「公務員制度改革」闘争ニュースNO.126【2012年11月12日】


地方公務員の協約締結権回復にむけた法案提出へ

= 「国と地方の協議の場」では地方六団体から厳しい反対意見 =


 地方公務員制度改革をめぐって、政府は、地方公務員・教員の協約締結権を回復するための関連法案を今臨時国会に提出する動きを強めています。

 11月5日には、「地方公務員の自律的労使関係に関する会議」(有識者会議)の議論を経て「報告書」が公表され、また、8日に開かれた「国と地方の協議の場」では、関連法案を今国会に提出する方針が政府側から示されています。

 こうしたもと、全労連公務員制度改革闘争本部は12日、総務省との交渉・協議をおこない、法案化にむけた現在の作業状況をただすとともに、6月に提出した闘争本部としての「意見書」もふまえた検討を強く求めました。

環境整備へ総務大臣みずからが地方団体との調整にあたる

 総務省との交渉・協議には、全労連闘争本部から黒田事務局長、猿橋(自治労連書記長)、今谷(全教書記長)、熊谷(自治労連中執)の各委員が参加、総務省は、自治行政局公務員部公務員課の前(すすめ)理事官ほかが対応しました。

 はじめに黒田事務局長は、「報道では今国会中での法案提出が伝えられている。現在の作業状況とともに、全労連闘争本部が提出した『意見書』をふまえてどのような検討がされているのか示していただきたい」と求めました。

 前理事官は、要旨、以下のように回答しました。

 ● もともとは先の通常国会に提出するために作業をすすめてきたが、この間、とりわけ地方三団体から強い反対意見が出されたことから、有識者会議を設置 し、公務員制度改革への理解を求め、地方団体にも共通認識に立ってもらうため議論してきた。その報告書が取りまとめられ、11月5日に公表したところだ。

 ● 有識者会議では、これまでおたがいに認識を深めることができなかった改革の意義・目的、便益、費用などが議論され、考え方について一定の整理ができたものと思う。この到達点をふまえつつ、地方団体にも理解を求めてきた。

 ● 11月8日に、内閣官房長官を責任者とする「国と地方の協議の場」が持たれ、政府側からは今国会への法案提出を伝えた。その際、地方六団体からは 「意見書」が提出された。その中で、さまざまな懸念や不安が出され、政府が検討している地方公務員の新たな労使関係制度の法案化には反対するとの見解が表 明された。

 ● 議論はまとまらず、最終的には官房長官が議論を引き取り、今後、総務大臣が調整にあたるとの方向が確認され、9日以降、樽床総務大臣が、地方六団体との調整にあたっているところだ。

 ● 全労連闘争本部の主張に対する総務省としての考え方は、この間の協議の際に示した通りだ。基本的には、5月に明らかにした「公務員制度改革について(素案)」にもとづいて、法案化をすすめ、今国会で提出できるように努力している。

 これに対して、猿橋書記長は、「有識者会議の結論は、協約権回復等への地方団体の不安は理解できるもので、そうした不安を取り除くため の努力をつづけていく必要性が報告書で示されている。そうした指摘があるにもかかわらず、会期末まで3週間、場合によっては解散もありうる今国会にあえて 法案を提出することが、地方六団体との溝をさらに深めることにならないか」と指摘しました。

 総務省側は、「なるべくそうならないように努力をしている。法案が提出できる環境整備をするために、総務大臣みずからが調整をすすめている。その結果に期待したい」などとのべました。

 今谷書記長は、「法案化にむけて、文部科学省や地方の教育委員会はどのように対応しているのか」とただすと、総務省側は、「文科省の意見もふまえて総務省として対応してきた。地方の教育委員会は、文科省から対応しているはずだ」とのべました。

法案提出にあたっては闘争本部との交渉・協議を求める

 その後、「素案」の内容にかかわって、労働組合の「事前認証制」の問題点などこ れまでに指摘してきた点について見解をあらためてただしましたが、総務省側は、「すでに回答してきた通りであり、法律上は、協約を結ぶためには認証が必要 だ」とのべたことから、「地方では1人や2人だけの分会もあり、認証の条件を満たすことはほぼ不可能だ」「単位組合での協約締結を排除する制度になってい る」「法律上はそうせざるをえないとしても、実態としてどのように対応するのか」など指摘しましたが、「運用のあり方は法律施行までに整理する。その際 は、労働組合側からも意見を聞いて対応する」とのべるにとどまりました。

 こうしたやりとりの後、黒田事務局長は、「協約締結権回復にむけた法整備は急ぐべきだが、地方団体からは強い反対意見が出ており、全 労連闘争本部としても、本日ものべた通り、『素案』を問題なしとしていない。こうした点から、法案策定にむけては、労働側の当事者としての全労連闘争本部 と話し合いを継続するように求める」とのべ、交渉・協議を終えました。

以 上