「公務員制度改革」闘争ニュースNO.59【2008年5月29日】
「公務員制度改革基本法案」が衆議院を通過
= 共産党を除く各党の賛成で修正、議決 =
昨日の内閣委員会での採決強行を受け、本日(29日)午後1時から開催され
た衆議院本会議において、「公務員制度改革基本法案」が自公民三党の修正案にもとづき修正議決され、衆議院を通過しました。政府与党だけでなく、法案の持
つ問題点がなんら解決されないまま一転賛成に回った民主・社民両党の対応が問われる結果となりました。 今こそ政・財・官の癒着構造にメスを入れる「改革」が求められている
衆議院本会議での採決を前に、各党を代表して塩川鉄也(共産)、江崎洋一郎(自民)、泉健太(民主)、桝屋敬悟(公明)、菅野哲雄(社民)の各議員が討論に立ちました。
塩川議員(共産)は、歴代自民党政府が公務員の労働基本権を制約したまま、政・財・官癒着の政治を行なってきたことを批判し「こうした構造にメスを入れ
る『改革』が求められており、本法案は、癒着構造をさらに強化するもの」として反対の立場を表明しました。
さらに塩川議員は、「官民の人材交流は、営利企業が行政に入り込み、財界との癒着を拡大するもの。天下りについては何ら言及すらされていない。内閣によ
る人事の一元的な管理は、政権党の意向にそった官僚を育成するだけ」など、法案の持つ問題点を指摘しつつ、「財界の求める構造改革の一環として持ち出され
ている」という法案の本質を明らかにしました。
最後に労働基本権問題についても、「ILOから3度も勧告を受け、専門調査会でさえ協約締結県を付与すべきであるとした労働基本権回復を明記せず、重大だ」とのべました。
これに対して、賛成した各党の議員は、「少子高齢化など社会経済情勢の変化に対応が必要。官僚主導から政治主導へ改革をすすめるもの」などの賛成理由をのべました。
泉議員(民主)は労働基本権に関して、「国民に開かれた自律的労使関係を措置する」と修正したことをあたかも協約締結権が明記されたかのように強弁。天下り問題についても「政権交代で解決」などと発言しました。
菅野(社民)議員も、「能力実績主義など労働条件が大幅に変更されようとしている」との問題点を指摘する一方で、「先送りは許されない課題である」として賛成の立場を明らかにしました。
討論の後、法案は共産党を除く各党の賛成で修正議決されました。「公務員制度改革基本法案」の本質的な問題点が委員会審議で明らかになってきた中で、何らそれに対して解決の方向が出されないままでの衆議院通過を容認した各党の姿勢が問われる結果となりました。
法案は、あす(30日)から参議院に移り、審議が行なわれる見込みです。
「修正」に値しない「修正案」のまま委員会採決を強行
28日午後3時から開かれた衆議院内閣委員会では、自民・公明・民主の共同提案による「公務員制度基本法案」の修正案が提出され、民主党の大畠章宏衆議院議員が趣旨を説明しました。
修正案の審議では、田端正広(公明)、高市早苗(自民)、西村智奈美(民主) 、塩川鉄也(共産)、菅野哲雄(社民)の各議員が質疑に立ちました。
各党の質問に対して、法案に反対して政府を追及していた馬淵澄夫議員をはじめ民主党の議員が、渡辺行革担当大臣とともに、これまでの政府答弁と何ら変わらない答弁を繰り返しました。
高市議員(自民)は、議院内閣制の日本では、公務員は公僕であり、時の内閣・大臣に従うことは当然のことだとして質問を行ないました。
高市議員は、労働基本権と行革についてとして「法案の規程は労働協約権だけを言っているのか。協約事項に給与は含まれるのか。人
件費総額との関係で給与を上げれば必要な人手が確保できないのでは」とのべ、また、「国家戦略スタッフに現職自衛官はなれるのか」など、あからさまに「公
務員制度改革」に対する考え方を明らかにしました。
塩川議員(共産)は、労働基本権にかかわって修正された条文について「これはどういう意味なのか、協約締結権を付与するとい
うことか」とただしました。これに対して答弁に立った民主党の松本議員は、専門調査会報告にふれつつ「法案成立後に措置されることを期待する。条文から趣
旨を読み取ってほしい」などの答弁に終始しました。さらに塩川議員は、「憲法にある労働基本権の付与に国民の理解などの前提条件をつけるべきではない。労
働基本権がないままで労働条件にかかわることをとりあげるのは不当」と指摘するなど、修正案にも大きな問題があることを明らかにしました。
委員会は各議員の質問と泉議員(民主)、塩川議員(共産)による討論の後、直ちに採決に入り、自公民三党修正案と修正部分を除く原案を賛成多数で可決し、終了しました。
以 上