「公務員制度改革」闘争ニュースNO.107【2011年3月3日 】


協約締結権回復などの「全体像(案)」を提示

= 3月半ばに推進本部決定、できる限り早期の関連法案策定をめざす =


 公務員制度改革推進本部事務局(以下、推進事務局)は3日、全労連公務員制度改革闘争本部(以下、闘争本部)に対して、「国家公務員制度改革基本法に基づく改革の『全体像』について(案)」(以下、全体像(案))を示しました。

 今後、全体像(案)は、労働組合をはじめ各省当局など関係者との協議をはかりながら、15日頃の推進本部決定をめざしています。 引き続き闘争本部との交渉・協議を尽くすよう求める

 全体像(案)の内容は、公務員制度改革基本法に定められた「改革」の課題を実現する「具体的措置」を示したもので、採用から研修、人事管理、定年年齢延長による雇用と年金の接続など多岐にわたっています。

 これらのうち、今国会には、一昨年と昨年の通常国会に提出された公務員制度改革関連法案(いずれも廃案)をベースにしつつ自律的労使関係制度を新たに加 えた国家公務員法等改正法案などとともに、協約締結権回復ともかかわる「国家公務員の労働関係に関する法律案」(仮称)、「公務員庁設置法案」などが提出 されることとなっています。

 全体像(案)の提示にあたっては、闘争本部からは、小田川本部長を先頭に、黒田事務局長、猿橋(自治労連書記長)、北村(全教書記長)、岡部(国公労連書記長)の各闘争委員が参加しました。推進事務局側は、藤巻事務局次長、村山参事官ほかが対応しました。

 はじめに、藤巻事務局次長は、「今朝、民主党の公務員制度改革プロジェクトチームの会合があり、政府側から全体像(案)を提案し、了承 されたので、みなさんに説明したい。今後の日程としては、3月半ば(15日頃)に推進本部で正式決定し、それを経て、具体的な法案づくりに入る。できれば 3月中の法案提出をめざしているが、まだまだ詰めるところがあり、法案の閣議決定は4月に入る可能性もある。十分な話し合いを通して、みなさんとともに自 律的労使関係制度を確立していきたい。事務局として一丸となって作業しているので、よろしくお願いしたい」とのべたうえ、ポイントをしぼって全体像(案) の内容(別添資料参照)を明らかにしました。

 提案を受けて、小田川本部長は、要旨、以下の通りのべました。

 ○ 公務員制度改革基本法の具体化とかかわって、その内容については意見を持ってはいるが、自律的労使関係制度の構築をふくむ制度の全体像が示されたことは、闘争本部としても受けとめたい。

 ○ 内容にかかわっては、本日、提案をうけたばかりであり、検討したうえで、個別に意見を申し上げることとするが、今日の段階でも、公務員制度改革にかかわる10年余りの長い経過にも照らし、次の点は意見としてのべておきたい。

   一つは、労働基本権という憲法上の権利、基本的人権にかかわる事項について、その制度の具体的内容を12月に素案を示し、2か月余りの間にたった一度のパブリックコメントを実施しただけで最終的な取りまとめをおこなうことは、拙速と言わざるを得ない。

   とりわけ、制度を具体的に使う労働組合、特に全労連闘争本部との協議が軽視されてきたと思える経過には不満を持っている。法案提出にむけた時間の制約があるとしても、その不十分さを補う今後の対応を求めておきたい。

 ○ 二つには、公務員労使関係について、争議権を含めた検討の姿勢を示しつつも、この段階では労働協約締結権の回復にとどまる提案となっていることも不満だ。少なくとも、争議権について時間をかけずに検討を継続する立場は明確にすべきだ。

 ○ 三つには、この間、「たたき台」をふくめて素案の説明を求める場で、闘争本部としての問題意識はのべてきた。たとえば、労働組合の 資格審査、管理運営事項の取り扱い、「民間法制」で言うところ「36協定」類似の制度の必要性、在籍専従期間の上限規制、賃金決定原則と民間賃金調査のあ り方、協約締結事項にかかわる内閣の事前承認問題、人事公正委員会の位置付けと機能などにかかわる問題である。これらの点について、今日の提案でも十分に 納得できるものとはなっておらず、引き続き考えを主張していきたい。

