No.388
2003年4月3日
公務労組連絡会FAXニュース
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労使協議なき閣議決定はやめろ
= 公務労組連絡会が行革推進事務局に申し入れ =
 「公務員制度改革」関連法案の国会提出がねらわれる情勢のもと、公務労組連絡会は3日、行革推進事務局に対して、労使間の交渉・協議もないまま、関連法案の閣議決定・国会提出はやめるよう緊急に申し入れをおこないました。
 推進事務局は、伝えられている4月下旬の閣議決定というスケジュールこそ口に出さなかったものの、3月下旬から各省に法案条文を示し、現在、意見聴取していることを明らかにするなど、労働組合との交渉・協議をないがしろにして、国会提出へ着々と準備をすすめている実態が示されました。
 こうしたことからも、労使協議ぬきの閣議決定を許さず、労働基本権回復などILO勧告にそった民主的公務員制度確立を求め、職場からのたたかいを強めていく必要があります。
行革推進事務局は閣議決定へのボタンを押した
 行革推進事務局への申し入れには、駒場副議長(4月1日付けで交替)を先頭に、若井事務局長(同)、北村事務局次長(同)、黒田事務局次長、新堰幹事(公務員制度対策委員長)、松本幹事が参加しました。推進事務局側は、公務員制度改革等推進室の吉牟田企画官、渡辺参事官補佐ほかが対応しました。
 はじめに、駒場副議長は、別添の「申入書」を手交したあと、「申し入れにあたって、まず事実を確かめたい。推進事務局は、3月28日に関連法の条文案を各省に示したと伝えられているが、それは事実なのか?」とただしました。
 吉牟田企画官は、「平成15年中の関連法制定を定めた『公務員制度改革大綱』にもとづき法制化への作業をすすめている。そうした点で、内々に各省とも相談している」とし、国会提出を想定した条文案の詳細を各省に示し、意見を求めていることを正式に表明しました。
 駒場副議長は、「それは、閣議決定という出口にむけて、行革推進事務局がボタンを押したことを意味する。話し合いながらすすめ、一方的に閣議決定しないと言ってきたこととの整合性はどこにあるのか。断じて認められない」と抗議しました。
 これに対して、吉牟田企画官は「労働組合と話し合いをつづけながら、誠心誠意、努力をおこなっていきたいとの姿勢には変わりがない。みなさんの理解を得られるように努力したい」とのべました。
 駒場副議長は、「答えになっていない。労働組合といっさいの交渉・協議もなく、閣議決定へのボタンを押したと受けとめる。そのことにまず強く抗議する。そのうえで、労使協議なしに一方的な閣議決定をしないこと、ILO勧告という経過をふまえて十分な協議をはかること、そして、労働基本権制約の維持を前提とした作業は中止するよう申し入れる」とし、「国会の議論では、新人事制度は、憲法上疑義があると人事院の中島総裁ものべている。また、石原大臣は、労働基本権は中期的な議論が必要であり、関連法案とは別問題だと言い切っていることは認められない」と指摘しました。
「話し合いさせてほしい」と繰り返すだけの推進事務局
 その後、若井事務局長はじめ交渉参加者が、行革推進事務局をきびしく追及しました。
 労働組合との交渉・協議について、「理解が得られるように努力すると言うが、2月にも同趣旨で申し入れたが、そのあとはまったく進展がない。一方的にやらないと言っても、一昨年12月に、『原案』提示からわずか一週間で『大綱』の閣議決定を強行したという前例があり、そのことへの不信感はぬぐい去れない」「4月8日に各省との正式協議に入るならば、4月下旬の閣議決定が推測できる。公務員制度を改革するならば、国民合意こそ必要だ。それならば、対決法案ではなく、国会ですべての政党が一致できるものにすべきだ。スケジュールを先に決めて、与党の顔色をうかがいながら法案策定するなら、国民合意はできない」などの発言がつづきました。
 行革推進事務局側は、「『大綱』決定までの一連の経過にみなさんが不満を持っていることは承知している。今は労働組合との交渉・協議がストップはしているが、誠心誠意話し合っていこうと思っている。また、言われるように閣議決定までのスケジュールを決めたわけではない。しかし、われわれには今年中の改正法策定という目標が与えられており、できるだけ早期に法案を国会提出したい」と回答しました。
 しかし、「話し合った結果、理解が得られなければ、変更したり断念するのか?」との追及に対しては、「理解がられるよう努力する。とにかく話し合いをさせてほしい」とこれまでと同じ回答を繰り返し、最後まで「交渉・協議にもとづく納得と合意」にはひとことも言及ありませんでした。
「新人事制度と基本権問題は矛盾しない」と強弁
