「公務員制度改革」闘争ニュースNO.125【2012年10月26日】
報告書の取りまとめにむけて意見交換
= 地方公務員の自律的労使関係制度に関する会議が終局 =
総務省で開かれていた「地方公務員の自律的労使関係制度に関する会議」(有識者会議)は、10月26日午前に第6回の会議を開き、報告書の取りまとめについて議論しました。
会議では、事務局から示された「報告書(案)」にもとづいて意見が交わされ、最終的には渡辺座長に一任して、正式な報告書として仕上げることが確認されました。
9月12日からはじまった有識者会議はこの日の会議で終局し、今後は、報告書もふまえて、政府部内で法案策定にむけた検討がすすめられることとなります。 6つの論点に沿って労使の意見、有識者会議の考え方を示す
有識者会議には、渡辺章氏(座長・労委協会理事長)、下井康史(筑波大学大学院教授)、平勝典(元郵政省東北郵政局長)、西村美香(成蹊大学教授)、長谷川真一(日本ILO協議会理事)の各委員が出席し、はじめに、事務局から「報告書(案)」の内容の提案・説明がありました。
報告書(案)は、@協約締結権を付与する意義、A協約締結権付与の便益・費用、B公務における労働組合の役割、C協約締結権を付与した場合の懸念に対する考え方、D消防職員への団結権・協約締結権付与の目的、E消防職員に団結権・協約締結権を付与する場合の懸念に対する考え方の6つの論点に沿って、この間のヒアリングで出された労使当事者の意見、各有識者委員から示された意見を紹介し、そのうえで、論点ごとに有識者会議としての考え方をとりまとめたものとなっています。
提案を受けた意見交換では、各委員から、文言や表現にかかわってさまざま意見がのべられ、必要な補強・修正をはかっていくことが確認されました。
6回にわたる有識者会議全体を通しての意見交換では、西村委員からは、「大きな改革であり、100%欠点がないものは難しい。悪いところがあれば修正していくことが大切だ。時代の要請にふさわしい制度づくりを期待したい」との意見がのべられ、勧告制度がなくなることへの使用者団体の懸念もまえ、現行の勧告制度の良さを生かすような工夫が必要であること、政府と地方三団体との間での議論が平行線のもとで、おたがいに納得しながらすすめるために妥協点をさぐること、労使交渉を給与などお金の問題だけに矮小化せず、大きな視点のもとで労使の話し合いができるような環境整備をすすめることなどが指摘されました。
また、下井委員からは、国と地方の間の協議には、国・地方・組合の三者協議をふくめて十分に時間をかけること、この改革が憲法28条が勤労者に保障する労働基本権にかかわるものであることを十分に認識すること、第三者機関による勧告システムを何らかの形で残すこと、消防職員を軍人や警察職員から区別して他の一般公務員と同様の労働基本権を保障する点は国際標準であることなどを主張した「意見書」が提出されました。
これらの意見をふまえて、渡辺座長は、「意見は出つくしたものと考える。これで報告書(案)をめぐる意見交換は終了する。本日みなさんからいただいた意見は、できる限り反映させることとしたいが、最終的な取りまとめは座長に一任いただきたい」と承諾を求め、各委員からは異論は出されず、今後の取り扱いが確認されました。
協約締結権回復にむけた法案化の見通しはいまだに見えず
以上をうけて、有識者会議での議論は終局をむかえることとなりました。有識者会議では、全労連闘争本部もヒアリングに出席し、その際にのべた意見の一部分が報告書(案)でも取り上げられています。
今後、会議での検討内容がどのように法案策定に反映されるのかは、今後の議論にかかっており、法案提出の見通しも見えませんが、引き続き、全労連闘争本部として必要な意見を上げるなかで、憲法とILO条約・勧告など国際基準にそった労働基本権の回復を求めていきます。
以 上