夏季一時金削減の給与法成立にあたって(談話)

2009年5月29日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司


1、一般職国家公務員の夏季一時金を0.2月分削減する法案は、本日開かれた参議院本会議において審議され、自民党、公明党に加え、民主党の賛成多数で可決・成立した。
 法律はただちに公布され、昨年の給与法改正ですでに確定していた支給額から、平均で約8万円の減額が強行されることとなった。公務員の生活を切り下げるばかりか、公務関連労働者600万人をはじめ、民間労働者の賃金にも否定的な影響をおよぼすにもかかわらず、法案提出からわずか2週間のスピード審議で成立をはかったことは重大である。

2、異例とも言える突然の一時金削減は、与党による「議員立法」の動きに端を発しており、総選挙での国民支持を目当てにするという政治的な意味合いを持っていた。
 これに迎合・追随した人事院は、急ごしらえの調査を実施し、信頼性のないデータを使ってまでも、0.2月削減の勧告を強行し、政府も、「勧告制度の尊重」を大義名分にして、使用者の立場からの十分な検証もなく、勧告後、短期間で閣議決定をおこなった。
 このように、自民・公明の与党、人事院、政府による「合作」で、公務員の一時金を政治の道具として利用したことには、あらためて深い憤りを感じざるを得ない。

3、問題はそれだけにとどまらない。従来のルールを一方的に無視して、労働組合との合意や納得がないまま労働条件の変更が強行されるもと、国会審議でも、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告制度の根幹にかかわる問題点が繰り返し指摘された。
 さらに、公務・民間の賃下げが個人消費の後退を招き、景気に確実に冷や水を浴びせ、そのことが、定額給付金支給や「エコカー減税」をしてまで消費回復をめざす政府の政策的矛盾であることが厳しく追及されるもと、総務大臣は、大企業・ゼネコン奉仕、大型公共事業中心の「緊急経済対策」の有効性を主張する答弁に終始した。

4、一方、地方自治体に「国準拠」の対応をせまり、政府が4月初めから度重なる通知をおこない、不当な圧力を強めていたが、都道府県段階で11県の人事委員会が削減勧告を見送る結果となった。これら地方自治体の判断からも、一時金削減の道理のなさが示された。
 給与法成立は許したが、「要求決議」送付など職場からの怒りの行動、国会前の座り込みや反復して開いた議員面会所集会など民間労組とも共同したたたかいは、人勧期闘争、最低賃金引き上げのたたかい、さらには、解散・総選挙で政治の民主的転換を勝ち取るたたかいへと引き継がれるものである。公務労組連絡会は、引き続き、すべての労働者・国民の生活改善へ奮闘する決意である。(以上)