべ、激励・連帯あいさつで駆けつけた全労連全国一般の福本書記長からは、「昨年の人勧マイナスで、『公務員の賃金が下がってるのに、ましてや、うちの会社では賃上げなど無理』などと経営者が賃金カットしてきた。みなさんといっしょに、今年は本腰入れてたたかいたい」と決意がのべられました。
 公務労組連絡会の岸田幹事(賃金・労働条件専門委員長)の闘争報告では、夏季闘争の経過と重点課題が簡潔にのべられ、「賃金改善署名」や最大規模で配置している「7・31中央行動」の成功などが訴えられました。
 決意表明では、「ボーナスの手取り金額を見て、怒りがこみ上げてきた。このまま黙っていてはいけない。地域の声を尊重し、市町村合併の押しつけを許さず、地域の人たちといっしょにたたかいぬく」(自治労連本部・高坂さん)、「阪神にマジックが灯っても、大阪の失業率は高く、地域経済は大変だ。窓口では、年金が減ったと苦情が寄せられる。これほど、マイナス勧告の影響を感じたことはなかった。国民の中へ打って出るたたかいをすすめたい」(全厚生大阪支部・津川さん)、「不況で学校に行けない子どもたちが急増している。子どもの夢まで壊すのが小泉改革だ。公務員賃金は断じてマイナスにできない。賃金改善署名に奮闘したい」(全教本部・八巻さん)、「郵政公社が発足し、当局が賃下げをねらうもと、6月にマイナスの仲裁裁定が出された。それが、今度は人勧や最賃にも影響する。不況の悪循環を断ち切るため、公務労組連絡会の運動に結集する」(郵産労本部・日巻さん)など、各職場の実態もふまえた発言がつづきました。
暴走しはじめた行革推進事務局に怒り満身
 行革推進事務局前要求行動では、主催者あいさつにたった堀口副議長は、「推進事務局は、交渉・協議の不十分なままの一方的な閣議決定はしないなどの我々との合意事項を破って、非公式と称する協議を開始した。しかし、矛盾を深め、追い詰められているのは、推進事務局だ。民主的公務員制度の確立へ、たたかいをいっそう発展させよう」とのべました。
 厚生労働省前の最賃座り込みからかけつけた全労連・国分事務局次長は「推進事務局が性急に法案化をすすめる理由は、議論をすればするほど、なんら改革にあたいしないものであることが暴露されることを恐れているからだ。天下りを自由化するなど許されない。なによりも公務労働者の働くルールの確立=労働基本権の回復めざし奮闘しよう。」と激励しました。
 新堰幹事(公務員制度対策委員長)の闘争報告では、「いま行革事務局と人事院が火花をちらし、わたしたちのたたかいのなかで矛盾をふかめている。潔く断念すべきだ。127の地方議会で請願・陳情採択があがっているように、追い詰められているのは政府・行革推進事務局だ。法案を断念させるまでがんばろう」と訴えました。 
 3単産からの決意表明では、「私たち特許庁も知的財産のグローバリゼーションの中で制度の発展のために努力しているところだ。こうしたグローバリゼーションの時代に、国際ルールも守れない日本政府は、先進国として恥ずべきことだ。推進事務局は一から出直せ」
(全経済特許庁支部・近藤さん)「東京都の補助金削減と公務員制度改革と一体にして進められようとしている。全国キャラバンでは、全自治体訪問を進め、多摩市、桧原村が議会採択をした。この改革は多くのくの人たちからおかしいという声が寄せられている。」(東京自治労連・野村さん)大阪府当局は退職金の引き下げを行なおうとしている。24ヶ月の昇給延伸も経験しやっと回復してきたところであるのに、我々はたいへん怒っている。いまこの問題を中心にすえてがんばっている。勤評・成績主義は教育現場になじまないし、教育をわるくするもの。管理職、父母にも訴えて、いま力をいれて懇談を始めている」(大教組・久家さん)などの発言がつづきました。
