公務員制度にかかわる声明・談話
「公務員制度改革の基本設計」に対する声明
2001年6月29日
公務労組連絡会幹事会
1.本日、政府の行政改革推進本部は、「公務員制度改革の基本設計」を決定した。これは、内閣官房行政改革推進事務局が3月27日に決定した「公務員制度
改革の大枠」にもとづき、「6月中とりまとめ」のスケジュールにそって、政治主導による強権的な「改革」検討を進めてくる中で、新たな公務員制度の骨格と
その具体化にあたって必要な検討課題について、「政府全体の共通認識」を示したものであるとしている。
そして、「改革に向けた今後の取組み」として、引き続き「内閣官房の主導」のもと、「人事院の協力」をよりいっそう求め、「職員団体等との意見交換」も十分行いつつ、12月を目途に「公務員制度改革大綱(仮称)」を策定することなどを表明している。
さらに、これは国家公務員の一般の行政職を念頭に置いたもので、それ以外の職員はそれぞれの職種の特性に応じ、また地方公務員の場合は地方自治の本旨とその実情を十分ふまえ、引き続き検討を行うとしている。
2.「基本設計」の特徴は、第一に、「信賞必罰」という古めかしい文言こそ消えているものの、任用などへの「能力等級制度」導入
を柱に、「能力・業績主義」強化の賃金(月例給、一時金、退職手当)体系改悪、新たな「評価制度」導入をあくまで貫徹しようとしていることである。
第二に、各府省大臣を「人事管理権者」として組織・定員管理を弾力化し、中央人事行政機関としての人事院の役割転換と機能縮小を図る一方で、肝心の労働基本権問題については「引き続き十分検討する」にとどめていることである。
第三に、国民にとって問題なのは、「国家戦略スタッフ」の創設、企画立案と実施の分離、T種採用試験の温存、「天下り」の自由化など、キャリア制度の維持・強化と国民サービス部門の切り捨てを色濃く打ち出していることである。
3.公務労組連絡会は、政府・自民党が昨年12月1日の「行政改革大綱」閣議決定をはさんで「公務員制度改革」を大きな争点にし
てくる中で、春闘段階から職場・地域での学習活動を徹底的に重視するとともに、5月連休明けから「大量宣伝行動」と「大規模署名行動」を軸に、国民のため
の公務員制度確立をめざす「総対話と共同」の取り組みに組織の総力をあげて奮闘してきた。
そして、全労連「公務員制度改革」対策本部による公務・民間一体の闘争体制が確立する中で、5月25日の石原行革担当大臣と
の会見、「6・8第1次中央行動」への2,400名結集と多彩な諸行動を展開してきた。とりわけ、「請願署名」行動では短期間に約23万筆を集約して国会
に提出し、日本共産党の全議員をはじめ各政党から143名もの国会議員が紹介議員になるなど、今後のたたかいに大きな到達点を築くことができた。
4.こうした国内のたたかいに加え、6月5日開会のILO第89回総会(全労連代表もオブザーバー参加)では、6月12日の
「条約勧告適用委員会」で87号条約(団結権)に関わる日本案件として、消防職員の団結権、公務員のストライキ禁止、国立医療労働者に対する「代償措置」
の3点が審議された。
そして、「公務員制度改革」の進め方をめぐって国際的批判が集中する中で、日本政府が「閣議決定、『大枠』ともに制度の具体
的内容を決定しているものではないことから、今後の交渉・協議を制約するものでなく、制度の具体的な内容については今後職員団体…と交渉・協議していく中
で順次決まっていく」「『基本設計』後も職員団体…と誠実に交渉・協議してまいりたい」と態度表明したことは、今後のたたかいを攻勢的に進めていくうえで
重要な足掛かりを築くものとなった。
5.今回の「基本設計」決定を機に、「公務員制度改革」闘争はいよいよ本番を迎える。
公務労組連絡会は、これまでのたたかいを過不足なく総括しつつ、「政官財ゆ着」の根絶や「天下り」の禁止など国民のための民主的な公務員制度確立の要求政策を対置して、「交渉当事者」である行革推進事務局をはじめ対政府闘争に全力をあげる。
しかも、小泉内閣は、6月26日の臨時閣議で「聖域なき構造改革の断行」の具体化としての「基本方針(骨太の方針)」を決定し
たが、それは「創造的破壊」と称して労働者・国民に「倒産・失業の増大」「社会保障の改悪」「消費税の大増税」を押しつけようとしており、「公務員制度改
革」はまさにこれと軌を一にするものである。そのためにも、小泉流逆立ち「改革」をひろく明らかにし、「総対話と共同」を通じて国民的な支持と連帯を拡げ
つつ、直面する参議院選挙闘争とも固く結合して全力でたたかいぬくものである。
以 上