「公務員制度改革」闘争ニュースNO.119【2012年6月7日】


公務員制度改革関連法案が衆議院本会議で質疑

= 混迷を深める国会で委員会質疑の見通しはたたず =


 公務員制度改革関連4法案は、6月1日に開かれた衆議院本会議で趣旨説明と各党質問がおこなわれました。

 本会議は、公務員制度改革関連法案の審議入りを求める民主党の強い要望にもとづいて開かれたものです。一方、自民党は、国交・防衛の問責2閣僚が辞任していないことも理由にして、全議員が本会議を欠席しました。

 本会議で質疑されても、法案が委員会に付託されて審議入りする見通しは、現時点ではまったくなく、野党議員からは「会期末まで残り20日という時期に、なぜ今ごろになって議論を開始するのか」との疑問の声もあがりました。

「できるだけ早く成立を」と繰り返す野田首相

 衆議院本会議では、福島伸享(民主)、高木美智代(公明)、塩川鉄也(共産)、中後淳(きづな)、重野安正(社民)、柿澤未途(みんな)の各議員が質問に立ちました。

 民主党の福島議員は、法案は公務員制度改革基本法にもとづくものであり、「法案の大部分には異論がないはずだ。大同を認めたうえで小異について合意点を探る努力をしなければ、国会議員は国民から見放されてしまう」「協約締結権を導入することは、すでに自民・民主・公明の三党で合意したことだ」とのべ、すみやかな審議・成立を主張しました。

 また、給与臨時特例法(賃下げ法)にもふれて、「現行制度のままであれば、特例法の時限が切れる2年後は、国家公務員の給与はどうなるのか。特例法の延長となる可能性はあるのか」「消費税はあがっても、人事院勧告にしたがって公務員給与も跳ね上がってしまう。深掘りの再延長が労働組合に受けいれられなかったらどうするのか」などと質問しました。

 これに対して野田首相は、「法案は十分に審議いただき、できるだけ早く成立させていただきたい」と答弁し、川端総務大臣は、勧告制度にもとづかない賃下げは「過去の判例に照らし、憲法28条に違反するものではないと判断した」「三党共同提案による法案は、政府案の趣旨と内容を踏襲していただいた」と強弁しつつ、2年後の給与については、「労働基本権が引き続き制約されている場合には、人勧制度尊重を基本に、直近の人事院勧告をふまえて、国政全般の観点から検討したうえ、必要な法案を提出する。公務員制度改革関連法が施行されていれば、労使交渉により法案を提出する」とのべ、基本的な姿勢を示すにするにとどまりました。

 公明党の高木議員は、「参議院で問責決議した2人の閣僚が依然として居座り続けている。国会の意思を軽視する不遜な姿勢は国民軽視そのものだ」と政府・与党の対応を批判したうえで、関連法案の中身について、労働組合の認証の条件が過半数の職員とする必然性があるのか、採用試験の出題や合否判定を公務員庁がおこなえば、採用試験が公正に実施される保障がなくならないかなどと懸念を表明しました。また、地方公務員の協約締結権回復には、全国知事会をはじめ地方3団体が明確に反対の立場を表明していることに対して、「政府はどのように受けとめ、どのように対応するつもりか」と質しました。

 野田首相は、「地方知事会などの意見は真摯に受けとめ、関係者と十分に協議し、できるだけ早い時期に成案と取りまとめたい」とし、中川公務員制度改革担当大臣は、「労働組合が民主的に運営されていれば、組合員全員が職員である必要はない」「人材の確保・育成に使用者が責任を負う体制を整備することが今回の改革の目的の一つだ。公務員庁が採用試験や研修の事務を所掌することが適切だ」と答弁しました。

争議権をふくめた労働基本権の全面回復こそ必要だ

 共産党の塩川議員は、「いま求められているのは、憲法で保障された基本的人権としての労働基本権確立であり、ILO条約などの国際基準にそって労働基本権を回復することだ」とのべ、争議権をふくめた労働基本権の全面回復を求め、野田首相の基本的姿勢をただしました。また、法案の内容をめぐって、仲裁裁定による場合の法案提出と政令の制定・改廃が義務付けられておらず、実施義務がなければ仲裁裁定としての意味がないこと、引き続き制約しようとしている消防職員・刑務所職員などの団結権を回復すべきであること、一定の要件を満たした労働組合のみが認証されること、人事公正委員会が内閣総理大臣の所轄とされており、第三者としての独立性が後退することなどの問題点を追及しました。

 これらの追及に対して、野田首相は、「争議権は、新制度のもとでの団体交渉の実施状況や、制度の運用に関する国民の理解の状況をふまえ、今後検討する」とのべ、仲裁裁定の実施義務には、「争議権制約の代償措置としての仲裁裁定制度の趣旨にかんがみ、通常、内閣は仲裁裁定どおりの措置を講ずることになる」との一般論をのべるにとどまりました。また、認証されない労働組合については、「不当労働行為規定は適用されないが、団体交渉をおこなうこと自体は可能だ」とし、人事行政の公正の確保は、「人事公正委員会の委員長や委員は独立して職権をおこなう。政府からの独立性は明確に確保されている」と答弁しました。

 社民党の重野議員は、「本来、労働三権は一体で回復されるべき」として、争議権をはじめ、消防職員の団結権の回復にむけて、ILO勧告をふまえた対応を求めました。野田首相は、「まずは、この法案を十分にご審議いただき、かつ、できるだけ早くに成立させていただきたい」などと、質問に正面から答えませんでした。

 みんなの党の柿澤議員は、人事院総裁に対して、「今回の法案によって自律的労使関係が機能すると考えるか」と質したことに対して、原総裁は、「労使による協約だけでは完結せず、法案として国会で審議されることとなっており、その際、労使で合意した法案が国会で成立しなければ、労使の信頼関係は大きく損なわれることとなる」として、「民間とまったく同じような制度にすることは難しい」と答弁しました。

以 上