 最後に行革推進事務局むかってとシュプレヒコールをくりかえしました。
「人間らしく働きたい」との思いひとつに
 公務・民間の行動参加者は、最後に日比谷野外音楽堂に集まり、全労連・国民春闘共闘・公務労組連絡会の共催で「許すな!賃下げの悪循環7・9中央総決起集会」を開催しました。
 主催者あいさつした全労連熊谷議長は、「昨年はじめてマイナスになって、人勧が日本の低賃金構造を下支えしてきたことがいよいよ明らかになった。こうしたなか、人事院が今年もマイナスで腹を固めたとのテレビ報道もされており、たたかいも正念場をむかえている。また、『公務員制度改革』では、与党からも批判が出ている。労働基本権確立、人事院勧告、最低賃金を一体にしてたたかおう」と力強く呼びかけました。
 全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の島田会長が連帯あいさつし、「生活保護基準の低さは、『健康で文化的な生活』を保障していると言えるのか。小泉内閣のもとで、戦後最悪の事態をむかえているが、その背景には、賃下げや労働法制の改悪がある。労働者ルール確立の機軸となる全国一律最賃制の確立にむけて、連帯してともにたたかう」とのべ、国民生活を守る立場から労働組合への期待も寄せられました。
 つづいて、全労連坂内事務局長の闘争報告では、「今日の行動は、人事院勧告、最賃答申、そして、公務員制度課題とすべてが胸突き八丁の局面をむかえたなかでのたたかいだ。11月総選挙にむけて流れがつくられ、これからのたたかいいかんでは、要求が前進する条件も生まれていることに確信を持とう。一日一日を力いっぱいたたかって、かならず事態の変化をつくり出そう」とのべ、夏のたたかいに公務・民間が共同してたたかう重要性がひときわ強調されました。
 各組合代表からの決意表明では、はじめに、「不利益遡及」の不当性をめぐってたたかう「国公権利裁判」について、国公労連山瀬副委員長が報告しました。原告など4名の仲間とともに、替え歌を駆使した裁判の解説には、会場からは笑いと拍手が沸き起こり、「NTTリストラの問題などとも結合させ、組織の総力をあげてたたかいぬく」と決意がのべられました。JMIUの生熊委員長は、「賃下げや成果主義賃金によって日本の物作り技術が低下している。そのなかで、どれだけ国民世論を獲得するかに勝利の道がある。働く仲間の雇用・賃金を守るため奮闘しよう」と決意表明しました。
 神奈川労連の水谷事務局長は、朝からつづいている厚生労働省前の「ハンガーストライキ」の仲間たちをしたがえて登壇し、時給664円の最低賃金に抗議する意味を込めて「664分」のハンガーストを30人で決行したことを紹介。「昼すぎにすでに2人が脱落し、28人になった」との報告に会場は爆笑しましたが、神奈川の仲間たちの奮闘に共感の大きな拍手が寄せられました。
 最後に、全教の東森書記長が登壇し、「文部科学省は、能力別学習でエリート教育に重点を置いている。国庫負担金も削減されるなかで、国民との矛盾を深めている。キーワードは、憲法にそむくのか、憲法をいかすのかにある」とのべ、教育基本法改悪などに反対してたたかう決意を表明しました。
 決起集会は、公務労組連絡会石元議長の閉会あいさつのあと、参加者全員で力強くシュプレヒコールを繰り返し、その後、国会請願デモへと出発しました。
賃金改善署名5万7千名分を提出
 中央行動では、「賃金改善署名」の第1次分集約として、各単産から集められた合計で56,853筆の署名を人事院に提出しました。
 7月31日の第3次中央行動には、第2次分の署名を集約して人事院に提出します。「マイナス勧告」は絶対許さない強い決意を示すため、さらに多くの署名集約にむけてがんばりましょう。                         
以 上