   また、労働条件事項の所管大臣との交渉を想定しながら、公務員庁を労使交渉の使用者と位置付けることや、国家公務員の労働関係に 関する法律案と同時に提出が予定されるいわゆる「整備法案」の内容や、交渉事項の法令・政令などの仕分けが不明であり、自律的労使関係の具体像を明らかに していくうえで、引き続きの議論すべき課題も残っている。

   さらに、国家公務員制度と密接不可分な関係にある地方公務員制度での労働基本権の取り扱いは全く具体化されていない。

   したがって、推進本部決定される以外のものをふくめて、引き続き、合意をめざして誠意ある交渉・協議が尽くされるよう強く求めておきたい。

 ○ 人事管理制度や退職管理にかかわる制度改変については、以前に提出された法案の検討段階でも意見をのべてきた。たとえば、試験制度 の再編が、結局、特権的キャリア制度の合法化にならないか、一元管理や事実上の恣意的降任、政策スタッフの制度創設などは、職業公務員と政治的任用との垣 根を低くし、公務員の政治化をより進めることにならないか、社会保険庁での不当解雇のような事例を規制する解雇規制規定を盛り込むべきでないのか、などの 点は、引き続き課題として残されている。

   この点でも、交渉、協議を尽くすよう求めておく。

基本的人権を保障する立場からの検討こそ求められている

 岡部闘争委員は、「人事院が廃止され、新たに公務員庁や人事公正委員会が設置 されるが、これらの機関では中立性が弱められるのではないか。勧告制度を廃止することは当然としても、人事院が果たしてきた役割は勧告だけではなく、組織 自体を廃止する意味はどこにあるのか。また、在籍専従の期間は、労使交渉で決めるべきだ。その他、国家公務員の労働条件に直接かかわる問題であり、今後、 法律や政令をつくる段階をふくめて、引き続き十分な意見交換を求めたい」とのべました。

 北村闘争委員は、「全体像は示されたが、地方公務員の制度について、具体的な姿が見えないところは不満だ。全体像にももとづいて、関 係当局と交渉・協議をすすめていきたいので、推進本部として協力を求めたい。労働基本権は基本的人権の一つだ。その角度からの制度設計が必要だ。そのこと ともかかわって、管理運営事項は交渉事項とすることを法律上明記すべきだ。ILO・ユネスコ共同専門委員会の調査団が来日したとき、関心を持ったのが管理 運営事項の取り扱いだった。専門委員会報告では、労働条件に影響する管理運営事項について、『最終的には合意に至る交渉の対象でなくてはならない』と指摘 している。これが国際基準であり、今回の制度も、これをふまえてさらに国際基準に近づけてもらいたい」と求めました。

 また、猿橋闘争委員は、「公務員に権利を付与して、賃下げすべきという議論がある。これは、基本的人権を保障するという議論ではな い。公務員の労働基本権の保障は、住民に対しての権利保障となる。その立場が重要だ。自律的労使関係制度の議論の下地となる労使関係制度検討委員会の最終 報告が発表されてから1年間、制度の議論はたなざらしにされてきた。国の制度を基本に地方の制度を検討するのが基本となることから、国の段階で丁寧な議論 を積み重ね、地方公務員にも活かすことが重要だ」とのべました。

 これらの指摘に対して、藤巻事務局次長は、「立場の違いもあり、完全に意見を一致させるのは難しいことだが、自律的労使関係制度の確 立という100年に1度の改革であり、みなさんの力をお借りすることなく達成することはできない。法案の作成、運用の段階などをふくめて話し合いを通し て、実のある制度にしていきたい。ご指摘のあった公正性・中立性は、十分に認識しているところだ。責任ある使用者機関である公務員庁と独立性の高い人事公 正委員会で、人事院の機能はカバーできると考えている」とのべ、「労働組合・使用者のどちらが欠けても新しい制度は機能しない。労働条件をなるべく改善し たいと考えているが、できることとできないことは出てくる。みなさんの力も借りながら、いいものをつくりたいので、前向きな力をたまわりたい」と表明しま した。

 本日のやり取りもうけて、闘争本部として全体像(案)にかかわる交渉・協議を続け、その内容を適宜、闘争ニュースで報告することとします。

以 上


(別添資料)※「別紙」については割愛しました

国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について(案)



