公務員制度にかかわる声明・談話
〜国民に大きな負担をもたらす「小さな政府」の具体化は断じて許さない〜
「行政改革の重要方針」閣議決定に抗議する(声明)
2005年12月26日
公務労組連絡会幹事会
1、小泉内閣は12月24日の臨時閣議で「行政改革の重要方針」(以下、重要方針)を決定した。「小さな政府」の実現にむけて、行政の「スリム化」をいっ
そうすすめるため、今後の新たな具体的方策を掲げた「重要方針」は、小泉「構造改革」の総仕上げをねらい、その方向を指し示したものである。
「重要方針」は、すべてにわたって、行政・教育・医療・福祉の切り捨てで国の責任を放棄しながら、国民への負担と犠牲の強化によって「改革」を推し進める立場が貫かれている。公務労組連絡会は、「重要方針」の閣議決定に抗議し、撤回を要求する。
2、なかでも、定員・給与の両面から公務員総人件費の大幅削減を打ち出した「総人件費改革の実行計画」は、幾多の問題点を持って
いる。
国家公務員定員を5%以上純減するため、すでに実施中の削減計画にさらに上積みして、業務の民間委託や「市場化テスト」の本格導入、非公務員化などで
「これまでにない大幅な純減」をめざしている。地方公務員では、教育・福祉・防災部門などの定員の「国基準」の見直し、公立大学法人化、教員の削減などで
4.6%以上の純減をはかるとしている。
これらは、公務に求められる公共性、公務員の果たす役割などの検討もなく財界主導で決定された経済財政諮問会議の「総人件費改革基本指針」を具体化したにすぎず、「数あわせ」によって公務・公共サービスを儲けの対象にするねらいは断じて容認できない。
3、公務員定員や「給与制度改革」が、公務労働者の労働条件に直結するにもかかわらず、「管理運営事項」であるとして、交渉・協議など労働組合の意見反映の場が保障されてこなかった点は、公務労働者の労働基本権を踏みにじるものであり、重大である。
「重要方針」で示された今後の「公務員制度改革の推進」についても、その検討過程において、納得と合意にむけた交渉・協議が不
可欠である。その際、何よりも「公務員制度改革」の最重要課題は、労働基本権の取り扱いであり、政府は、憲法と2度のILO勧告に沿って、公務員労働者へ
の労働基本権をただちに回復すべきである。
4、臨時閣議では、あわせて、定率減税廃止や医療制度改悪などを盛り込んだ来年度予算案が決定された。2兆7千億円の国民への
負担増の一方で、法人税減税の継続、道路特定財源や大型プロジェクトの温存などで大企業優遇をつづける予算案は、「小さな政府」が、国民に大きな負担をせ
まることを現実に明らかにしている。
こうした予算案の審議に加え、「行政改革推進法案(仮称)」の通常国会提出がねらわれるもと、来るべき06春闘は、政府の
「行政改革」との全面的な対決の場となる。
弱者を切り捨て、格差を拡大しながら、憲法・教育基本法の改悪を通して、「戦争をする国」へと「国と地方のかたち」を反動的に変えていく「改革」は、国
民との間に深い矛盾をもたらさざるをえない。公務労組連絡会は、「小さな政府」にもとづく公務員総人件費削減、公務・公共サービス破壊に反対し、国民本位
の行財政、地方自治を確立するため、憲法擁護のたたかいと結びつけて、組織の総力をあげてたたかい抜く決意である。
以 上