2007年国家公務員給与法等の成立にあたって(談話)

2007年11月26日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司

1、臨時国会で審議されていた国家公務員一般職にかかわる給与法は、本日午後の参議院本会議において可決・成立した。
 これにより、初任給を中心とした俸給の改善、一時金の0.05か月引き上げ、扶養手当や地域手当の改善で、公務員給与は9年ぶりの年収増となることが確定した。
 その一方、指定職の一時金および地域手当は、政府決定にもとづいて、今年度の改定が見送られることとなった。

2、勧告実施の見送りが一般職員にまで及ばず、給与法案も、昨年に続いて衆・参ともに全会一致で採択された。しかし、幹部職員にあたる指定職に限定したとはいえ、改定が見送られたことは重大な問題を持っている。
 国会審議でもたびたび指摘されたように、人事院勧告制度は、労働基本権制約の「代償措置」であり、重く尊重されなければならない。にもかかわらず、「国民の理解が得られない」などと抑制した政府の決定は許されるものではなく、谷人事院総裁が、国会答弁で「遺憾である」と政府を厳しく批判したのも当然である。
 公務員労働者の権利を踏みにじった勧告の「不完全実施」は、断じて認めるわけにはいかない。公務労組連絡会は、重ねて労働基本権のすみやかな回復を求めるものである。

3、地方公務員の給与改定では、「マイナス勧告」や一時金の引き下げ勧告、さらには、自治体による独自の賃金カットなどで、地方間の給与格差が例年以上にひろがってきている。
 その背景には、「構造改革」のもとでの地方財政悪化や、地域経済の疲弊による地場の民間賃金の減少があり、同時に、地方の公務員の給与改善に対して政府が干渉を強めてきたことが、こうした地方での給与格差拡大につながっていることを指摘できる。
 政府は、住民サービスの低下に直結している地方切り捨ての「構造改革」路線をただちに転換するとともに、地方自治体への不当な干渉・介入をやめるべきである。

4、臨時国会では、「新テロ特措法」をはじめ、最低賃金法改正法案、労働契約法案など重要法案の審議がつづいている。
 労働関係2法案をめぐっては、自民党と民主党の協議によって、修正に値しない「修正案」の可決が参議院でねらわれている。自民・民主の「大連立」構想とともに、これらは、参議院選挙で示された労働者・国民の期待を裏切るもので重大である。
 公務労組連絡会は、あらゆる悪法に反対してたたかうとともに、来るべき08春闘では、正規・非正規を問わずすべての労働者の賃金底上げ、公務・公共サービスの拡充、労働基本権回復など民主的公務員制度の実現へ、国民との共同をひろげてたたかう決意である。