 国家公務員制度改革については、国家公務員制度改革基本法(平成20年法律第68号。以下「基本法」という。)において、以下のような改革の基本理念が示されている。

1 議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすこと

2 多様な能力及び経験を持つ人材を登用し、及び育成すること

3 官民の人材交流を推進するとともに、官民の人材の流動性を高めること

4 国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保し、及び育成すること

5 国民全体の奉仕者としての職業倫理を確立するとともに、能力及び実績に基づく適正な評価を行うこと

6 能力及び実績に応じた処遇を徹底するとともに、仕事と生活の調和を図ることができる環境を整備し、及び男女共同参画社会の形成に資すること

7 政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負う体制を確立すること

 これを受け、政府は、基本法の基本方針に基づく改革の具体化に向けて検討を進めてきたところである。

 改革の実施時期について、基本法は、法制上の措置が必要なものについては、基本法施行後3年(平成23年6月)以内を目途に講ずるもの としており、政府としては、自律的労使関係制度の措置を始め、必要な法制上の措置を講ずるための法案を今通常国会に提出すべく準備を進めているところであ る。

 一方、以上のような法制上の措置も含め、基本法に基づく改革は、採用から退職までの公務員の人事制度全般にわたるものであり、これら 広範な課題について、整合性を図りつつ、総合的かつ着実に推進するためには、基本法の改革事項全体について、具体的措置内容や実施時期等に係る政府の方針 をパッケージで定めることが重要である。

 このため、今通常国会への関連法案の提出に先立ち、以下のとおり、基本法等に基づく改革の「全体像」を策定する。

T 改革の方針(総論)

 これまで公務員は、行政の組織・運営を支えることを通じて、日 本の近代化と発展に貢献してきた。一方、近年、社会経済情勢が一段と厳しさを増していることに加え、地域主権改革の推進や政策決定過程における政治主導の 確立が要請されるようになるなど、公務を取り巻く環境は大きく変化してきている。

 このような時代の変化に対応して、国民のニーズに合致した、効率的で質の高い行政サービスを実現し、縦割り行政や天下りの弊害を除去 するとともに、公務員がやりがいを持って存分に能力を発揮できる環境をつくるため、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を推進していくことが必要となって いる。

 そのためには、まず、幹部職員、管理職員から一般の職員に至る全ての職員が、公務を取り巻く環境についての認識を共有し、政府全体として責任を持って職務を遂行することのできる体制を構築することが必要である。

 また、内閣による人事管理機能の強化と退職管理の一層の適正化を図るとともに、採用から退職までの各段階において、多様かつ優秀な人材 の確保・育成を図り、信賞必罰の精神に立って、職員が意欲を持ち、持てる能力を伸ばしていくことのできる新たな人事制度を確立することが必要である。

 このため、

@ 勤務条件の決定を第三者機関に依存する現行制度を見直し、労使で自律的かつ積極的に人事・給与制度の見直しに取り組むことのできる自 律的労使関係制度を構築するとともに、人事・給与制度全体に責任を持ち、使用者として職員との交渉にも当たる新たな機関(公務員庁(仮称。以下同じ。)) を設置する。

A 複雑多様化する行政課題に迅速かつ果断に取り組み、省益を超えた国民本位の行政を実現するため、内閣による人事管理機能の強化を図 り、内閣主導で適材適所の人材を登用することができるよう、幹部職員人事の一元管理に関する制度を創設するとともに、これを担う体制として内閣人事局を設 置する。

B 天下りのあっせんの根絶に対応し、国家公務員の退職管理の一層の適正化を図るため、再就職等規制に係る監視機能の強化等を図る。

C これらのほか、基本法に基づき、縦割り行政の弊害を排除し、多様な人材の登用、府省横断的な人材の育成・活用を行えるようにするた め、採用試験の見直し、幹部候補育成課程の整備、官民人材交流の更なる推進を図るとともに、職員一人一人が誇りを持ち安んじて職務に邁進できるような環境 の整備等を図る。

U 改革の具体的措置(各論)

Tに掲げた方針の下、以下のような具体的措置を講ずる。

1 自律的労使関係制度の措置

 労使が職員の勤務条件について真摯に向き合い、当事者意識を高め、自律的に勤務条件を決定し得る仕組みに変革し、時代の変化や新たな政 策課題に対応し、主体的に人事・給与制度の改革に取り組むことにより、職員の意欲と能力を高め、有為な人材を確保・活用することが必要である。

