「公務員制度改革」闘争ニュースNO.143【2014年6月16日】
労働基本権回復を求めて9度目のILO勧告
= 日本政府に情報提供と権利回復にむけた法改正を要請 =
ILO(国際労働機関)理事会は6月13日、公務員の労働基本権回復にむけた措置を求める勧告を採択しました。公務員の労働基本権を制約したまま、使用
者の権限を強化する「公務員制度改革」がねらわれるもと、全労連などが02年にILOへ提訴したことを発端にして、今回で9度目の勧告となります。
昨年秋の臨時国会に「公務員制度改革」関連法案が提出されるなか、全労連は11月に公務各単産代表による要請団をジュネーブのILO
本部に派遣、自公政権による「公務員制度改革」の問題点を指摘しつつ、労働基本権回復に背をむける日本政府への厳しい対応を求めてきました。
こうしたもと、全労連が提出した「追加情報」もうけて、ILO結社の自由委員会で「公務員制度改革」が議論され、理事会の勧告として採択されたものです。
勧告は、スト権をはじめとする労働基本権を公務員に保障するため、「社会的パートナー」としての労働組合との協議を求めつつ、今後、必
要な法改正がおこなわれることを期待するとしています。また、国公労連の「賃下げ違憲訴訟」では、裁判の結果について政府に報告を求めています。
こうした事項に加えて、労働基本権制約の「代償措置」として人事院が実施していた級別定数の設定・改定の事務が、使用者である内閣人
事局に移管されることにもILOは着目し、勧告では、「人事院の機能およびその見直し」にかかわる「詳細な情報提供」を日本政府に要請しています。
通常国会での審議では、ILO勧告もふまえて労働基本権回復にむけた検討を求める野党の追及に対して、稲田公務員制度改革担当大臣
は、「国民の理解がえられていない」との答弁を繰り返しました。これに対して、ILOが9度目の勧告で是正をせまるなか、政府は勧告を重く受けとめ、権利
回復にむけた検討作業をただちに着手すべきです。
結社の自由委員会報告(勧告部分のみ、ILO理事会採択、全労連国際局訳)
(a) 委員会は日本政府に対し、批准済みの87、98号条約の結社の自由原則を完全に適用させたうえ、公務員の労働基本権を保障するために、社会的パートナーとの協議に必要な措置を、これ以上に遅らせることなく実施することを要請する。特に以下の点を強調する。
(@) 公務員への労働基本権の付与
(A) 消防職員及び監獄職員への団結権、団体交渉権の付与
(B) 国の行政に関与しない公務員に団体交渉権と団体協約締結権を保障し、また、団体交渉に関して法的制限がある職員に関して適切な代償措置が保障されること
(C) 国の名において権限を行使しない公務員が結社の自由原則に則ってスト権を行使でき、この権利を正当に行使した組合員や役員が重い民事・刑事罰を課されることがないよう保障すること
(D) 公務分野における交渉の範囲
委員会は、必要な法改正が遅滞なく国会に提出されることを期待し、日本政府に対しこの点における情報提供を継続するよう要請する。
(b) 委員会は日本政府及び申立者に対し、国公労連が提訴した訴訟の結果に関する情報提供及び、労働者健康福祉機構における一方的賃金切り下げ、国立大学職員団体が大学当局を訴えた裁判の結果について報告を継続するよう要請する。
(c) 委員会は日本政府に対し、現在の状況における人事院の機能およびその見直しについての提案に関する詳細な情報の提供を要請する。
以 上