「公務員制度改革」闘争ニュースNO.47【2006年5月30日】

労働基本権にかかわる「検討の場」設置へ

= 連合との「政労協議」で合意、「雇用調整本部」の設置も =


 「公務員制度改革」とりわけ労働基本権にかかわる政府・連合の「政労協議」が29日夜に開かれ、公務員削減にともなう配置転換換をすすめるため、内閣に「雇用調整本部」を設けることや、労働基本権問題の「検討の場」を設置することが合意されました。

 全労連は、この問題で、政府・行革推進事務局に繰り返し全労連との協議の場を求め、26日にも推進事務局に申し入れてきたところですが、全労連との協議 もおこなわれないまま、政府は、「検討の場」の設置を連合と合意し、そこを中心に労働基本権問題の検討をすすめようとしています。

 全労連は、坂内闘争本部長名の「抗議談話」を発表し、全労連との協議がただちに実現するよう求めました。

学識経験者10〜15名で構成、6月中にも第1回の会合を開催

 「政労協議」によって合意された内容は、@内閣官房長官を本部長とした「国家公務員雇用調整本部」を内閣に設置する、A公務員の労働基本権について協議する「検討の場」を政府部内に設置することなどです。

 「国家公務員雇用調整本部」の任務は、「総人件費改革の一環としての国の行政機関の定員の純減に伴う配置転換、採用抑制の取り 組みを政府全体として着実に実施するとともに、取り組みが円滑に進むよう各府省に対して必要な助言、調整、支援等を行う」としており、副本部長に行革担当 大臣と総務大臣、本部員は、内閣官房副長官、内閣府副大臣、防衛庁副長官、各省副大臣で構成され、「地方推進協議会」を各地方ブロックに置くとしていま す。

 一方、今年1月からおこなわれてきた「政労協議」の結果、合意された労働基本権問題での「検討の場」は、政令にもとづいて行革推進本部のもとに設置され、「労働基本権を付与する公務員の範囲」などについて検討をすすめるとされています。

 委員の構成は、学識経験を有する10〜15人程度としており、所要の手続きによって速やかに設置し、6月中にも第1回会合の開催を予定しています。

 全労連との協議もないままに、政府が、「検討の場」の設置を連合と合意したことは、「すべての関係者との全面的」な話し合いを 求めた3度のILO勧告にも反するもので、きわめて重大です。こうした労働基本権にかかわる「検討の場」が設けられ、今後、検討がすすめられていくことを ふまえ、協議される内容を注視するとともに、政府に対しては、全労連との協議の場が実現するようねばり強く求めていく必要があります。



「公務員制度改革に関わる政労協議」について(談話)

2006年5月30日
全労連「公務員制度改革」闘争本部
本部長 坂内三夫

1、昨日(29日)、公務員制度改革等に関する日本政府と連合との3回目の協議(いわゆる「政労協議」)がひらかれ、公務員の定数削減などをふくむ総人件費改革の推進にむけて内閣に内閣官房長官を本部長とする「国家公務員雇用調整本部」を設置することが確認された。

 しかし、この本部の設置の内容と手続きには重大な問題を含んでいることを看過できない。この間の国会論戦でも指摘されたよう に、国家公務員の定数を削減することは、国民生活に不可欠な公務サービスを切捨て国民の安全・安心を脅かすことにつながる重大問題である。また「5年間で 5%純減する」ために配置転換や採用抑制などを行なうことは重大な労働条件の変更問題であり、何よりも当該労働組合との十分な協議と合意がその前提になけ ればならない。しかるに「雇用調整本部」を当該労働組合との協議もなく、政府が一方的に組織を設置しており、全労連はこの「雇用調整本部」の設置に強く抗 議するものである。

2、「政労協議」では、過日成立した行政改革推進法をふまえて政令にもとづき「労働基本権を付与する公務員の範囲について検討 する場」を設置することについても合意されたが、これも多くの問題を含んでいる。第一に、ILO「結社の自由委員会」は、「結社の自由原則に合致させるよ うにすることを目的として、全ての関係者との全面的で率直かつ意味のある協議が速やかに行なわれるべきことを強く勧告する」と三回にわたって日本政府に求 めている。にもかかわらず、関係当事者である全労連との「政労協議」が行なわれないまま、「検討する場」の設置が決められたことである。第二に「検討する 場」に参加する委員の選出についても、何ら全労連の要望・意見を聴取することもなく決定されている。

3、全労連は、これまで再三にわたって政府に対して、公務員の労働基本権問題での交渉・協議を求めてきたが、これまで行政改革 推進事務局長以下の対応に止まり、かつ回数も限られている。また、04年にはILO勧告をふまえた「当面の労働基本権保障の具体的要求」を政府に提出し、 この5月には「公務・公共サービスと公務員制度」についての「見解」をまとめて提案しているが、これらの内容が「検討の場」に反映するための措置も何ら保 障されていない。

 全労連や当該労組をふくむ関係者との十分な協議が行なわれないまま、事態が推移し続けることは断じて容認できない。全労連 は、ILO勧告の内容にもとづき公務員労働者に労働基本権を保障すること、そのため全労連と担当大臣らとの「政労協議」をただちに行なうことを政府に強く 求める。

 全労連は、その実現のためILOへの働きかけをはじめとして、すべての労働者・労働組合が一致して国内外の世論と運動を強化するものである。

以 上