 ILO勧告にかかわって、「政府は、3月にILO結社の自由委員会へ『追加情報』を出して、ILO勧告に反論しているが、依然としてILOの言うことに聞く耳を持たないとの態度をとっている。国際世論をなぜ受けいれないのか」とただすと、吉牟田企画官は、「11月のILO勧告は、これまでのILOの見解と異なっており、『追加情報』は、その点での日本政府の考え方を説明したものだ」とし、労働基本権の保障を求めたILO勧告にしたがう姿勢はまったく見られませんでした。
 これに対して、「ILO勧告にそって、労働基本権を返すべき。新人事制度は、その内容からして、労働基本権確立と一体で検討されるのは当然だ。その方向さえ示されないのに、中身の議論に入るわけにはいかない」と追及しましたが、推進事務局側は、「労働基本権の問題は、簡単に結論が出るような課題ではなく、時間をかけた検討が必要だ。『大綱』では、制約の維持を示したが、今回は、その枠内で公務員制度の改革をすすめるもので、矛盾はない」と強弁しました。
 これらのやりとりの後、駒場副議長は、「スケジュールを決めたわけではないと言うのなら、その言葉通り、一方的な作業をすすめるな。労働基本権の検討には時間がかかるとの話があったが、新人事制度は労働条件の重大な変更であり、労働基本権と一体だという認識を持つべき。ILO勧告は、権威ある国際機関が出した勧告であり、重く受けとめよ」とのべたうえで、「『大綱』決定時のように、労働組合との交渉・協議もなく、突然閣議決定することは断じて認められない」とかさねて強く主張し、申し入れを終えました。
全労連・公務労組連絡会が緊急中央行動
 関連法案の閣議決定を阻止するため、公務労組連絡会は、全労連「公務員制度改革」闘争本部と共同で、緊急に「4・15中央行動」をとりくみます。
 4月15日は、全国からの上京団をふくめ、1,000名規模の参加で、行革推進事務局や総務省への要求行動、決起集会、国会議員要請などを展開します。
 全労連は、この行動を、全労連・国民春闘共闘の「第5波全国統一行動」(4月16-18日)の一環として位置づけ、民間単産からの積極的な参加を呼びかけています。5月からの「全国キャラバン行動」の成功にむけても、重要な行動となります。
 「公務員制度改革」関連法案阻止のたたかいが重大な局面をむかえているなか、職場から多くの仲間の参加で、「4・15中央行動」を成功させましょう。
以 上
【別添資料】
2003年4月3日
行政改革担当大臣
  石原 伸晃 殿
公 務 労 組 連 絡 会
議 長  石 元  巌
ILO勧告にもとづく公務員制度の確立を求める申し入れ
 2001年12月に閣議決定された「公務員制度改革大綱」にもとづき、現在、政府・行革推進事務局において、「公務員制度改革」関連法案の国会提出にむけた作業がすすめられているものと承知しています。
 公務労組連絡会は、「大綱」の内容はもとより、「原案」提示からわずか1週間で閣議決定した進め方についても、到底容認できないものであり、白紙撤回を強く求めてきました。
 また、労働基本権を引き続き制約するとした「大綱」に対して、昨年11月には、ILOから「再考」を求める勧告が出されたところであり、こうした国際世論をふまえれば、「公務員制度改革」にかかわる作業を中止すべきであり、いわんや、関連法案の国会提出などは断じて認められるものではありません。
 ところが、政府は3月28日、「国家公務員法改正法」「能力等級法」など、国会提出を想定した条文案を各省に示し、意見集約をはかったうえで、4月8日からの各省との正式協議を経て、22日にも法案を閣議決定するとの動きも伝えられているところです。
 もし仮にこれが事実であれば、私たちが繰り返し求め、また、ILO勧告でも強調された労働組合との「全面的で率直かつ意味のある交渉・協議」を根底からふみじるものであり、きわめて重大な事態であると言わざるをえません。
 この間、私たちが、労働組合の納得と合意を最も重視し、行革推進事務局に対して、労使合意がない法律案は国会提出しないことを前提に、「ILO勧告」に沿って、公務員労働者の労働基本権回復に向けた交渉・協議を直ちに開始するよう求めてきましたが、そのことはいまだに実現していません。
 こうしたなかで、あらためて、一方的な法案の閣議決定はおこなわないよう強く求めるとともに、政府・推進事務局は、「ILO勧告」を真摯に受け止め、「公務員制度改革大綱」にもとづく作業を中止し、ILO条約に合致する公務員制度を確立するため、公務労組連絡会との交渉・協議を直ちにおこなうよう下記の通り申し入れます。

              記

1、「公務員制度改革」の作業を中止し、「ILO勧告」にもとづく公務員制度改革をおこなうこと。

2、公務員労働者の労働基本権回復にむけた交渉・協議を直ちに開始すること。

3、「公務員制度改革」関連法案の閣議決定は断じておこなわないこと。(以上)
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