16年人事院勧告にあたっての幹事会声明

2016年人事院勧告にあたっての幹事会声明

2016年8月8日
公務労組連絡会幹事会

1、人事院は本日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する勧告とともに、職員の両立支援にかかる勤務時間の改定に関する勧告と意見の申出、関連する報告をおこなった。賃金は「708円、0.17%」の較差にもとづく改善、一時金は0.1月引き上げるとし、あわせて配偶者手当を半減する「扶養手当の見直し」もおこなった。

2、3年連続となるベア勧告は、賃金改善を求めるねばり強いたたかいの反映であるが、その水準は公務労働者の生活を改善するにはほど遠いものである。最低時間額をただちに1,000円以上とする要求をはじめ、臨時・非常勤職員の労働条件改善にも背をむけるなど、きわめて不満な勧告である。

 同時に、「給与制度見直し」による現給保障中の多数の労働者の実支給額が変わらないことも問題である。人事院は、このことで生じる官民較差の原資を本府省業務調整手当額の引き上げにあて、「給与制度見直しを円滑に進める」としている。昨年の地域手当額の引き上げに続き、本府省を優遇し地方との格差を広げることは断じて認められない。あらためて「見直し」の中止を強く求める。

 また、配分では、初任給層に1,500円積むとしたが、官民較差は解消するどころか、最低賃金をも下回っており、人材確保の点からも看過できるものではない。較差外での対応も含めた初任給の抜本改善を強く求めるものである。

3、「扶養手当の見直し」について人事院は、5月下旬に「見直し検討」を表明したものの、8月2日になってやっとその具体的な内容を明らかにした。公務労組連絡会は、労働条件の不利益変更であり、配偶者手当にかかる民間の支給状況や公務員労働者の実態を踏まえない検討は中止するよう再三求めてきた。労働組合とのまともな協議もなく、配偶者手当を切り下げる勧告は、人事院の使命に反した暴挙であり断じて認められない。

 また、雇用と年金の接続問題については「公務員人事管理に関する報告」で「勤務形態に対する多様なニーズも踏まえた定年延長に向けたしくみを具体化していくことが必要である」としているが、当面、希望者全員のフルタイム再任用を実現するため、人事院としての毅然とした対応を求める。

4、今年の地域別最低賃金の目安額は、加重平均を24円とするとともに、最高額と最低額の格差は214円から218円へとひろがった。賃金格差を拡大する目安額を乗り越えるため、引き続く各県での地域最低賃金改善を求めるたたかいに全力をあげるものである。

 公務労組連絡会は、すべての労働者の大幅賃上げをめざして春闘期から民間労組との共同をひろげて奮闘してきた。また、全国から1,700人の官民労働者が結集した「7・27中央行動」など、最低賃金の大幅引き上げと一体で公務員賃金改善のたたかいを展開してきた。全国でとりくんだ「公務員賃金改善署名」は12万7千筆を超えた。初任給層とともに、再任用や高齢層職員を含むすべての俸給号俸の改善を実現したことはたたかいの反映である。

 こうした要求と運動の到達点に確信を持ち、改善部分の早期実施と配偶者手当の改悪阻止、「給与制度見直し」を中止させるたたかいを引き続き強化する。また、地方人事委員会での改善勧告をめざすとともに、確定闘争、独立行政法人での賃金改善を勝ちとるため、公務大産別の団結をさらに強めてたたかいを継続・強化していく。

5、内閣を再改造した安倍政権は、憲法改悪や「戦争法」の具体化など国民の声を聞かない暴走政治をさらに加速させようとしている。大企業に奉仕する一方で、国民に負担と犠牲を押しつける政治の強行に反対する野党と市民、労働組合が共同した運動がひろがっている。

 公務労組連絡会は、みずからの要求と結びつけて、「戦争法」の廃止と安倍暴走政治を阻止するために全力をあげる。そして、憲法を擁護し、遵守する責務を負う公務労働者として、憲法を守りいかすために職場と地域から奮闘する決意である。