「公務員制度改革」闘争ニュースNO.44【2005年7月8日】

労働基本権回復にむけた交渉・協議を求める

= 全労連「公務員制度改革」闘争本部が行革推進事務局に申し入れ =


 全労連「公務員制度改革」闘争本部は5日、労働基本権回復にむけた政府との交渉・協議の実現を求めて、行革推進事務局に申し入れました。

 申し入れは、昨年12月に引き続くもので、昨年末の「新行革大綱」を経て、「公務員制度改革」が事実上、方向修正される情勢をふまえて、担当大臣との交渉の実現をはじめ、政府としての誠意ある対応を重ねて求めました。

「勤務条件と労働基本権はセットで検討されるべき」と強調

 行革推進事務局への申し入れには、全労連「公務員制度改革」闘争本部から、岩田事務局長、若井事務局次長ほかが出席し、推進事務局側は、公務員制度等改革推進室の磯部室長、笹島参事官ほかが対応しました。

 はじめに、岩田事務局長は、別添の「申し入れ書」を手渡したうえで、「去年12月に同趣旨の申し入れをして、すでに7か月が経った。その間、全労連は、 1月にILO結社の自由委員会に追加情報を出し、日本政府も、『公務員制度改革は、決して棚上げするものではなく、誠実に協議する』との趣旨の追加情報を 出している。さらに、今年の6月のILO総会でも『国内の動向を見守ってもらいたい』『労働組合との話合いをすすめる』と政府代表が演説した。しかし、全 労連闘争本部が求めてきた政労協議の場は、いまでも実現していない。こうしたなかで、闘争本部として、あらためて2点について申し入れたい。誠意ある対応 を求める」と要請の趣旨をのべました。

 磯部公務員制度等改革推進室長は、「要請の趣旨はうけたまわった。大臣に伝えたい。ILOに日本政府が追加情報を出しているように、推進事務局として、労働基本権問題もふくめてみなさんと幅広く意見交換する考えには変わりがない」とのべました。

 岩田事務局長は、「政府の『骨太の方針』では、給与引き下げや公務員定員削減をめざしているが、勤務条件にかかわる課題をすす めるのならば、労働基本権との関係が出てくる。しかし、その面での検討は後景におかれたままだ。評価は別にして、韓国では昨年末に新たな公務員法がつくら れたが、日本ではいまだにそうした検討さえされておらず、世界的に見ても取り残されている」とし、2度のILO勧告に沿った公務員制度の確立を求めまし た。

 また、大臣との交渉について、岩田事務局長は、「5月に連合会長と小泉首相が話しあっており、全労連ともそうした協議の場が持たれるべきだ。11月のILO結社の自由委員会で議論されることから、それまでに何らかの具体的な対応を求める」と迫りました。

 これに対して、磯部室長は、「今後の改革をどうするかは、現時点では、『仕切り直し』という形になっている。政府全体としては動いているが、少し時間が必要だ」とのべ、明確な回答を避けました。

 最後に、岩田事務局長が、「申し入れ」に対する誠意ある対応を重ねて求めて、申し入れを終えました。

以 上


2005年7月5日
行政改革担当大臣  村上 誠一郎 殿
全労連「公務員制度改革」闘争本部
本部長  坂内 三夫

労働基本権回復をはじめ民主的公務員制度の確立を求める申し入れ

 全労連「公務員制度改革」闘争本部(以下、闘争本部)は昨年12月、 「新行革大綱」の閣議決定を前にして、貴職に対して、「労働基本権の制約維持」を明記した「公務員制度改革大綱」を撤回したうえで、労働基本権回復にむけ た白紙からの議論をすすめるようあらためて申し入れてきました。

 その後閣議決定された「新行革大綱」では、2006年度からの制度実施を見送ることや、現行法制のもとで評価制度の試行に入 ることなどが示される一方で、労働基本権の取り扱いについては何ら明記されず、私たちが繰り返し求めてきた労働基本権回復の要求は棚上げにされたまま、行 革推進事務局の検討作業は、事実上打ち切られるに至っています。

 しかし、この間の闘争本部と推進事務局との交渉・協議でも、労働基本権問題を含めた話し合いの重要性が繰り返し確認されてき たところです。また、2度にわたって日本政府に示されたILO勧告は、公務員の労働基本権保障にむけた「全面的で率直かつ意味のある協議」を求めてきまし た。

 一方、最近でも、日本政府が5月に提出した「追加情報」で、「組合との話し合いを進めながら改革を推進する」との「基本姿勢」は変わらないとのべ、過日開かれた第93回ILO総会の場でも、政府代表が同趣旨の演説をおこなっています。

 こうした政府の基本的立場や国際世論の動向、さらには、これまでの闘争本部との交渉・協議の経過をふまえれば、政府による「改 革」作業の方向修正がせまられる事態にあっても、引き続き、労働基本権にかかわる交渉・協議がおこなわれるべきと考えます。その立場から、闘争本部は、下 記の事項について申し入れるものです。

1、公務員の労働基本権回復をはじめとして、民主的公務員制度の確立をめざした議論をすすめること。

2、「すべての関係者との全面的で率直かつ意義のある交渉・協議」を求めたILO勧告にしたがい、全労連「公務員制度改革」闘争本部と関係大臣との交渉・協議の場をつくること。

以 上