 また、職員の側も、勤務条件の決定プロセスに参画し、相応の責任を負い、透明性を確保しつつ、自らの働きぶりに対する国民の理解の下に、勤務条件を決定する仕組みとすることが求められる。

 このため、行政の運営を担う公務員の人事・給与制度の全般について権限と責任を持つ体制を構築することと併せて、これらの措置を講ずることにより、新たな政策課題に迅速かつ果断に対応し、効率的で質の高い行政サービスの実現を図ることとする。

 具体的には、

 @ 非現業国家公務員に協約締結権を付与することとし、団体交渉の対象事項、当事者及び手続、団体協約の効力、中央労働委員会による あっせん、調停、仲裁の手続等を定めることとする。このため、「国家公務員の労働関係に関する法律」(仮称。主な内容については、別紙2参照)を新たに制 定する。

 A 人事行政に責任を持つ使用者機関として国家公務員の制度に関する事務その他の人事行政に関する事務等を担う公務員庁を設置する。このため、「公務員庁設置法」(仮称。主な内容については、別紙3参照)を新たに制定する。

 B 協約締結権の付与及び使用者機関の設置に伴い、人事院勧告制度及び人事院を廃止する。一方、人事行政の公正の確保等の事務を担う第 三者機関として、人事公正委員会(仮称。以下同じ。)を設置する。これらを含め、自律的労使関係制度の措置に伴う所要の措置を講ずるため、国家公務員法 (昭和22年法律第120号)等を改正する(主な内容については、別紙1の3参照)。

 なお、国家公務員の争議権については、新たに措置する自律的労使関係制度の下での団体交渉の実情や、制度の運用に関する国民の理解の状況を勘案して検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 また、地方公務員の労働基本権の在り方については、地方公務員制度としての特性等を踏まえた上で、関係者の意見も聴取しつつ、国家公務員の労使関係制度に係る措置との整合性をもって、速やかに検討を進める。

2 採用から幹部までの各段階に応じた人事制度改革

 縦割り行政の弊害を排除し、府省横断的な人材の育成・活用、多様かつ優秀な人材の登用・育成を行えるよう、採用から幹部までの各段階に 応じた所要の制度を整備するとともに、適切な人事管理を徹底するために、必要な事務を内閣総理大臣(内閣人事局、公務員庁)が一元的に行う。

(1)幹部職員

 幹部職員人事について、公正な手続の下で厳正な能力実証による適格性審査を行い、幹部候補者名簿を作成し、任免に当たり内閣総理大臣及 び内閣官房長官と任命権者が協議する制度を導入するとともに、公募は内閣総理大臣が一元的に実施するなど、内閣の人事管理機能を強化し、あわせて、適材適 所の人事を柔軟に行えるようにする。適格性審査の実施に当たっては、必要に応じ、人事公正委員会の意見を求め、民間有識者等の意見を聴くなど、その公正な 実施の確保を図ることとする。

 また、内閣による幹部職員人事の一元管理を担う体制として、内閣官房に内閣人事局を設置する。

(2)管理職員

 管理職については、内閣総理大臣が、任命権者が行う任用に関し、統一的な指針の作成、運用の管理、府省横断的な配置換えに係る調整を行 えるようにする。その上で、管理職への任用に関する基準や、管理職に係る昇任・降任等についてその職務の特性並びに能力及び実績に応じた弾力的なものとす るための必要な措置を検討する。

(3)幹部候補育成課程

 新たに導入される幹部職員及び管理職員(以下「幹部職員等」という。)の人事制度を十分に機能させるためには、幅広い視野から政策を企 画立案し、適切に業務を管理することができる能力を持つ人材を育成することが重要である。このため、管理職員としての職責を担うにふさわしい能力及び経験 を有する職員を政府全体として総合的かつ計画的に育成する仕組みとして幹部候補育成課程を設け、内閣総理大臣が、統一的な基準の作成、運用の管理、府省横 断的な配置換えに係る調整を行えるようにする。

