「公務員制度改革」闘争ニュースNO.76【2009年3月2日】
3月10日にも関連法案の国会提出をねらう
= 全労連闘争本部が公務員制度改革推進本部事務局と交渉 =
全労連公務員制度改革闘争本部は2月27日、今通常国会への提出がねらわれている「公務員制度改革」関連法案をめぐって、国家公務員制度改革推進本部事務局と交渉しました。
交渉の席上、推進本部事務局からは法案骨子が示され、これをもとに各省との協議を開始し、早ければ3月10日にも国家公務員法「改正」法案などを国会に提出する予定にしていることを明らかにしました。
これに対して、闘争本部は、憲法違反の「工程表」にもとづく法案提出に反対しつつ、ただちに労働基本権を回復するよう求めました。
憲法違反の「工程表」に沿った関連法案は認められない
推進本部事務局との交渉には、全労連闘争本部から黒田事務局長を先頭に、柴田(自治労連書記次長)、蟹澤(全教中執)、瀬谷(国公労連中執)の各闘争委員が出席、推進本部は、高田、米女、駒アの各参事官ほかが対応しました。
はじめに、推進本部事務局から、「国家公務員法等の一部を改正する法律案骨子(イメージ)」(別添)が示され、これに沿って国会提出をめざしている法案の中身が説明されました。
今後の予定について推進本部事務局側は、「各省との正式協議を開始している。並行して労働組合との協議をすすめていきたい。法案は、3月10日にも国会提出する予定で検討作業をすすめている」とし、来週中にも関連法案を提出する見通しにあることを明らかにしました。
ところが、配布された「法律案骨子」なるものは、全労連闘争本部がこの間、政府決定に強く反対するもとで、2月3日に推進本部決定された「工程表」にも
とづくもので、級別定数の設定などの人事院の機能を内閣総理大臣に移管することをあらためて法案化したものにほかなりません。
そのことから、この日の交渉では、黒田事務局長は、「級別定数は、明確に勤務条件だ。労働基本権制約のもとで、その『代償措
置』の一部として人事院に権限がある級別定数の管理を、使用者たる内閣総理大臣に移管するのは、憲法違反であり認められない。まず、労働基本権回復の議論
を先行させるべき」とのべ、法案の提出に強く反対しました。
しかし、推進本部事務局側は、「級別定数の勤務条件性は一部にはあるが、管理運営事項であり、すべてが労働条件ではない。また、人事院から意見を聞いて政令でさだめることとなっている」とする従来の主張を繰り返しました。
闘争本部側は、「人事院の意見を聞くと言うが、人事院が受け持ってきた機能や体制がそのまま内閣人事・行政管理局に移管されれ
てしまえば、内閣総理大臣は、どこの誰に意見を聞くのか?」とせまると、推進本部事務局側は回答不能におちいり、「次回の交渉までに考え方を整理する」と
回答せざるを得ませんでした。
「3・5中央行動」で推進本部事務局前の要求行動を配置
このように、示された「法律案骨子」は、推進事務局内の見解も統一できていないものであり、法案の国会提出などはとうてい認められません。全労連闘争本部では、引き続き、推進本部事務局との交渉・協議をすすめ、法案の国会提出に反対していきます。
また、3月5日の中央行動では、推進本部事務局(内閣府)前の要求行動を配置し、全国の仲間とともに、政府に法案提出の断念を迫ることとします。
以 上
【別添資料】
国家公務員法等の一部を改正する法律案骨子(イメージ)(検討中)
1.幹部職員等の一元管理等関係
(1) 適格性審査及び幹部候補者名簿の導入
・内閣総理大臣は、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力を有するか否かを判定するための審査(「適格性審査」)を行うものとする。
※ 幹部職員:長官、事務次官若しくは局長若しくは部長の官職、又はこれらに準ずる官職であって政令で定めるもの(「幹部職」)を占める職員。
・内閣総理大臣は、適格性審査に合格した者について、政令で定めるところにより、氏名その他政令で定める事項を記載した名簿(「幹部候補者名簿」)を作成する。
(2) 幹部職への任用
・幹部職への任命については、任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者であって、選考又は人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
・この際には、政令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。
