「公務員制度改革」闘争ニュースNO.45【2006年1月27日】

関係大臣との「交渉・協議の場」を設置せよ

= 労働基本権の回復を求め行革推進事務局に申し入れ =


 全労連「公務員制度改革」闘争本部は27日、公務員労働者の労働基本権にかかわって、行革推進事務局に申し入れました。

 今通常国会では、「行政改革推進法案」(仮称)の提出がねらわれ、その中では、公務員総人件費削減とともに、「公務員制度改革」が重要課題として盛り込まれる見通しとなっています。

 こうしたもと、闘争本部として、労働基本権回復にむけた関係大臣との交渉・協議の場をつくるようにあらためて強く求めました。

「労働組合と意思疎通しながら作業すすめる」(松田事務局長)

 行革推進事務局への申し入れには、闘争本部から、坂内本部長、駒場副本部長、岩田事務局長、東森・黒田闘争委員、また、自治労連から山口書記次長、国公労連から飯塚中執が参加しました。

 はじめに、坂内本部長は、行革推進事務局の松田事務局長に別添の「申入書」を提出し、「昨年12月に『行政改革の重要方針』が 閣議決定され、労働基本権など公務員制度課題も盛り込まれた。また、1月から連合との間で『政労協議』がはじまっている。公務員の労働基本権回復は、労働 運動全体としての重要な課題であり、あらためて実現を求める。今後、節目節目で話し合いをするなど政府としての対応を求める」と申し入れました。

 松田事務局長は、「公務員を取り巻く状況は非常に厳しくなってきている。そのなかで、政府として、改革が求められている。検討をすすめる段階では、労働組合のみなさんとも意思疎通しながら、検討作業をすすめていく必要があるので、よろしくお願いしたい」とのべました。

 その後、駒場副本部長を先頭にして、公務員制度党改革推進室の上田室長に対して申し入れをおこない、駒場副本部長は、「労働基 本権の回復は、『行政改革の重要方針』が閣議決定された関わりからも早期に求められるものだ。また、地方公務員では、現実に分限免職される例も出ているこ ととの関わりからも、基本権回復が重要となっている。3月にはILO結社の自由委員会で日本案件が審議されることも伝えられているなかで、関係大臣との交 渉・協議の場の早期実現を求める」とのべ、行革推進事務局としての見解を求めました。

 上田室長は、「公務員人件費をはじめ税金の使い方に対する国民の厳しい声がある。そのことから、『行政改革の重要方針』が閣 議決定された。そうした客観情勢をふまえて、労働組合のみなさんにもできる限りの協力をお願いしたい」とのべたうえ、労働基本権については、「2001年 の『公務員制度大綱』では『制約維持』だったが、それから4年が経ち、昨年の『重要方針』では、『幅広い観点から検討』との方向に変わった。ただ、その方 向性が決まっているわけではなく、まさに、幅広く検討すべきだ。公務の仕事は多様であり、たくさんのバリエーションを研究して議論する必要がある」とのべ ました。

ILO勧告をふまえて全労連とのきちんとした対応を求める

 「関係大臣との交渉・協議の場」について、上田室長は、「さまざまな場があるのではないか。行革推進事務局としては、公務員制度改革の作業が任されており、今日のような場を通して、コミュニケーションをとらせてもらいたい」とのべるにとどまりました。

 岩田事務局長は、「ILO勧告は、関係者との実質的で意味のある話し合いを求めている。その点から、全労連闘争本部は、関係大臣との交渉・協議を求めてきたが、いまだに実現していない。状況が変わったというのなら、全労連ときちんと対応すべきだ」と繰り返し求めました。

 上田室長は、「大臣ではないが、私が、みなさんと率直に意見交換できると思う」などとのべ、あくまでも関係大臣との交渉・協議については、明確な回答を避けました。

 最後に、駒場副本部長は、「公務員総人件費削減は、労働条件に密接に関連することから、きちんと労使が協議して決めていく必要 がある。そのためにも、労働基本権の保障が重要だ。一方で、地方自治体では、勧告制度が踏みにじられ給与カットが繰り返されている。全労連は、2004年 7月に労働基本権回復にむけた要求書を提出しているが、それにもとづく意見交換を強く求める。また、現実に、連合との『政労協議』が開始されるもと、全労 連と関係大臣との交渉・協議は、早期に実現すべき課題だ」と指摘し、申し入れを終えました。

以 上


2006年1月27日
行政改革担当大臣  中馬 弘毅 殿
全労連「公務員制度改革」闘争本部
本部長  坂内 三夫

労働基本権回復をはじめ民主的公務員制度の確立を求める申し入れ

 全労連「公務員制度改革」闘争本部(以下、闘争本部)は、2001年以降、政府による「公務員制度改革」にむけた検討作業がすすむもとで、民主的公務員制度の実現、とりわけ、公務員労働者の労働基本権の回復を一貫して求めてきたところです。

 しかし、この間、2004年12月には「新行革大綱」が閣議決定され、それにともなって、労働基本権回復の要求は棚上げにされたまま、行革推進事務局の検討作業も打ち切られることとなりました。

 こうしたもと、昨年末に閣議決定された「行政改革の重要方針」において、定員・給与の両面からの「公務員総人件費改革」ととも に、「公務員制度改革」が重要課題にあげられ、「公務員の労働基本権や人事院制度」について「幅広い観点から検討」するとし、「関係者との率直な対話」を すすめることが打ち出されました。そして、この方針にもとづく「行政改革推進法案」が、今通常国会に提出されようとしています。

 このように、「小さな政府」にむけた公務員総人件費削減が小泉内閣によってめざされるもと、定員や給与など労働条件に直接関 連する事項について、関係する労働組合との交渉・協議もなく、さらには、労働基本権にかかわる問題は何ら検討されず、「対GDP比で半減」などといった乱 暴な議論が繰り返されたことはきわめて重大です。

 こうした状況をふまえれば、労使対等の交渉による労働条件決定を可能とするため、労働基本権の回復は、ますます重要となって いると考えます。すでに、闘争本部は、2004年7月に「公務員労働者の当面の労働基本権保障の具体的要求」を提出し、政府との交渉・協議を求めてきたと ころですが、「行政改革推進法案」が国会提出される事態のもとで、あらためて、民主的公務員制度の実現にむけて下記事項について申し入れるものです。


1、「公務員制度改革」作業にあたっては、ILO勧告にしたがって公務員の労働基本権を全面的に保障すること。

2、全労連「公務員制度改革」闘争本部と関係大臣との交渉・協議の場をつくること。

以 上
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