「公務員制度改革」闘争ニュースNO.85【2010年2月1日
】
消防職員の団結権保障にむけ検討会が議論開始
= 賛否両論が示され、今後の議論の行方を注目 =
総務省は「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」を設置し、1月22日に第1回の会合が開かれました。この検討会は、昨年の臨時国会で、原口総務大臣が消防職員の団結権保障について言及し、関係当局に検討を指示していたなかで設置されたものです。
検討委員会は、有識者、労使の代表など13名で構成されており、今後、月1回程度の会議を開き、現地視察や関係団体ヒアリングなどもおこないながら、今年の秋には基本的な考え方について意見の取りまとめをすすめるとしています。
消防職員の団結権回復は、ILOからも度重なる勧告で指摘されてきた課題であり、検討会設置は、権利確立にむけた第一歩となるもので、公務員制度改革の重要課題として、検討会の議論の行方に注視していく必要があります。
団結権は基本的人権であることを共有したい(座長)
第1回の検討委員会では、座長として、小川淳也総務大臣政務官(衆議院議員・民主)を選出し、各委員の自己紹介、事務局からの報告、質疑・応答のあと、初めての会合ということもあり、各委員の問題意識が問題意識がフリーにのべられました。
そのなかで、「勤務条件の改善へ消防職員委員会制度が導入されているが、国家公務員制度改革が国会で審議されるもと、消防職員の団結権問題を国会でも同
時に審議すべきだ」とする意見や、「給料や手当をあげるため団結権を求めていない。多くの仲間が事故で死んでいくなか、労働安全衛生に関しての改善をすす
めるには団結権が必要だ。地方では、施設も資器材も貧しい消防がたくさんある。こうしあ格差を埋めていくためにも団結権が必要だ」など、団結権の必要性を
指摘し、権利確立を強く求める意見が出されました。
その一方で、「上司と部下との対抗関係が生じて、チームワークが乱れ、部隊活動に支障をきたす」「ひとたび、災害があると、
隊長の指揮の下に隊員は活動に従事する。このような職場には労使関係はなじまない。団結権は、これまで築いてきた市民からの信頼を崩すと危惧する」などと
否定的な意見も見られました。
小川座長からは、「闊達な議論をしていただいた。世論調査では、信頼している職業の一番の職業は消防だ。団結権を付与するか
しないかでなく、団結権は基本的人権であることを国民とも共有したい。チームワークが乱れるなどの発言もあったが、各委員の立場が違っても、理詰めの議論
をお願いする。次回の検討会では、団結権が保障されたらどうなるのかなど、さらに的をしぼって踏み込んだ議論がしたい」と要望ものべられ、第1回の検討委
員会を閉じました。
以 上
【資料】
「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」の概要
1、趣旨
消防職員の団結権のあり方について、労働基本権の尊重と国民の安心・安全の確保の観点に立ち、関係者の意見を聞きながら検討を行うため、消防職員の団結権のあり方に関する検討会を開催する。
2、構成員
座長 小川 淳也 総務大臣政務官
青山 佳世 フリーアナウンサー
荒木 尚志 東京大学大学院教授
岡本 博 全日本自治団体労働組合書記長
川田 弘二 茨城県稲敷郡阿見町長
菅家 一郎 福島県会津若松市長
吉川 肇子 慶應義塾大学准教授
木村 裕士 日本労働組合総連合会総合企画局長
迫 大助 全国消防職員協議会会長
下井 康史 新潟大学大学院教授
辻 琢也 一橋大学大学院教授
人羅 格 毎日新聞社論説委員
三浦 孝一 京都市消防局長
3、今後の検討スケジュール
2月下旬【第2回】 ・第1回の議論等を踏まえた今後の検討課題
3月〜5月 ・消防本部・消防署の業務実態(現地視察及び意見交換)
・関係者・関係団体ヒアリング(2回程度)
夏 ・これまでのヒアリング・意見交換等を踏まえて論点整理及び意見交換(2回程度)
秋 ・取りまとめに向けて基本的な考え方について意見交換、とりまとめ(2回程度)
以 上