・内閣総理大臣又は内閣官房長官は、幹部職員について適切な人事管理を確保するため必要と認めるときは、任命権者に対し、幹部職員の任免について協議を求めることができるものとする。
(3) 幹部職員の公募
幹部職員の公募は、@内閣総理大臣が任命権者から公募を行う旨の通知を受けた場合、又はA内閣総理大臣が任命権者と協議を整えた場合に、内閣総理大臣が政令で定めるところにより行うものとする。
(4) 幹部候補育成課程
・各大臣その他の機関の長は、幹部候補育成課程を設け、内閣総理大臣が定める基準に従い運用するものとする。
・内閣総理大臣は、各大臣等に対し、基準に照らして必要な措置を求めることができるものとする。
(5) 幹部職員の任用の弾力化
幹部職員について、勤務実績等を勘案して、幹部職員の任用を適切に行うため必要がある場合に、その意に反して幹部職員の範囲内で降任することができることとする。
(6) 採用昇任等基本方針への追加
採用昇任等基本方針に定めるべき事項に、@管理職への任用に関する基準その他の指針、A任命権者を異にする官職への任用に関する指針、B公募を行う幹部職及び管理職の数の目標設定等職員の公募の指針等を追加することとする。
(注 採用昇任等基本方針:内閣総理大臣が採用、昇降任等の適切かつ効果的な運用を確保するため、閣議決定を求める方針。)
(7) 特殊性を有する幹部職等の特例
会計検査院、人事院、検察庁、警察庁、いわゆる三条機関、実施庁の職員等について、職務の特殊性を踏まえた適用除外規定・特例規定等を整備する。
2.内閣人事・行政管理局(仮称)関係
(1) 内閣人事・行政管理局(仮称)の設置
内閣官房に内閣人事・行政管理局(仮称)を置く。
(2) 内閣人事・行政管理局(仮称)の事務
@内閣官房の企画立案・総合調整事務のうち人事行政及び行政管理に係るもの
及び
A・国家公務員制度の企画及び立案に関する事務、
・中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務
(注 採用試験、任用、級別定数、能率、厚生、服務、退職管理等。B参照)
・特別職の国家公務員の給与制度に関する事務
・国家公務員の総人件費の基本方針及び人件費予算の配分の方針の企画及び立案並びに調整に関する事務
・行政制度一般に関する基本的事項の企画及び立案に関する事務
・行政機関の機構、定員及び運営に関する企画及び立案並びに調整に関する事務
・行政機関が共用する情報システムの整備及び管理に関する事務
・独立行政法人の新設、目的の変更その他当該独立行政法人に係る個別法等の定める制度の改正並びに廃止に関する審査を行う事務
等をつかさどることとする。
B中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌事務につき、級別定数の設定及び改定(指定職については号俸格付)、任用、採用試験(採用試験の実施を除く。)、研修(人事院が担う研修の実施を除く。)に関する機能を人事院から移管する。
※ 人事院から移管する機能については、内閣総理大臣は、人事院の意見を聴いて政令で定めることとするほか、人事院による報告要
求や是正指示等、必要な措置を講ずることとする。また、内閣総理大臣は、人事院規則の制定改廃に関し、人事院に対し意見を申し出ることができることとす
る。(注:現行法上、人事院は、法令の制定改廃に関し、国会及び内閣に意見を申し出ることとされている。)
C内閣総理大臣の事務に、官民人材交流センターの運営に関する指針を定めること等を追加する。
(3) 内閣人事・行政管理局長(仮称)
内閣人事・行政管理局(仮称)に、内閣人事・行政管理局長(仮称)を置き、これを特別職とする。内閣人事・行政管理局長(仮称)の俸給月額を定める。
3.国家戦略スタッフ等関係
(1) 国家戦略スタッフ(仮称)
@内閣官房に国家戦略スタッフを置く。
A国家戦略スタッフは、総理の命を受け、国家として戦略的に推進すべき基本的な施策その他の内閣の重要政策の企画及び立案について、総理を補佐する。
B国家戦略スタッフの定数は政令で定める。
C国家戦略スタッフの俸給月額を定める。
D国会議員は、国家戦略スタッフを兼ねることができることとする。
E内閣総理大臣補佐官は廃止する。
(2) 政務スタッフ(仮称)
@各府省に政務スタッフを置く。
A政務スタッフは、大臣の命を受け、特定の政策の企画及び立案並びに政務に関し、大臣を補佐する。
B政務スタッフの定数は政令で定める。
C政務スタッフの俸給月額を定める。
D国会議員は、政務スタッフを兼ねることができることとする。
(以上)