公務員制度にかかわる声明・談話


自公民による密室の修正協議は認められない

〜「公務員制度改革基本法案」の委員会採決に抗議する(談話)〜


2008年5月28日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司

1、通常国会に提出された「公務員制度改革基本法案」は、5月28日の衆議院内閣委員会で採決され、自公民三党の共同提案による修正案が、共産党を除く与野党の賛成多数で可決された。

 公務員制度のあり方は、公正で中立な公務・公共サービス確立や、労働基本権など公務労働者の諸権利とも深くかかわるものであり、徹底審議が求められてい たが、審議が始まってから15時間、修正案に対してはわずか1時間半の質疑で委員会採決が強行されたことに抗議するものである。

2、公務員制度改革にむけては、政官財の癒着を断ち切ることをはじめ、天下りの禁止、特権キャリア優遇の人事制度をあらためることなどが重要課題となっているが、法案は、国民の求める改革をすすめるものとはなっていない。

 とりわけ、改革の柱にすえるべき労働基本権の回復について、法案は、「国民に開かれた自律的労使関係を措置する」と修正されたものの、協約締結権付与、人事院勧告制度廃止の方向を明確に打ち出した専門調査会最終報告からも後退したものとなっている。  政府は、3度にわたるILO勧告をはじめ、公務員の労働基本権保障を求める国内外の声に真摯に応え、権利回復にむけた明確な道筋をただちに示すべきである。

3、国民生活ともかかわる重要法案が、自民・公明の与党と民主党の政治的思惑も背景にして、密室の修正協議にもとづいて採決が強行されたことは重大である。

 そもそも、修正案は、国会議員と官僚との接触制限に関する規定の削除や、内閣人事庁の「内閣人事局」への手直しなど、「改革」 の基本方向は政府原案と何ら変わらず、「修正」に値するものではない。さらには、65歳定年制と引き替えに職員の給与抑制を盛り込むなど、修正案そのもの の問題点も指摘できる。自公政権とともに、形ばかりの「修正」で法案採決に手を貸した民主党の責任も厳しく問われるべきである。

4、これまでの審議においても、官民の人材交流が財界の「ビジネスチャンス」を生み出し、法案がそれをいっそう加速させること や、現行のキャリア制度を法律で固定化することなど、法案の数々の問題点が明らかになっている。こうしたことからも、国民的な議論をひろげるためにも、参 議院段階での「公務員制度改革基本法案」の徹底的な審議を求めるものである。

 公務労組連絡会は、労働基本権の回復をはじめ、政官財の癒着を根絶し、公正で中立な民主的公務員制度の確立、公務・公共サービス拡充にむけて全力をあげる決意である。

以 上