(4)新たな採用試験制度

 現行のT種、U種、V種等の採用試験の種類を見直し、以下のとおり、重視する能力に着目した総合職試験、一般職試験、専門職試験を設け るとともに、多様な能力を持った人材を採用するため、経験者採用試験を新設する。これまでに、受験資格、試験科目等受験者の準備に必要な情報の公表等を 行っており、平成24年度から新たな採用試験を実施することとする。

・総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)

 主として政策の企画立案等の高度の知識又は経験を必要とする業務に従事することを職務とする係員の採用試験(院卒者試験の区分を新設)

・一般職試験(大卒程度試験・高卒者試験・社会人試験(係員級))

 主として事務処理等の定型的な業務に従事することを職務とする係員の採用試験

・専門職試験(大卒程度試験・高卒程度試験)

 特定の行政分野に係る専門的な知識を有するかどうかを重視して行う係員の採用試験

・経験者採用試験

 民間企業等における有為な勤務経験を有する者を係長以上へ採用することを目的として行う中途採用試験

(5)人事に関する情報の管理

 幹部職員等及び幹部候補育成課程対象者に応じた人事管理が適切に行われるようにするため、内閣総理大臣は、必要な人事に関する情報を収集・管理することとする。

3 新たな人事評価制度の導入と的確な実施

 平成19年の国家公務員法改正で設けられた新たな人事評価制度は、公務内に確保された様々な人材を、その能力・実績に基づき、適材適所 で活用し、信賞必罰を徹底していくための基盤となるものである。また、本制度を活用することにより、職員の倫理の確立、自発的な能力開発による人材育成、 組織内の意識の共有化や業務改善等を図っていくことが可能となるものである。

 この新たな人事評価制度については、基本法で定められた事項を踏まえて必要な関連規定が整備され、平成21年度から導入されている。

 能力・実績主義の人事管理が徹底され、また、基本法に基づき講じられる様々な措置が効果を発揮するためには、新たな人事評価制度が的確に実施されることが前提となる。

 「採用昇任等基本方針」(平成21年3月3日閣議決定)においては、採用年次、採用試験の種類にとらわれず、特に、本省課長職以上の官 職への昇任等について厳格に運用することなど能力・実績に基づく運用を徹底することや、内閣総理大臣が定めるところにより国家公務員法及び同基本方針に基 づく任用の状況について公表することなどを決定している。今後とも、引き続き、新たな人事評価制度の的確な実施に取り組んでいくものとする。

4 多様かつ優秀な人材の登用等

 多様かつ優秀な人材の登用のためには、上記2のような公務内における人材育成や、下記6のような官民人材交流の一層の推進に加え、高度の専門的な知識又は経験を有する人材や国際競争力の高い人材の確保及び能力向上のための取組を進める環境の整備が必要である。

(1)多様かつ優秀な人材を確保するための環境整備

 高度の専門的な知識又は経験の求められる職に充てる人材や国際競争力の高い人材を確保するため、官民人材交流の一層の推進、経験者採用 試験の新設、国際関係や国際法に関する専門的知識を問う「政治・国際」区分の総合職試験(大卒程度試験)への新設等の採用試験の見直しを行う。

 国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材を登用するため、職員の公募を一層推進することとし、その適切かつ効 果的な運用を確保する観点から、内閣総理大臣が、公募に付する幹部職員等の職の数の目標の設定や職員の公募に関する指針の作成を行うこととする。

 高度の専門的な知識又は経験の求められる専門スタッフ職の職員については、大学や独立行政法人に限らず一定の範囲で民間シンクタンク等における兼業を認めることとしており、その専門性の維持向上を図ることとする。

 高度の専門的な知識又は経験の求められる職に充てる人材や国際競争力の高い人材など優秀な人材を登用し、かつ、官民の人材の流動性を高めるため、給与その他の処遇の在り方等については、引き続き、検討していくこととする。

(2)業務の簡素化等

 職員が意欲と誇りを持って働けるようにするためには、業務の簡素化、超過勤務の縮減に取り組むことが重要な課題の一つであり、これまで に、職員の超過勤務の状況を管理者の人事評価に反映させるなど様々な取組を行ってきている。今後、自律的労使関係制度を構築し、労使が当事者意識を持ち真 摯に向き合うことによって、効率的で質の高い行政サービスを実現するため、各部局の業務の簡素化に計画的に取り組んでいくこととする。

