No.384
2003年3月11日
公務労組連絡会FAXニュース
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切実な要求実現へ交渉を積み上げる
=「3・13全国統一行動日」で職場からのたたかい強化を=
 国民春闘共闘の最終回答指定日を翌日にひかえた11日、公務労組連絡会は、総務省と春闘要求で交渉しました。
 4日の交渉に引き続き、「12,000円以上」の賃上げをはじめ、超過勤務縮減・不払い残業解消など、切実な要求に対する誠意ある対応をせまりましたが、前回と同様に「人事院勧告制度の尊重」とする対応に終始しました。
 総務省が18日の最終回答を予定していることから、公務員賃金闘争のヤマ場にむけて、13日の「全国統一行動日」を中心にして、政府・人事院への要求行動を職場から強化していくことが重要となっています。
給与法成立時の附帯決議の趣旨を尊重(総務省)
 総務省交渉には、公務労組連絡会から、浜島事務局長、高坂・黒田両事務局次長、吉田幹事(権利専門委員長)、松本幹事(賃金・労働条件専門委員)、先水幹事が出席、総務省側は、人事恩給局総務課の山石課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、浜島事務局長は、現時点における総務省としての検討状況をただしました。
 山石課長補佐は、「現段階での中間的な回答」とし、要旨、以下の通り回答しました。
●(賃金要求について)公務員給与は、人事院勧告を受けて、給与の取り扱いを内閣が責任を持って決める。「人事院勧告制度の尊重」を基本姿勢にし、国政全般の状況を考慮して、取り扱いを決定する。勧告が出されれば、適切に対処したい。昨年は、初の給与引き下げとなったが、その際の閣議決定までの経過や、給与法成立時における衆参両院の附帯決議(FAXニュースNO.362NO.364参照)の趣旨を尊重し、労働組合と十分に話し合い、理解と納得をえるよう努力する。
●(労働時間短縮について)職員の健康の保持・増進、ゆとりある生活、公務能率の向上にむけて、超過勤務の縮減、年次有給休暇取得の促進へさらにとりくみをすすめる。これらは、「公務員制度改革大綱」の最重要課題にあげられ、積極的かつ継続的にとりくむべきとしている。総務省としては、各府省の担当者で構成する「超過勤務縮減対策連絡会」で実質的な観点から議論をすすめる。
●(ILO勧告への対応について)昨年11月の勧告に対しては、現在、各府省からの見解を厚生労働省が中心になって取りまとめているところだ。それらの見解を3月中にはILOに提出できるよう作業をすすめている。
●(最終回答日について)国会の日程、イラク情勢への対応など流動的な部分はあるが、今月18日を予定している。
 これに対して、交渉団は、「『勧告制度の尊重』を繰り返すが、そもそも人事院勧告制度は、労働基本権制約の『代償措置』として機能を発揮していると言えない。国会の附帯決議も、理解や納得を得るよう『最大限の努力』を求めている。今後、労働組合と具体的にどんな『努力』をするのか示せ」「国会決議という昨年とはまったく違う状況を、政府としてどう受けとめているのか?」と追及しました。
 山石課長補佐は、「昨年は、勧告から閣議決定までみなさんの意見を十分にうかがってきたところだ。そのなかで、国会での議論の結果、採択された附帯決議であり、その内容を真摯に受けとめて、納得と合意を得るよう努力する」とのべました。
 また、交渉団は、「公務員の賃下げは数千億円の消費後退につながる。マスコミ報道でも、景気冷え込みを加速するとの主張もあった。附帯決議は、民間賃金・経済に与える影響を重く受けとめるべきとしており、われわれの主張がマトを射たものであったことを示している」「全会一致で決議が採択された意義は大きい。これを政府としてどう受けとめるのかが重要だ。そのことからも、いつまでも『勧告制度の尊重』でいいのか。きわめて不十分だ」と、公務員賃金の社会的な影響をふまえた積極的な賃上げを求めました。
 これに対して、「経済への影響は理解しないわけではないが、公務員賃金は、情勢適応の原則にしたがって、民間賃金の実態調査をふまえた勧告が出されている。それを尊重するのが政府の基本姿勢だ。附帯決議は重く受けとめる」と山石課長補佐はのべました。
 浜島事務局長は、「労働基本権を奪っている以上、労働組合の声を真剣に聞き、要求実現に努力せよ。昨年、附帯決議まで採択されたことを受けとめて、賃下げを強行したことを政府は反省すべき」とのべ、最終回答にむけてさらなる検討を求めました。
「超過勤務縮減」は政府のかけ声だおれだ(交渉団)
 労働時間短縮の課題について、「政府の超過勤務の縮減対策は、かけ声だおれどころか、かけ声さえも現場には聞こえてこない。『ノー残業デー』などをつくっているが、年間360時間という人事院の指針は職場には浸透していない。まず管理者に認知させ、実効ある制度となるよう努力せよ」「超過勤務予算をオーバーするとただ働きとなる。厚生労働省の通達は、使用者による時間管理が柱になっているが、使用者たる政府は、職場の実態をきちんと把握しているのか?」など、恒常的な残業の実態もふまえて追及しました。
 山石課長補佐は、「時間管理は各府省で責任を持って適切に実施されているはずだ。残業した場合は、超過勤務手当を支払うべきなのは当然。勤務時間の管理強化などへ『連絡会議』で実質的な議論をしたい」と、今後の対応を重ねて示しました。
 浜島事務局長は、「労働基準監督署から残業代の支払命令が出た民間企業も多い。監督者である厚生労働省が深夜までの残業では、いったいどうなっているのかとの声も出る。まず政府が模範を示すべき」と、緊急かつ実効ある対策を強く求めました。
 ILO勧告にかかわって、浜島事務局長は、「日本政府見解はどのような内容になるのか。『公務員制度改革』は、労働基本権の取り扱いが焦点だ。制約を維持するとした『大綱』はダメだとILO勧告も指摘している。したがって、『大綱』を前提にして、新たに政府見解を示しても、ILOも納得するわけがない。新たな国際批判を生みだすだけだ」と指摘したことに対して、山石課長補佐は、「話としてはうかがっておく。見解の内容は、取りまとめ中であり、まだわからない。ここで申し上げられるものはない」としました。
「要求打電」など職場からのとりくみに全力を
 以上の交渉からも明らかなように、総務省は、今日時点でも、公務労組連絡会の要求に対して、「勧告制度尊重」とする従来からの姿勢をあらためず、公務労働者の生活改善にむけた使用者としての回答を何ら示そうとしていません。
 最終回答が18日に予想されることからも、「3・13全国統一行動日」での職場集会の開催、「要求決議」など採択、さらには、公務労組連絡会が提起している「要求打電」のとりくみなどをすすめ、政府・人事院からの誠意ある回答引き出しにむけて奮闘していきましょう。
以 上