「公務員制度改革」闘争ニュースNO.135【2013年11月25日】


「公務員制度改革」関連法案が審議入り(22日)

= 級別定数管理の内閣人事局への移管に質問あいつぐ =


 臨時国会に提出されている「公務員制度改革」関連法案は、11月22日の衆議院内閣委員会で趣旨説明され、自民・公明の各党議員が質問に立ちました。

 委員会では、政府提出の「国家公務員法等の一部を改正する法律案」とともに、みんなの党と維新の会の「幹部国家公務員法案」等、民主党提出の「国家公務員の労働関係に関する法律案」なども同時に趣旨説明されました。

 民主党提出の法案は、昨年の臨時国会で廃案となった「公務員制度改革」関連4法案を再提出したもので、人事院勧告制度廃止、協約締結権回復を内容としています。

 これらの法案は、今後、内閣委員会で一括して審議されますが、安倍首相が内閣人事局の今年度中設置を固執するなか、自民・公明両党は、会期末まで実質10日たらずとなった今国会で、わずかばかりの審議で成立をねらっています。

 労働基本権を制約しながら、政権党いいなりの公務員づくりをめざす法案に対して、徹底審議を求めていく必要があります。

「級別定数は労働条件の側面があるが代償機能は発揮される」と強弁

 22日の内閣委員会では、政府および各党提出法案の趣旨説明がおこなわれた後、中谷真一(自民)、橘慶一郎(自民)、吉川赳(自民)、高木美智代(公明)の各議員が質問に立ちました。

 自民党の中谷議員が、稲田朋美公務員制度改革担当大臣に「改革」の決意を質したことに対して、稲田大臣は「自公政権、民主党政権で提出してきた法案がすべて廃案になってきた不幸な歴史がある」として、「今回の法案で、縦割り行政の弊害を排し、官僚のみなさんが自分の仕事に誇りと責任を持って、省庁のためでなく、国家国民のために働く改革が必要だ」などと応じました。

 その他の各議員からも、幹部職員の一元管理や幹部職員研修などにかかわる質問が続き、政権党の政策を実行する公務員づくりをねらう「改革」の方向が、政府側の答弁からも明らかとなりました。

 新たに設置される内閣人事局にかかわって、自民党の橘議員が人事院との役割分担について質問すると、原恒雄人事院総裁は、「級別定数は勤務条件の側面を有し、代償機能が適切に発揮される必要がある」としつも、「法案では人事院の意見を十分に尊重するとされている」として、「労働基本権制約の代償機能の確保という公務員制度の根幹にかかわる機能に支障が生じない範囲で、両者の役割分担が確保されると理解している」と見解をのべました。また、稲田大臣は「それぞれの役割をお互いに認識しながら、相互の連携強化をはかっていくことになる」と答弁しました。

労働組合の意見は聞かなくても良いとする乱暴な主張も

 自民党の吉川議員は、「級別定数に関して、人事院と内閣人事局との折り合いがつかない場合はどうするのか」と質すと、稲田大臣は「09年法案では人事院の意見を聞くとしていたが、今回の法案は十分に意見を聞き、それを十分に尊重することとなっている。具体的な手段については、現在検討をおこなっている」と答弁しました。

 また、労働組合との交渉について吉川議員が質問すると、「人事院が意見を出すにあたって(労働組合をふくめて)さまざまなところの意見も聞くこととなる。内閣人事局でも、必要に応じて職員団体との意見交換をしていくことになる」(川淵公務員制度改革事務局次長)とする見解がのべられました。この答弁に対して吉川議員は、「(労働組合などの意見に)余り影響されず、強い権限を持って級別定数を内閣人事局が定めていっていただきたい」などと政府に求めました。労働組合の意見は聞かなくともいいとする乱暴な主張です。

 公明党の高木議員は、「級別定数については、法律上の規定にとどまらず、具体的な運用においても人事院の代償機能が発揮されるべきだ」と主張しましたが、原人事院総裁は「法律では、人事院の意見を十分に尊重するとされている。運用でも、労働基本権制約の代償機能が確保されるものと考える」との答弁を繰り返し、09年度法案の際に人事院が強く反対したこととは一転して、今回の法案に全面的に賛同する立場を鮮明にしました。

 労働基本権回復とかかわって、公明党の高木議員が、自律的労使関係のあり方については、国民的議論をふまえ、引き続き慎重に対処すべきだと求めると、稲田大臣は「公務員制度改革関連4法案が廃案となった経緯等をふまえれば、多岐にわたる課題があると認識している。引き続き慎重に検討する必要がある」と答弁するにとどまりました。

28日の参考人質疑に国公労連の宮垣委員長が意見陳述

 以上のように、この日の内閣委員会の質疑では、級別定数が労働条件としての性格を持ち、労働基本権制約の「代償機能」が十分に発揮されるべきとの指摘が各議員からありましたが、法案のなかで人事院の意見を「十分に尊重する」と定められていることで、「代償機能」は発揮されると政府側が繰り返し主張しました。また、原人事院総裁も、政府答弁を肯定するだけで、それ以上に議論が深まりませんでした。

 今週からは野党からの質問が予定されるもとで、級別定数管理の内閣人事局への移管は労働基本権制約下では認められず、憲法ともかかわる問題であることを、各党の質疑を通して明らかにしていく必要があります。

 衆議院内閣委員会では、27日に与野党の質疑、28日には参考人質疑が予定され、自民・公明両党は、29日の委員会採決をねらう構えです。

 こうしたもと、28日は、国公労連の宮垣委員長が参考人として国会で意見陳述します。短時間の審議での採決に断固反対し、徹底審議するなかで、法案の廃案をせまっていく必要があります。

以 上