NETニュースNO.928 改憲・道州制許すな5・25院内集会


国民一人ひとりを大切にする政治への転換を

= 改憲・道州制を許すな!国と自治体に憲法をいかそう5・25院内集会 =

 全労連公務部会は5月25日、衆議院議第1議員会館で「改憲・道州制を許すな!国と自治体に憲法をいかそう5・25院内集会」を開きました。研究機関・民主団体などが参加する「道州制・地方分改革を考える懇談会」との共催で50人が参加しました。
 集会では、改憲、道州制、地方創生、地方分権改革に関わる国と地方の動きなどの情勢を共有するとともに、目前にせまった参議院選挙にむけて、戦争法の廃止、憲法をいかす国と自治体をつくるとりくみについて意思統一しました。

新自由主義と軍事大国化に反対してきた運動に確信を

  主催者を代表して行財政総合研究所の永山利和理事長は、「地方自治、立憲主義を踏みにじる政治や法律を変えていくため、声をあげていく必要がある。道州制をめぐる情勢などを把握するために、みなさんの討議で充実した集会にしよう」とあいさつしました。

 ミニ学習会として、晴山一穂(はれやま・かずほ)専修大学教授<写真>が、「国の国家再編と道州制・地方分権改革」と題して講演しました。晴山氏は、1980年代に国のあり方が2つの方向に大きく転換され、転機をむかえた。その中から地方分権『改革』や道州制が生まれていった」と指摘しました。
 その1つの方向として、70年代には「福祉なくして成長なし」と国よりも自治体が先行して福祉が拡充していったが、その後、新自由主義政策の推進へと転換し、「改革なくして成長なし」「官から民へ」「小さな政府」論で、市場経済最優先の思想が蔓延したことを示しました。

 2つ目の方向としては、対米従属下で軍事大国化へと進んでいったことをあげ、日米軍事同盟の強化のための国家再編を進めるための体制づくりとして、中央省庁の再編などが2000年以降に具体化されてきたことを示しました。晴山氏は、「新自由主義で軍事大国になっていく方向を転換する80年代からのねばり強い運動が根底にあり、戦争法反対の国民的なとりくみを通して、国民の意識が大きく変わってきている。長い視野をもち運動を進めていくことが大事だ」と強調しました。

震災からの復旧・復興は等しく保障すべき国民の権利だ

 公務部会の川村事務局長が集会への報告と提案をおこなった後、各単産・団体からとりくみの報告がありました。

○国公労連・全労働
 ハローワークの職業紹介事業が、80年代から規制緩和によって民間に開放されてきた。いま、職業紹介事業の自治体への移譲が問題となっているが、たとえば埼玉県に線を引いても、労働者は東京に流出するので意味がない。地方版ハローワークでは、自治体には専門的な能力やノウハウもなく、民間の人材ビジネスに行きつき、求人者である顧客のニーズが優先され、結果的には労働者の権利が損なわれることになる。

○自治労連
 安倍自公政権の改憲策動を止める世論を、地域からゆるぎないものにしようと憲法キャラバンを毎年とりくんできた。自治体首長との懇談は、904自治体まで進んでいる。福島県富岡市では合併が検討されたが、合併しなかったことによって、東日本大震災のときに自治体としての役割を発揮することができたとの話があった。今年は憲法制定から70年、自治研集会を引き続き開催し、“二度と赤紙を配らない”の原点に立ちかえって考えてみたい。

○全教
 08年のリーマンショック以来、家計にかかる学校給食費の家計への負担割合が、年々大きくなっている。給食費の財政支援の拡充は、小規模自治体の方が多いという結果がでている。給食費の無償化など福祉・教育の切り捨てをゆるさない。

○国公労連・国土交通労組
 震度7の地震が2度おきた熊本大地震は、これまでに例のないメカニズムの地震だった。国土交通省として、現地調査や連絡調整として全国からリエゾン(災害対策現地情報連絡員)の派遣や、緊急物資の輸送支援などをおこなった。インフラの復旧・復興は、国民に等しく保障すべき国民の権利であり、自治体の要請がなくても、国が役割をはたすことが大事だ。

 集会には、日本共産党の宮本岳志衆議院議員と吉良よし子参議院議員がかけつけ、国会の情勢報告をかねて連帯のあいさつをおくりました。
 最後に、公務部会の蟹澤昭三代表委員が、「改憲と一体で道州制がすすめられていることが告発され、課題が明らかなった。国の軍事予算が5兆円をこえるなか、地方自治や国民生活に困難をもたらしている。国民一人ひとりを大切にする日本にむけて、参議院選挙で政治をかえていこう」と呼びかけました。

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