 また、個々の職員の自発的な能力開発を促すべきことなどを「採用昇任等基本方針」及び人事管理運営方針に明記し、各府省の取組を促しているが、今後とも、多様な能力及び経験を持つ人材を育成するための取組を一層積極的に行っていくこととする。

(3)定年まで勤務できる環境の整備、雇用と年金の接続

@ 定年まで勤務できる環境の整備

 天下りのあっせんの根絶と併せて、高齢期にある職員等が公務で培った専門的知識や経験を信賞必罰の徹底の下に一層活用するとともに、ピラミッド型人事構成を見直し、ライン職中心の人事管理ではない複線型人事管理への転換を図ることが必要である。

 このため、新たに導入された人事評価制度に基づく能力・実績主義の人事管理を徹底するとともに、専門スタッフ職や人事交流機会の拡大を図るなど複線型人事管理を進めていく。

 また、給与面の措置として、本年度、55歳を超える職員について俸給及び俸給の特別調整額の支給額を別途1.5パーセント減額する措置 を実施したところであるが、自律的労使関係制度が構築され、給与制度の見直しを図る中でも、高年齢職員の給与の在り方について検討していく。

A 雇用と年金の接続

 特別支給の退職共済年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げに合わせて平成13年度に導入された現行再任用制度については、「退職管理 基本方針」(平成22年6月22日閣議決定)において、「再任用制度に係る指針」を政府として決定し、その活用の拡大を積極的に推進しているところであ り、今後、再任用職員に係る定員・定数上の弾力的な取扱いなどにより、その活用拡大を図る。

 また、平成25年度から、年金支給開始年齢が段階的に引き上げられ、60歳定年退職後から年金受給までに空白期間が生じることとなる 中で、民間企業については、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)に基づく高年齢者雇用確保措置を講ずることが義務付けられて いることも踏まえると、国家公務員についても60歳超の職員に係る新たな仕組みが必要である。

 今後、再任用制度に関する見直しを図りつつ雇用を確保する方策のほか、給与水準を引き下げつつ、組織活力を維持し、質の高い行政サービスを提供しながら、定年を段階的に引き上げる方策について、60歳以降の雇用と年金の接続に向け、空白期間が生じないよう検討を進める。

5 退職管理の一層の適正化

 職員の離職後の就職の援助については、平成21年9月29日から府省庁による職員の再就職あっせんを内閣の方針として禁止し、職員に対 する再就職の援助は、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き行わないこととしたところである。また、「退職管理基本方針」においても、天下りの あっせんの根絶を図るため、任命権者は、公務の能率的な運営を確保しつつ、国家公務員法に規定された再就職等規制を厳格に遵守するとともに情報公開を進め る等により、公務に対する国民の信頼確保を図ること等とされたところである。

 政府としては、上記方針に基づく再就職の適正化を図るための措置を引き続き講ずるとともに、国家公務員の退職管理の一層の適正化を図る観点から、以下のとおり、再就職等規制に係る監視機能の強化等を実現する。

(1)再就職等規制に係る監視機能の強化

 再就職等規制に係る監視機能の強化及びその中立公正性に対する国民の一層の信頼確保を図るため、今後新設される人事行政の公正の確保等 を担う独立性の高い第三者機関の下に、違反行為を未然に防ぐ等の観点から、任命権者に対する再就職等規制の遵守のための指導・助言を行う権限を付与するな どの再就職等規制に係る監視機能を強化した新たな組織(再就職等監視・適正化委員会)を設置することとする。

 なお、喫緊の課題である上記監視機能の強化は、新組織の設置前に、現行組織において先行的に実施することとする。

(2)官民人材交流センターの廃止

 職員の離職後の就職の援助について原則行わないこととした方針を受け、官民人材交流センターを廃止する。なお、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合については、内閣総理大臣(公務員庁)が、職員に対する再就職の援助を行うこととする。

6 官民人材交流の推進

 多様な人材を公務に登用するとともに、多様な職務経験を付与することにより職員を育成していくためには、官民人材交流を一層推進する必要がある。特に、幹部候補育成課程対象者の育成のため、民間企業等における勤務の機会を付与することが必要である。

