No.392
2003年4月30日
公務労組連絡会FAXニュース
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自治体職員の賃金・労働条件を改善せよ
〜 公務労組連絡会が全国人事委員会連合会に申し入れ 〜
 公務労組連絡会は30日、人事院、地方人事委員会の民間調査が連休明けから始まるもとで、都道府県・政令市などの人事委員会で組織する全国人事委員会連合会(全人連)に対して、賃金や労働条件の改善を求めて、地方公務員の「給与勧告」について申し入れました。
人事委員会の役割ふまえ国に追随した勧告作業をおこなうな
  全人連の事務局を務める東京都人事委員会事務局への申し入れには、公務労組連絡会から、若井事務局長、新堰幹事(全教副委員長)、松本幹事(自治労連中央執行委員)が参加しました。全人連側は、東京都人事委員会事務局の松田任用公平部長、同村藤主査が対応しました。
はじめに若井事務局長が、別添の「要請書」を手渡したあと、「昨年のマイナス人勧は、私たちが危惧したとおり、公務員労働者の生活を直撃したにとどまらず、国民生活切り下げの悪影響、地域経済への否定的影響などなど大変深刻なものとなった。これは、昨年の衆参両院の付帯決議においても、公務員の士気低下、民間給与・経済に与える影響等々を指摘しており、いわば国民的合意の認識だ。今年の人勧を考えた場合、春闘結果、昨年末一時金、今年夏季一時金、民間調査対象事業所等を勘案すると、現時点のデータをみれば、本俸、一時金ともマイナスになりかねない。こうした認識のもとで、要請を行うものだ」と、申し入れの趣旨をのべました。
また、松本幹事は「調査対象を労使交渉・合意で賃金・労働条件を決定している企業、一般的には一定規模以上の企業を基本にせよ。それは、労働基本権剥奪の「代償機関」としての人事委員会の役割からすれば当然ではないか。国の人勧に追随させるような総務省の不当な干渉を排除して、地方自治と中立機関としての独立性を堅持せよ。地方に勤務する公務員給与の見直しは、同一労働同一賃金の原則を崩し、地域間の給与格差、経済格差等を拡大し、均等な発展を損なうもので、見直し・改悪は行うな。自治体当局による人事委員会勧告を無視したり、上積み削減などについては第三者機関として毅然として対応せよ」と求めました。
また、新堰幹事は「国立大学等の法人化にともなって、教員給与の国準拠制が廃止されることとなっている。今後、人事委員会の勧告にゆだねられることとなるが、どのように考えているのか」と、人事委員会としての対応をただしました。
松田部長は、「全人連会長あての要請書なので、地方の人事委員会へ要請書を送るとともに申入れの趣旨はかならず伝えたい」と前置きしながら、「民間給与の実態調査は、5月6日からスタートする。要請内容については具体的に検討したい。調査方法は従来と変わらないものと認識している。また、言われるように、大学法人化に対しては問題意識として持っている」と回答しました。
以 上
2003年4月30日
全国人事委員会連合会会長 眞仁田 勉 様
公務労組連絡会
議長 石元 巌
地方公務員の「給与勧告」についての要請書
 日ごろより地方公務員の勤務条件の向上にご努力頂いていることに敬意を表します。
 公務労組連絡会は、2月14日、政府・総務省及び人事院に対して「2003年春闘要求書」を提出し、公務員労働者の暮らしの改善が図れる賃金の改善を求めてきました。
 昨年の「マイナス人勧」は、公務員の生活を直撃しただけでなく、年金の引き下げをはじめ国民の暮らしを低下させたり、地域経済にも大きな否定的影響を及ぼしました。
 地方公務員の労働条件に関わる重要な役割を担われている貴職が、こうした認識にたって厳しい経済情勢の中で住民福祉の充実に日々努力している自治体・自治体関連職場で働く労働者の暮らしを改善するために、下記の要求事項を尊重し、人事委員会勧告にむけた作業にあたられることを要請するものです。

               記

1.近年、各人事委員会の調査対象企業が、労使交渉で賃金・労働条件を決定している一定の規模をもつ企業が対象から大幅に削減される一方、労働組合の組織率が相対的に低い小規模企業の割合が大きく拡大されている。これは、労働基本権の「代償機関」とされる人事委員会の機能からすれば、その「代償性」を低下させるものである。
調査対象事業所は、労使交渉によって賃金等の労働条件を決定している企業を基本とし、公務労働者の生活実態や関係労働組合の要求を踏まえた調査を行うこと。

2.本年度の勧告にあたっては、職員の生活改善につながる賃金水準を確保できるものとすること。
政府・総務省の不当な干渉を排除し、地方自治を守り、中立機関としての独立性を堅持すること。

3.地域経済を一層疲弊させ、賃下げの悪循環を促進することとなる「マイナス勧告」を行わないこと。さらに「給与の年間調整」は、「不利益不遡及」の労働法理に反するものであり絶対に行わないこと。
4.地方に勤務する公務員給与水準の見直しは、「同一労働同一賃金」の原則をくずすとともに、給与の地域間格差を一層の拡大させ、地域間の経済格差を拡大し、均等な日本経済の発展を阻害するものであり、見直し改悪は行わないこと。

5.人事委員会勧告事項にない、財政危機などを口実にした自治体独自の賃金引下げや、勧告を無視した給与制度の改悪などについては、公平・中立の第三者機関として、使用者に毅然とした対応を行うこと。

6.国民に信頼される中立・公正な行政を確保する観点から、競争原理にもとづく給与・人事管理制度実施などの勧告をおこなわないこと。

7.住居手当について、持家に対する現行の支給水準の引き下げは行わないこと。

8.臨時・非常勤(教)職員の賃金を抜本的に改めること。当面、常勤職員との均等待遇をはかること。

9.すべての公務職場における年間総実労働1,800時間を達成するための必要な措置をとるよう勧告すること。同時に、違法なサービス残業を根絶する抜本的改善を勧告するとともに、公務員労働者の生活・労働実態を無視した勤務時間割り振り、裁量労働制の導入などの制度改悪を行わないこと。

10.介護休暇の改善をおこなうこと。子どもの看護休暇制度の拡充、家族看護休暇制度の新設子どもの幼稚園・保育園、学校の行事等への参加のための休暇制度を新設すること。

11.育児休業制度の無給規定の撤廃、代替要員の確保、休業期間延長など取得しやすい制度に改善すること。また臨時・非常勤(教)職員の休暇等について、常勤職員に準じた制度とすること。

12.公務における真の男女平等をはかるため、募集・採用・任用・昇格をはじめ雇用の全ステージにおける男女差別を禁止し、その実行をはかるための必要な整備を行うこと。

13.職員の健康・安全を確保するため、長時間・過密労働をなくし、過労死・自殺、疾病、労働災害の予防など福利厚生施策を含めて万全の措置を講じること。あわせて、労働安全衛生法を厳格に遵守するよう強く指導すること。(以上)