「公務員制度改革」闘争ニュースNO.65【2008年10月10日】

協約締結権の検討の場から全労連を排除

= 政府が「労使関係制度検討委員会」の委員構成を公表 =


 公務員制度改革基本法をうけて、改革推進本部に設置されることになっていた「労使関係制度検討委員会」について、政府は本日、12名の委員の構成を公表しました。  労使関係制度検討委員会は、基本法第12条で「措置する」ことが決められた協約締結権の具体的な制度を検討する場として設けられるもので、推進本部令では、使用者側、労働者側、学識経験者から14名以内で選出するとしています。

 ところが、本日、公表された委員構成は、労使の代表を各3名にしたうえ、労働者側代表を連合と連合加盟組合が独占し、国公労連・自治労連が推薦していた福田委員長・若井副委員長(役職は推薦時点)を排除しました。

 明らかに不当な「偏向任命」に対して、全労連・公務員制度改革闘争本部は、別記の抗議談話を発表しました。推進本部に対しては、引き続き、委員の選任をふくめて全労連の意見反映を求めていきます。

公務員制度改革推進本部・労使関係制度検討委員の選任にあたって(談話)

2008年10月10日
全労連・公務員制度改革闘争本部 本部長 小田川 義和

1、政府は本日、国家公務員制度改革推進本部に設置される「労使関係制度検討委員会」について、委員会の構成を発表した。  労使関係制度検討委員会は、先の通常国会で成立した「公務員制度改革基本法」にもとづき、協約締結権付与にむけた具体的制度の検討の場として設置されるものである。  推進本部令では、使用者、労働組合双方の代表、および、「学識経験者」からなる委員構成をさだめ、全労連加盟組織からは、7月に福田昭生国公労連委員長、若井雅明自治労連副委員長(役職は推薦時点)の2人の推薦届けを推進本部に提出していた。

2、こうしたなかで、本日、公表された委員会の構成は、「学識経験者」6名、使用者代表3名、労働組合代表3名とするもので、労働組合代表として、福田・ 若井両氏の推薦を退け、連合および連合加盟組合から3名を選出するものとなった。  労使関係制度検討委員会は、労働基本権という重要な問題を議論する以上、公正で公平な委員の任命が求められることは当然である。にもかかわらず、全労連 加盟組合の推薦を排除した「偏向任命」がおこなわれることに対して、全労連・公務員制度改革闘争本部は、その不当性を指摘し、厳しく抗議するものである。

3、基本法は、第12条で協約締結権の付与にかかわって、「国民に開かれた自律的労使関係を措置する」としている。「便益及び費用」を検討の前提にしたと いう問題点は残しつつも、公務員労働者の権利回復にむけた大きな第一歩となるもので、それだけに労使関係制度検討委員会で議論が深められるべきことは言う までもない。  また、ILOは3度にわたる勧告で、労働基本権回復にむけて「すべての関係者」との「全面的で意味のある協議」を求めている。その点からも、全労連排除 という政府の姿勢こそあらためられるべきであり、推進本部令で「14名以内」とされている委員総数ともかかわって、引き続き検討の場への参加を強く求める ものである。

4、解散・総選挙が間近にせまるなか、「構造改革」路線を脱却し、政治の民主的転換が強く求められている。公務員労働者の労働 基本権は、賃金・労働条件の改善にとどまらず、国民犠牲の「構造改革」と対決し、民主的行財政、教育を勝ち取る権利でもあり、「民主主義のバロメーター」 としての意義を持っている。  当面、労使関係制度検討委員会の設置を受けて、今後、協約締結権に関わる議論が開始されることとなる。こうしたもと、全労連は、60年にわたって制約さ れてきた公務員労働者の労働基本権の全面回復、民主的公務員制度の確立にむけて、全力をあげる決意である。

以 上
(資料)労使関係制度検討委員会委員名簿

 学識経験者(6名)

青山 佳世  フリーアナウンサー
稲継 裕昭  早大大学院教授
今野 浩一郎 学習院大教授
岸井 成格  毎日新聞特別編集委員
諏訪 康雄  法政大大学院教授
高橋  滋   一橋大大学院教授

労働側委員(3名)

金田 文夫  自治労中央本部書記長
福田 精一  国公連合中央執行委員長
山本 幸司  連合副事務局長

使用者側委員(3名)

岡島 正明  農水省官房長
村木 裕隆  総務省人事・恩給局長
森  博幸  鹿児島市長