 官民人材交流を積極的に推進するため、内閣総理大臣が、官民人材交流の推進に関する指針を策定するとともに、国と民間企業との間の人事 交流に関する法律(平成11年法律第224号)に規定する人事交流について、交流対象法人の拡大、手続の簡素化、透明性の向上のための措置を講ずる。ま た、官民人材交流の推進に当たっては、制度の趣旨を踏まえた適正な運用を図るものとする。

7 基本法に基づくその他の措置

(1)国家戦略スタッフ・政務スタッフ

 国家戦略スタッフについては、内閣官房に「国家戦略局長」、「国家戦略官」、「内閣政務参事」及び「内閣政務調査官」を新設するとともに、内閣総理大臣補佐官を増員することとし、また、政務スタッフについては、各府省に「政務調査官」を新設することとする。

 このため、「政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案」において、これらの措置を講ずることとしている。

(2)政官接触に関する記録の作成、保存等

 職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存等については、「政・官の在り方」(平成21年9月16日閣僚懇談会申合せ)の措置を着実に実施していくこととする。

 また、行政過程に係る記録の作成、保存その他の管理については、関連する法律(公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号。平成23年4月1日施行)を含む。)に基づき、適切に行うこととする。

(3)懲戒処分の適正かつ厳格な実施

 懲戒処分の適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置については、各府省において、これまで公益通報処理ガイドラインの策定、懲戒処分 実施手続の明確化等の体制整備、懲戒処分案件の公表等の透明性の確保等、様々な措置が講じられてきたところであり、今後においても、これまでに講じてきた 措置を着実に実施し、懲戒処分の適正かつ厳格な実施の徹底を図ることとする。

(4)求償権の適正かつ厳格な行使

 国家賠償法(昭和22年法律第125号)に基づく求償権を適正かつ厳格に行使するため、各府省において、国家賠償法の求償に係る規定に ついて関係職員に周知するとともに、求償権の存否を判断する体制、手続等を明確にすることとする。なお、各府省における求償権の存否等の判断に当たって、 必要がある場合には、法務省の「法律意見照会制度」を活用することとする。

V 今後の改革の進め方

1 今後のスケジュール

 基本法は、改革のスケジュールについて、

 ・改革に必要な措置については、基本法施行後5年(平成25年6月)以内

 ・法制上の措置が必要なものについては、基本法施行後3年(平成23年6月)以内

 を目途として講ずるものとしている。

 このため、自律的労使関係制度の措置を始め、基本法に基づく法制上の措置を講ずるため、別紙1〜3に沿って「国家公務員法等の一部を改 正する法律案」(仮称)、「国家公務員の労働関係に関する法律案」(仮称)、「公務員庁設置法案」(仮称)を立案するとともに、これらの法律の施行に伴う 関係法律の規定の整備等を行うため、「国家公務員法等の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」(仮称)を立案して今通常国会 に提出し、平成24年度から順次、新たな制度に移行する。ただし、幹部職員人事の一元管理及び再就職等規制に係る監視機能の強化については、現行組織の 下、先行的に実施する。

 その他の措置についても、基本法で定める期限(基本法施行後5年以内目途)までに、T及びUに沿って講ずるものとする。

2 新たな人事行政関係機関の体制

T及びUに掲げた自律的労使関係制度や新たな人事制度を的確に運用するため、以下のような体制を整備する。

 ・内閣による幹部職員人事の一元管理を担う体制として、内閣官房に内閣人事局を設置する。

 ・自律的労使関係制度の措置に伴い、人事行政に責任を持つ使用者機関として国家公務員の制度に関する事務その他の人事行政に関する事務 等を担う公務員庁を内閣府に設置するとともに、人事行政の公正の確保等の事務を担う第三者機関として、内閣総理大臣の所轄の下に、人事公正委員会を設置す る。

 ・人事公正委員会の下に、再就職等規制に係る監視機能を強化した新たな組織として再就職等監視・適正化委員会を置くとともに、国家公務員倫理審査会を置く。

 ・自律的労使関係制度の措置に伴い、厚生労働大臣の所轄の下に置かれている中央労働委員会に、国家公務員の労使交渉に係るあっせん、調停、仲裁等の新たな機能を追加する。

 以上の新たな体制には、一定の準備期間を設け、平成24年度に移行するものとする。

 なお、公務員庁設置後は、国家公務員制度改革推進本部に関する事務は公務員庁において処理する。(以 上)